△『増訂浮世絵』p(藤懸静也著・雄山閣・昭和二十一年(1946)刊)
〝川又を画名とする一流
始祖たるものゝの師授の関係を明かにしないが、川又を画名とする一流のあつたことが考へられる。そ
の祖は川又常行であつて、その門に川又常正があり、常辰といふのがその系をうけたのであらう。何れ
も版画を作らず、肉筆画だけを遺してゐる。恐らく常行が氏を川又と称したのであらう。而してその画
系の常正常辰が、川又を称して画名としたのであらうと思はれる。宮川や西川の門下のものど同様な画
名の継承をしたのであらう。この画人の作によつて見ると、江戸の風俗画家ではなくて、京摂の人であ
らうと思はれる。西川祐信の影響をうけてゐると考へられる作がある〟