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浮世絵文献資料館
浮世絵師総覧
　
☆　しょうざん　たまのもん　玉廼門（淫水亭）笑山
浮世絵師名一覧
〔文政6年(1823)10月15日 ～ 明治40年(1907)3月20日・85歳〕
　別称　柳水亭種清（戯作名）恋川笑山　春曙亭　淫水亭開好（ぼこう）

　※〔目録ＤＢ〕　　：「日本古典籍総合目録」
　　〔日文研・艶本〕：「艶本資料データベース」〔白倉〕：『絵入春画艶本目録』

　☆　文政年間（1818～1829）
　
　◯「艶本年表」〔目録ＤＢ〕（文政年間刊）
　　　淫水亭笑山画『美津のながめ』三冊　淫水亭笑山画・作　文政頃刊
　　　　　　　　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　〈玉廼門（恋川）笑山は文政六年生まれだから、この笑山を下掲の笑山と同一視できないが、参考として収録〉

　☆　天保十四年（1843）
　
　◯「艶本年表」〔白倉〕（天保十四年刊）
　　　玉廼門画『春閨御伽文庫』色摺　半紙本　二冊「玉廼門」天保十四年頃

　☆　嘉永四年（1851）
　
　◯「艶本年表」〔目録ＤＢ〕（嘉永四年刊）
　　　笑山画『諸国ものがたり』一冊　笑山著　嘉永四
　　
　☆　嘉永年間
　
　◯「艶本年表」（嘉永年間刊）
　　　笑山画
　　　『旅枕五十三次』色摺　半紙本　三冊　嘉永年間〔日文研・艶本〕
　　　　　　　　　　　序「水澤山人玉の門主人」23図襖「玉廼門陰士筆」45図屏風「玉廼門筆」
　　　『春さめ日記』三冊　玉の門画　独々山人(独々山人凸凹)作　嘉永頃〔目録ＤＢ〕
　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『春雨日記』　　色摺　半紙本　三冊「玉の門」浮橋玉廼門(笑山)作　嘉永期〔白倉〕
　　　『花雫』　　　　色摺　半紙本　三冊「玉の門春曙亭」一短方主人著　嘉永期〔白倉〕
　　　　（内題「春色花の雫」）
　
　☆　安政元年（1854）
　
　◯「艶本年表」〔白倉〕（安政二年刊）
　　　恋川笑山画
　　　『釈迦八粧続矢的文庫』色摺　半紙本　三冊「淫水亭」淫水亭開好(ぼこう)作　安政元年
　　　　（白倉注「翌年に後編三冊（画師は「婦喜用房平画」こと貞房か）が出ている。万亭応賀作の合巻『釈迦八相文庫』
　　　　　(弘化二年･1845)の艶本化)」）

　☆　安政二年（1855）
　
　◯「艶本年表」（安政二年刊）
　　　笑山画
　　　『千種花二羽蝶々』色摺　小本　三冊　淫水亭開好作　笑山画・作　安政二年〔白倉〕
　　　　（白倉注「読和本のひとつか」）
　　　『千種花二羽蝶々』初編一冊　玉廼門笑山画　淫水亭開好作　安政二刊〔目録ＤＢ〕
　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）〈笑山・開好は同人物〉
　
　☆　安政三年（1856）
　
　◯「艶本年表」（安政三年刊）
　　　淫水亭画〔目録ＤＢ〕
　　　『閨玉三十六佳撰』三冊　淫水亭(種清)画・作
　　　淫水亭開好画〔白倉〕
　　　『仮宅草紙さしもぐさ』色摺　中本　一冊　淫水亭開好(恋川笑山)画・作　安政三年
　　　　（白倉注「安政二年の大地震。吉原全焼による仮宅営業に取材したもの」）　
　　　『通俗堪麁軍談』墨摺　中本　十三冊「玉廼門笑山画」淫水亭開好(笑山)作　安政三年～文久三年
　　　　（白倉注「江島其磧の浮世草子『諸分床軍談』(正徳元年･1711)を粉本にし、漢楚軍談を換骨奪胎したもの」）

　☆　安政四年（1857）
　
　◯「艶本年表」〔目録ＤＢ〕（安政四年刊）
　　　淫水亭笑山画
　　　『美玉三十六佳撰』一冊　淫水亭笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『千種花二羽蝶々』二編一冊　玉廼門笑山画　淫水亭開好作　安政四刊
　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　淫水亭画
　　　『色修行袖の玉鉾』三冊　淫水亭　　　（注記「挿絵節用による」）
　　　『酔中花情酒楼尽』二冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　
　☆　安政五年（1858）
　
　◯「艶本年表」〔目録ＤＢ〕（安政五年刊）
　　　玉廼門笑山画
　　　『千種花二羽蝶々』三編一冊　玉廼門笑山画　淫水亭開好作
　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　淫水亭画
　　　　『花暦転寝草紙』　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　　『風流艶競』一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　
　☆　安政六年（1859）
　
　◯「艶本年表」（安政六年刊） 
　　　淫水亭笑山画
　　　『紫のひともと』二編二冊　淫水亭笑山画・作〔目録ＤＢ〕
　　　　　　　　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『快淫水好伝』色摺　中本　一冊　序「ひつじのはる　淫水亭」〔日文研・艶本〕
　　　　　　　　　　見返し「淫水亭主人戯作狂画」「初編一冊」「己未孟春発兌」〈己未は安政六年か〉
　　　　〈「日本古典籍総合目録」はこの『快淫水好伝』の画工を淫水亭（柳水亭種清）とする）
　
　☆　安政年間（1854～1859）
　
　◯「艶本年表」〔目録ＤＢ〕（安政年間刊）
　　　淫水亭笑山画
　　　『玉廼門名所物語』初編一冊　淫水亭笑山画・作　安政頃刊
　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　淫水亭画
　　　『吉原花のながめ』一冊　淫水亭？（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）

　☆　文久元年（1861）
　
　◯「艶本年表」（文久元年刊）
　　　淫水亭開好(ぼこう)　笑山画〔白倉〕
　　　『色競花の都路』小錦五十六枚組「玉廼門淫水亭開好」文久元年頃
　　　　（白倉注：作者は戯作者柳水亭種清(笑山)。初版は中判四ツ切の小判五十六枚。袋に『五十三駅色競花都路』）
　　　『春情浅草名所』色摺　半紙本　三冊　淫水亭(笑山)序　文久元年
　　　『花月源氏』　　色摺　大本　三冊「恋川淫水亭笑山画」・自作　文久元年頃
　　　淫水亭開好(ぼこう)　笑山画〔目録ＤＢ〕
　　　『通◎(ｿﾞｸ)堪麁軍談』十一編　　淫水亭開好画・作　 文久元序
　　　『七廓花の色取』一冊　淫水亭笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　柳水亭種清〔目録ＤＢ〕
　　　『仮宅花の栞』一冊　種清〈以上、淫水亭　開好・笑山と柳水亭種清は同一人物の恋川笑山〉

　☆　文久二年（1862）
　
　◯「艶本年表」〔白倉〕（文久二年刊）
　　　淫水亭画
　　　『艶色近江八景』色摺　中本　一冊「淫水亭」恋川笑山画・作　文久二年
　　　『色四季志』色摺　大本　三冊　淫水亭玉廼門　文久二年頃
　　　　（白倉注：大錦十二枚組物に口絵を追加して再編集したもの）

　☆　文久三年（1863）
　
　◯「艶本年表」〔目録ＤＢ〕（文久二年刊）
　　　淫水亭笑山画
　　　『花の眠四季物語』一冊　淫水亭恋川笑山画・作　文久三刊（注記「日本艶本目録（未定稿）による」） 
　　　『風流四季の遊』　一冊　淫水亭恋川笑山画・作　文久三刊（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）

　☆　文久年間（1861～1863）
　
　◯「艶本年表」（慶応元年刊）
　　　淫水亭笑山画
　　　『浮世雛かた』墨摺　小本　一冊　恋川笑山画　文久期〔白倉〕
　　　　（白倉注「都々逸をテーマにした春画。「顔を格子のあとつくほどにはなすはなしも後や先」）
　　　『五十四帖』　色摺　半紙本　前後編六冊「淫水亭」文久期〔白倉〕
　　　　（白倉注「『源氏物語』全編の艶本化」）
　　　『春情花鏡』墨摺　中本　一冊「淫水亭」笑山画・作〔白倉〕
　　　　（白倉注「当時の人情本などの体裁に合せて、表紙、見返し絵が色摺になっている」）
　　　『遊色豆男』一冊　淫水亭笑山画・作〔目録ＤＢ〕（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）

　☆　慶応元年（1865）
　
　◯「艶本年表」〔目録ＤＢ〕（慶応元年刊）
　　　淫水亭笑山画『春の曙花の夢』一冊　恋川笑山画・作　慶応元刊
　　　　　　　　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）

　☆　刊年未詳
　
　◯「艶本年表」〔目録ＤＢ〕（刊年未詳）
　　　淫水亭笑山〈〔日文研・艶本〕以外は全て〔目録ＤＢ〕〉
　　　『東海道五十三次』一冊　淫水亭笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『貞喜睦笑画抄』　一冊　淫水亭笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『夕涼両国土産』　一冊　淫水亭笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『名物江戸雀』　　一冊　淫水亭笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『仇くらべ』　　　一冊　淫水亭恋川笑山著（注記「艶本目録による」）
　　　『松の二葉』　　　一冊　淫水亭笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『由縁の色』　　　一冊　淫水亭笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『由縁の月』　　　一冊　淫水亭笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『三都色競』　　　一冊　恋川笑山編　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『比翼形交合』　　色摺　小判　一帖　序「◎◎情夫　恋のやま人誌」〔日文研・艶本〕
　　　『御扇面』　　　　色摺　変形小判　八図　〔日文研・艶本〕
　　　玉廼門笑山
　　　『東海道々中双六』一冊　玉の門画　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『春色花の夕ばえ』一冊　玉の門笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『正本色のながめ』一冊　笑山（玉廼門）画（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『春閨御伽文庫』　三冊　玉廼門笑山画　吾妻男一丁（梅亭金鵞）作　嘉永以降刊
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『春情浅草名所』　三冊　笑山（玉廼門）画　淫水亭（柳水亭種清）作
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『旅枕五十三次』　三冊　水沢山人　玉の門主人画・作
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（注記「改題分冊本に『旅衣』あり、日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『腹中名所図絵』　一冊　玉の門笑山画　色会人娘恋誌作　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『色開帳奥の陰』　一冊　玉の門好雄　玉の門隠士著　　　（注記「艶本目録による」）
　
　　　『枕説遊美張好』　一冊　笑山（玉廼門）画　淫水亭開好作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『春情かりの恋』　三冊　笑山（玉廼門）画？淫水亭作　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『色合五色の外』　一冊　玉廼門笑山画　　（注記「艶本目録による」）
　　　『春色隅田川景』　一冊　玉の門画・作　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『笑顔の梅』　　　一冊　玉廼門笑山著　　（注記「艶本目録による」）
　　　『虫選』　　　　　一冊　玉の門笑山画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　淫水亭画
　　　『端唄合寝〆の色糸』三冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『閨玉三十六佳撰』　三冊　淫水亭画・作
　　　『雪月花月の詠』　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『春情都名所』　　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『俳風豊の耕』　二編一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『五十四帖』　　前・後編　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『当世魚尽』　　　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『花いかだ』　　　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『華可雅美』　　　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『花の笑顔』　　　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『百人一首』　　　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『二葉由来』　　　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『浅草八景』　　　　三冊　淫水亭画　　（注記「艶本目録による」）
　　　『閨の媒』　　　　　一冊　淫水亭主人画（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『色の宴』　　　　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『花の艶』　　　　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『五大力』　　　　　一冊　淫水亭画・作（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　淫水亭作
　　　『浮世源氏五十四帖』三冊　淫水亭作　国盛画　（注記「艶本目録による」）
　　　『春情浅草名所』　　三冊　淫水亭作　笑山画　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『春情於志恵艸』　　三巻　淫水亭作　笑山画　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『春情かりの恋』　　三冊　淫水亭作　笑山画？（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『色自慢紫ひともと』一冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」）
　　　『仮宅双紙さしも草』一冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」）　
　　　『春色美談花の巷』　　　　淫水亭　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『浮世人情昼夜帯』　一冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」）
　　　『江戸名所色草紙』　一冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」）
　　　『恋のかけはし』　　一冊　淫水亭　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」） 
　　　『色遊浅草土産』　　一冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」）
　　　『艶色二葉源氏』　　三編　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」） 
　　　『実娯教絵抄』　　　一冊　淫水亭序　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『好色呉服揃』　　　一冊　淫水亭　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『春色露の袂』　　　三冊　淫水亭　　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　『快淫水好伝』　二編一冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録等による」）
　　　『魚鳥美味競』　　　一冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」）
　　　『江戸名所扇』　　　一冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」）
　　　『艶色雛源氏』　　　三冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」）
　　　『艶色都名所』　　　一冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」）
　　　『恋のかなめ』　　　一冊　淫水亭　　　（注記「艶本目録による」） 
　　　『春色恋紫』　　　　三巻　淫水亭？　　（注記「日本艶本目録（未定稿）による」）
　　　種清作
　　　『艶女百契穴さがし』一冊　種清　　　　（注記「艶本目録による」） 
　　　『仮宅宝の入婦禰』　一冊　種清
　　　『江戸名所色鏡』　　一冊　種清
　　　『艶本花車』　　　　一冊　種清

　☆　明治二年（1869）
　　
　◯『かくやいかにの記』〔未刊随筆〕④235（長谷川元寛編・明治二年正月跋）
　  〝柳水亭種清【柳下亭門人】が春画本〔漢楚軍談〕は、自笑が〔諸訳床軍談〕をもちひしものならん歟〟
　  〈『随筆百花苑』⑥408に同文あり。但し〔漢楚軍談〕は「合巻漢楚軍談」とあり〉
　
　☆　没後資料

　◯「集古会」第百三十二回　大正十年(1921)三月（『集古』辛酉第三号　大正10年4月刊）
　　〝永田有翠（出品者）玉の門笑山　諸国ものがたり　一冊　亥の正月〟
　　　〈艶本。｢亥｣は嘉永四年〉
　
　◯「柳下亭種清」三田村鳶魚著（『早稲田文学』大正十五年四月号初出）
　　〝文政四年の生れ、六、七歳の頃、生地飛騨高山より越後に行き、両親に別れし後、遊行上人(ゆぎようし
　　　ようにん)に伴はれて江戸に来り、日輪寺(浅草紫崎町)に入る。
　　　役僧にまでなり、女一条より傘(からかさ)一本にて寺を逐(お)はれ、黙阿弥の門に入る。紋番附へ「能
　　　晋軸」として載りしは、嘉永四年の顔見世よりなれども、嘉永三年の交に入門せしものと存候。嘉永三
　　　年とすれば三十歳に相成居候筈(はづ)に御坐候。
　　　後種員(たねかず)(柳下亭)の門に入り、種清、柳水亨と名乗。何故に狂言作者となりしか不明。また何
　　　故に狂言作者より戯作者に転ぜしかも不明に御座候。しかし多分は相当に仏学もあり、種貝と黙阿弥と
　　　は親交之(こ)れあり候まま望まれしにも哉(や)。または始め狂言引直しの草双紙をやらせて見て案外旨
　　　(うま)くまとまり候故、戯作の方へ転じ候にも哉。
　　　何時戯作に転ぜしか明確ならず候へども、嘉永七年(安政改元)六月河原崎座の紋番附までにて、それ以
　　　後能晋輔の名は之れなく候。
　　　安政三年三月市村座上演の「雪駄(せつた)直し」(黙阿弥作)より、種清綴るとせし草双紙の続出する所
　　　を見れば、安政年度よりは種員門下に入りしものと考へられ候。
　　　安政の末に至り、お詑(わび)が叶(かな)ひ、遊行上人に相見致候て、その後に常陸にて寺を持ち申候。
　　　その年代は知れ申さず候へども、戯作を廃し候後の事と存候。大分明治の初にも之あるべく侯。
　　　明治二十年前後より相州酒勾(さこう)上輩寺の住職に相成、明治四十年三月、八十七歳にて歿し、同寺
　　　の墓石には桂光院箕阿上人智俊堂山老和尚と之れあり候。八功舎得水と申すは別号に御座候。晩年にも
　　　精力壮健にて終日机対し、筆を執り絶えず何か書き居候由にて、更に倦色(けんしよく)見へ申さずとか〟
　　　〈これは三田村鳶魚の要請に応じて河竹繁俊氏が認めたもの〉  
　
　◯「日本古典籍総合目録」（国文学研究資料館）
　　　作品数：１１２点（「作品数」は必ずしも「分類」や「成立年」の点数合計と一致するとは限りません）
　　　画号他：種清・柳水亭種清・淫水亭・淫水亭主人・桜沢堂山・八功舎徳水
　　　分　野：合巻５７・艶本４９・読本４・歌舞伎１
　　　成立年：嘉永１・７～８年（３点）
　　　　　　　安政１～７年　　（４６点）（安政年間合計４７点）
　　　　　　　万延１～２年　　（７点）
　　　　　　　文久１～３年　　（６点）
　　　　　　　元治２年　　　　（２点）
　　　　　　　慶応１～２・４年（３点）
　　　　　　　明治１２・１３・１５・１７年（５点）
　　（淫水亭名の作品）
　　　作品数：４４
　　　分　類：艶本４４
　　　成立年：安政３～５年（５点）（安政年間合計６点）
　　　　　　　江戸末期刊　（８点）
　　　〈四十四点のうち、二十三点は自作自画、四点は自作に他の絵師の挿画（笑山画３・国盛１）、残り十七点は単に淫水
　　　　亭とあるのみ〉
　　（淫水亭主人名の作品）
　　　作品数：１
　　　分　類：艶本１
　　　成立年：記載なし
　　　〈一点の『閨の媒』は自作自画〉
　　（柳水亭種清名の作画作品）
　　　作品数：２
　　　画号他：柳水亭種清
　　　分　類：合巻１
　　　成立年：記載なし
　　　〈二点は『桂川連理柵』『加々見山故郷錦』〉
　
　　〈柳水亭種清名の作画作品が二点あるが、あとはすべて淫水亭名の艶本の作画〉