マルチ商法をめぐる法と諸問題

99.5.1
M.L.M.問題が日米通商課題に急浮上の背景?
99.
マルチ商法の定義をめぐる問題
 
「MLM」規定と「連鎖販売取引」規定
 
マルチ商法と「ねずみ講禁止法」
 
マルチ商法をめぐる米国判例の動き

顧客10人ルールと70%ルール

特定利益の誘引と「カルト」



99/9/15
イメージ広告とマルチ商法
99/9/1

マルチ商法:=大量返品=在庫負担の問題

99/9/23
悪質勧誘の実態:マルチ商法の飽和

MLM問題が日米通商課題に急浮上の背景

MLMの世界《侵出》は「現代のアヘン戦争」である。

 米国・共和党のパトロンであるアムウェイ社は、米国政界を通して米国通商代表部USTRの99年4月1日発表の外国貿易障壁報告書の日本関係部分で、ダイレクト・セリングを課題に掲げさせ、「日本における指導的な米国のダイレクトセリング企業が不当な扱いを受けている」と指摘して、国会=商工委員会などでの質疑、国民生活センターによる改善要望など、この間のアムウェイ社の商法が「マルチ商法」であるが故の被害続出に対して、それがあたかも日本における非関税障壁の一つで有るかのように、問題視し、日米政府間の外交問題化して、経済企画庁国民生活局などの国民生活センターの上部機関に圧力をかけアムウェイ問題のもみ消しをはかったものと言えよう。
 
 こうした行動は、この間の(98年3月以来)アメリカ大使館モーラー経済参事官、ルース上席商務官のとった日本政府(一連の政府機関)への圧力行動やアメリカ商工会議所日本支部(事務局:東京都港区 ACCJ)の米日通商白書記述「日本の訪販法の不備、並びに国民生活センターの消費者保護施策=アムウェイ社への行政指導を批判する内容」など、すべてアムウェイ社の企業活動=米国企業の利益→米国の国益と見て、ひたすらに、なりふり構わず擁護していこうとする姿勢の現れである。
 この一連の行動が、米国流政治として、米国の政党と圧力団体+ロビィーストと政治機関の関係、そして巨額の政治献金のたまものとして当然のものであると肯認する立場からしても、非常に危険な要素を孕んでいよう。 

 同商法が世界中で摩擦を起こしている現状をつぶさに観察するまでもなく、日米両国の消費者の真の利益を考えない無謀なものとして、そうした姿勢は、日米両国の心ある民衆・市民からは決して好感を持たれるものでないことは、フィッツパトリック氏の声明を引用するまでもなく、明らかである。

 何でもかんでも、米国企業の利益イコール国益と考える行動パターンは、あまりにも楽観主義的で拙速なものではなかろうか。アムウェイ商法それ自体が米国の歴史の中で今なお多くの訴訟を抱え、あのFTCの審決の見直しを迫る声も、根強い今日、米国同様に、世界の諸外国において、まして日本において、消費者市民、民衆の間に強固な同商法への反感が存在することは何ら不思議なことではない。

 日本からの、米国本国への巨額の送金をもって直ちに、米国の国益と見るのはあまりにも思慮に欠けよう。

 アムウェイ社の商法が生みだす利益の巨額さは、同商法の陰で泣く、声なき被害者の悔し涙の累積であるのだ。

 米国通商部USTRのとった行動は、中国においてアムウェイの商法が全面禁止された際にとられたのと同種のものであるが、その内実が、中国本土への投下資本=工場プラントの操業を確保するという少なくとも正当な根拠を有し、結果としてアムウェイ社の店舗(紹介)販売への活路を政治的妥協として見いだした交渉姿勢とは全く異なるもので、実践的法的根拠を全く欠いたものであり、一顧だにすべきものではない。

 日本政府(外務省・経済企画庁)から4月16日に公表された米国通商代表部への「コメント・反論」は、米国政府(通商代表部)の指摘内容が事実と全く反すると切り捨てるものであった。日本政府のとった対応は、当然ものであるといえようが、米国通商代表部が、日本のアムウェイ問題に対して、なぜこの時期に貿易障壁の一つとして問題を取り上げる必要があったのであろうか。

 それは国民生活センターによる アムウェイ社に対するいわゆる問題企業としての「社名公表」を何としても防ぐ必要があったからであるといえよう(国民生活センターは、これまでマルチ企業の「サンフラワー」太陽熱温水器などの家庭訪販の「朝日ソーラー」に対して社名公表を行っている)。

 この問題については、アムウェイ社の内部資料によれば、98年4月28日の目黒本社4Fボードルームでの行政ミーティングにおいて、渉外部の長友部長が「国セン対策-政治的・国際的手法での対策を行っている」とはっきりと明言している。

 国益を前面に押し出し、強行にMLM商法は健全な商法であると、日本国民に押しつけて行く姿勢は、その当時、害悪・毒性が既に明らかになっていたアヘンの吸引という麻薬を中国国民に強いた、あのアヘン戦争を我々に想起させよう。



マルチ商法の定義:

 何を持ってマルチ商法と定義すべきかは、一般に考えられている以上に重要な意味を持っている。

「MLM」規定と「連鎖販売取引」規定


マルチ商法と「ねずみ講禁止法」


マルチ商法をめぐる米国判例の動き


顧客10人ルールと70%ルール
このルールは、マルチ商法が有する最も危険な在庫負担を避けるための安全装置として,MLMに要請されている原則である。すなわち、






イメージ広告とマルチ商法


現代のマルチ商法は、必然的にカルト商法化していく契機を内在している。

  • バラ色のシステムの広告は、虚偽・誇大に連なり不可能。
  • 商品の説明、性能の説明は、商品デモを陳腐化させまた競争他社からの批判を招来する元凶となり、難しい。
そうなると、残る手法はイメージ広告だけとなり、アムウェイ商法・商品そのものではなく、環境・慈善・福祉などといった他の定着した好ましいイメージに寄生する他はなくなってくる。これがイメージ広告増加の真相である。

アムウェイ商法が本来的に慈善活動、福祉活動指向であるならば、社会的弱者に対する悪質きわまりない事件は起こるべくもないであろう。

事実をアマグラム誌などへ公表して、また他者クレジットを排すなどして、自ら糾す姿勢を明らかにしない限り、偽りの偽善と見られるのも無理はない。



マルチ商法:=大量返品=在庫負担の問題


アムウェイ商法において過剰在庫の問題は、その商法に内在する
危険性の現れとして、常に問題とされ、批判されてきたところである。

 各種裁判において同社は、常にその事実を否定してきたが、今回内部資料からはっきりとその事実が明るみになった。

 アムウェイ社の98年4月度の資料(98年6月25日現在)では、直近1ヶ月30万bv以上の大量返品が296件、総額205,857,721bvおよそ月額売上2億円分に上っている。

 また100万bv以上の件数は36件にも上っている。この数値に対する同社のコメントでは、「件数・ボリューム・返品率共にやや高レベルであった。

 個別に見ると、スズキシゲルEme(AH92/東京/江東)グループにて総額18百万円の超大量返品が際だっていた。

 ちなみに、同グループの返品率は418%と異常に高い。」と記されていて、アムウェイ商法は、月額2億年間24億弱ぐらいの大量返品を常に抱える危険な商法であることが分かろう。(おそらく実際の返品総額は年間で25億円を超えているであろう)

 おもしろいのは、大量返品のアンケート分析として、正常なビジネスから生じたものであると強弁する者85件、一定以上のポイント獲得のためによるものとする者41件、不良ビジネスによるものと自認する者22件と記されていることである。
 

300万bv/月以上の大量返品ターゲットDIAリスト

3966 ワダヨウコ&リョウコ ユ)アイエムエイ     4,882,060円  -4.8%返品率
AH92 スズキシゲル&カオリ ユ)DAT        18,142,130円 −418.0%
CJ43 タカハシトシアキ&トモコ             4,100,740円  −6.9%   
DA90 ムラカミジュンイチ ユ)グローバル       5,479,600円  −5.6%
FC84 フナバシタカキ&マサエ             9,180,740円  −43.4%
J120 ナカジマカオル カ)ソープアンドホープ     7,059,880円  −4.2%
J122 オカダタイビ&イトウミドリ              6,485,900円  −5.5%
NC48 オグラヤスヒロ&チエコ ユ)ヴァンテアン   22,864,720円  −15.8%
RD86 キタムラケイジ&ミチコ ユ)CARRY ON M  11,531,560円 −16.8%

このリストから、あの中島薫グループでさえも、月に650万からのこうした大量返品を抱えている危険な商法であることがよく分かろう。

 いままでこうした事実は、あの「自由・平等・安全」のキャッチ・フレーズの下で公にされることなく隠蔽されてきた。何が安全なのであろうか。なにが自由・平等であるのか。こうした事実を、アマグラム誌などの同社刊行物で明らかにし、各個人に注意を喚起し各自の判断材料を提供することこそ、いやしくも自由・平等・安全を標榜するものの義務であり、そのような義務を放擲してきたアムウェイ社の欺瞞的閉鎖主義は厳しく糾弾されるべきものであろう。


悪質勧誘の実態:マルチ商法の飽和=組織崩壊問題
知的障害者への詐欺

行政機関レポート<’98年3月度>
渉外部  業務渉外室  FROM :Y.Komuta


これこそが日本アムウェイ社の上記の内部資料から明るみになった、日本アムウェイ社による行政機関懐柔対策の実態である。


内部レポートによると、「日本全国の地域の消費生活センターなどの行政機関への訪問活動をアムウェイ社は、積極的に行っている」という。

 3月度で訪問件数146件、前月比44%増であるという。

その文書の中で大変な事実が報告されていた。

 東京都足立区消費者センターの事例である。
  当事者の母親からの相談である。
  「20才の知的障害者の息子が高額のクレジットを組まされた。」
  • 身体障害(3級)知的障害(4度)の息子が工業高校の同級生に登録と110万円のクレジットを組まされた。
  • クレジットはAIS(オリコ、アコム)、製品QCW,WTS,IR,WOK各2台、ATS1台。
  • 息子は契約書面に対する判断能力はない
  • 勤めているが低賃金のため支払能力はない。
  • スポンサーには今後一切コンタクトはとってほしくない。
  • 登録とクレジットの解約を希望。
センターの指導
  • 非常に悪質な事件である。
  • 知的障害者に対しての詐欺行為とも言えるクレジット契約である。
  • 早期の解決を望むとともに契約時の状況、また日本アムウェイ社が、ディストリビューターに対してどのような措置をとるかも報告せよ。
こうした事実に対して、「足立区のケースは、知的障害者に対する強引なスポンサリングおよび製品の販売というアムウェイ社悪質なものであった。このことからも若年層大作は早急に実施しなければいけないと痛感する。と同時に若年層の問題というより、彼らの上位に当たる30代40代ディスト達のスポンサーの仕方や教育の仕方に問題があるとする国センの指摘が、当てはまるケースも多い。」と内部で、アムウェイ商法の問題性をはっきりと自認している。

しかし、さらに重大な事実はこの内部文書の翌月度版の記述である。

「昨年以来、知的障害者への販売トラブルが数件行政入呼となっている。」
「社会的弱者に関わるトラブルは若年層問題とともに今後の大きな課題である。」
と他人事のような記述がなされているが、事件は多数発生していることが伺えよう。

そして極め付きが  98.4月度行政MTG議事録 である。

議事録には以下のような記述が書かれていた。小牟田室長、山口副部長はいずれも、フィールドをよく熟知した本社中枢幹部である。それが、1998年4月22日13:00から目黒本社アルコタワー4階ボールドルームで開かれ、出席者[DR]山口副部長[教育部]大塚副部長
[BRC]久保課長 [CSD]内田課長 河合係長 中山コンサルタント
[渉外部]長友部長 小牟田室長 宮沢顧問 三坂次長 高橋課長 大西課長 井上課長 河東係長 竹田係長 大内係長 磯村係長
というメンバーで、[CSD]西田部長、[DR]渡辺副部長などが所用で欠席してはいるが、前記本社中枢主要メンバーが揃った正式の会議の場において、以下の報告がなされたことの意味は非常に重大である。と考えている。  

以下はその議事録での記述である。


小牟田室長より、「全国的に障害者のクレジットトラブルが増発(大阪・山口等)」。

DR報告−山口副部長
  • 障害者へのクレジット契約の多発-問題性が高い
    要因としてスポンサリングの低下が考えられる
   *過去アムウェイに関わり解約したSHIP数−約400万
   *現在アムウェイに登録しているSHIP数−約150万
   全国の世帯数(4600万)の約12%がアムウェイに関わっているということになり、スポンサリングを行っていく上で行き詰まりになってきていると言うことが懸念される。


この記述こそ、日本アムウェイ社本体が自ら、

組織的増殖の行き詰まり→マルチ商法の飽和=組織崩壊の危機的状況にあることを自認している紛れもない事実である。



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