△『増訂浮世絵』p177(藤懸静也著・雄山閣・昭和二十一年(1946)刊)
〝東洲一保
東洲一保写と署名し、東洲の白文の印を捺した一人立の遊女図に『君は今駒かたあたりほとゝきす』と
賛のあるものがある。薄藍色の着物に茶色に唐草模様のある帯をしめんとしてゐる。顔面の描写に一種
の特色がある。なほ湯あみに行かんとする遊女の図もある。口に手拭をくはへ、左手に浴衣をもつてゐ
る。これに賛をして『問ねどもこまのわたりのそだちとは瓜実顔のむくにしられき』朝早と署名して鹿
の臥したる形の印を捺したものがある。これも眼に特殊な画き方がある。東洲斎写楽に似た所がある〟
〈一保の読み「いちほ」は仮の読み〉