Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
☆ かめいど 亀戸派浮世絵師名一覧
 ◯『浮世絵と板画の研究』(樋口二葉著・昭和六年七月~七年四月(1931~32))   ◇第一部「浮世絵の盛衰」「浮世絵の描法に就て」p58   〝(面相)割出し描法に就て嘗て落合芳幾翁から聞いた事がある。亀戸派にては面相を描くのに、碁盤罫    を引いて鼻や目口を割出して居るが、一面には人物の顔が能く整つて好いやうである、初心の者の練習    には悪くもあるまいけれど、之れで稽古する時は自然何時も其の型に箝つて了ひ、何れも是れも同じ顔    になる弊が生ずるので、国芳畠では此の描法は用ひなかつたと、此の説を聞いてから亀戸派の絵に注意    をするに、師匠たる豊国の画風を学ぶは弟子の当然ではあるが、円満な丸顔の何れを見ても同じ様な型    に入て居る。殊に女の顔にこの弊が多いは、蓋し描法に拘泥する結果であらうと思へる。是れに反して    同じ歌川の流れに泳ぐ玄冶店派になると、円熟した愛嬌には欠ける処はあるが、何れを見ても兄弟姉妹    かと思へるは比較的少い。是れ等は練習中から割出し描法に拠らない結果ではあるまいか〟    〈亀戸は三代歌川豊国(初代国貞)の住所。したがって亀戸派は三代豊国一門を云う。落合芳幾は歌川国芳一門の玄冶     店派。p85に「当時是れ等職人間では、何職業にても其の技術の優れた者は其の名を云ず、住居する町名を以て呼ん     だ」とある〉