アルプス3大名峰を巡る@

                       モンブラン・マッターホルン・ユングフラウヨッホ                     

2006/4/28-5/3


 成田からチューリッヒまで約12時間半。日本海からロシア・シベリア上空を通り、北極海経由でのフライトだが、雲一つ無い天候のため、眼下にはシベリアの凍土が広がり、大海に出れば流氷が埋め尽くす絶景がいつまでも続いていた。
 長いフライトで困るのはエコノミー症候群と喫煙。エコノミー症候群のほうは、暇つぶしを兼ねて立ったり歩いたりを繰り返し、解消できるのだが、問題はモク切れ。しかし、今回は「チューイン・たばこ」なる秘密兵器を持参したため、どうにかクリアーできた。このたばこ、一見ガムなのだがニコチン1.0r。要するに、噛んでいるとニコチン切れストレスが解消する(と錯覚する)一品だ。海外も良いが、どうもタバコがねぇ・・という人は試す価値はある(試さなくても禁煙しろ、との声もある)。




 チューリッヒで別の飛行機に乗り継いで1時間少々、ジュネーブ着。この日は観光なしのホテル直行で、そのホテルも国鉄コルナバン駅隣の「コルナバンホテル」つまり街のど真ん中ホテルである。といってもジュネーブ自体人口は日本の小都市程度なので、ゆったりとした佇まいで、ホテルの前がノートルダム寺院という、なんとも歴史的雰囲気ではある。
 ホテルの窓から臨めば、いかにもスイスらしい(といっても初めて来たのだから、わからない)建物の向こうに雪をいただいたアルプスの山並みが広がる。「思えば遠くにきたもんだ」と感慨にふけっている場合ではなく、時差ボケ解消のためには早寝をしなければならないのだ。



 今回のツアーはスイスの3大名峰を巡ることだけを目的としたツアー。だから天候が決定的に旅行の成否を左右する。むにゃむにゃ・・今日の天気はいががなものか・・??とカーテンを開ければ、曇天で、こりゃおヤマは雪だんべ、と半ばあきらめの境地でともかく、一路モンブランへ。同行者は14名と比較的少人数であるため、大型観光バスはゆったりの一人がけ。
 モンブランはフランスにある!!なんて知らなかったが、スイス・フランス間の国境はほとんどフリーパス。パスポートの提示を求められるわけでもなし、バスが止められるわけでも、ましてや自動小銃を抱えた兵士が乗り込んでくるのでもなかった。
 だからバスはいつのまにかフランスに入り、「これって、もしかしたらフランスにも行ったぜよ」と自慢していいわけ?かな。
 モンブランへの登山口シャモニーへは約85q。ケーブルカーに乗車し登山を開始してもまったくの雲の中で一寸先も見えない。しかし、添乗員氏はあきらめない。「もしかしたら上は晴れているかもしれませ〜ん」を連発し、落ち込む客の気持ちを支え続ける、その甲斐あって、突然に目の前が開け、なんと巨大なヤマ肌が立ちはだかった!!のだった。
 ケーブルカーは現地人(かどうか顔ではわからないが)スキーヤーで満員。みな完全スキー装備なのだが、この急な高地をどう滑り降りるのかしらん、と心配するほどの高さまで上りつめ、ついには岩肌にベッタとぶつかった。「えっ!?降りるとこがないじゃん!」と思いきや、ぐんぐんぐぅぅんと持ち上げられて、駅????に到着。やれやれ着いたと思ったら、鉄砲玉風の塔が建っている頂上までエスカレーターでぎゅ〜んと連れて行かれ、ここが何と標高3842bだと。富士山より高〜いのだ。 因みにそこから臨むモンブランは4807bだと。




 「空気が薄いですから、興奮して走り回ったり、はしゃいだりしないようにして下さいね。またウチの鍵をかけ忘れたとか、ガスの元栓きったかしら・・なんて思い出さないでください。高山病になった場合どんどん悪くなりますからね」と心温まるご忠告を胸に展望台(エギーユドゥミディ)に立つと、目の前にモンブラン、青い空には右へ左へ飛行機雲。やはり写真でみるのとは違って、自然の雄大さに心が躍るし息も詰まる。←空気が薄いため。
 展望台からは360度のパノラマが一望できて、なんとはるかにマッターホルンまでがその勇姿を見せたりしたものだから説明する添乗員氏も興奮気味。




 再びスイスに入国してレマン湖ほとりにあるシヨン城見物。世界三大名城の一つだそうだが、あとの二つは知るよしもない。
この城、幽閉していた罪人の足に重しをつけてレマン湖に放り込んだそうで、そう思って見るとなんとも陰湿な出で立ちである。それよりも途中の車窓から、空を舞う色とりどりのハングライダーの飛翔が見え、まぁまぁスイスはどこでもリゾートなんだと思った次第。
 その後寄ったのがモルジュ独立公園のチューリップ祭り。約10万本のチューリップが咲き乱れ、というがこれは植えたもの。観光用の催しかもしれない。しかし、お年寄りの楽団がアコーデオンで演奏するとか、犬の散歩に子供が戯れるとか、のどかな雰囲気がゆったりした時を刻んでいた。




 次の日も快晴!!でマッターホルンへ。テェッシュで昼食となったが、この場所からマッターホルンが全貌を現していて一同感動。一番良く見える場所があるから、雲が懸からないうちに写真取りましょう、と添乗員氏が案内したのが町はずれの橋の上。そこから撮ったのが下の左写真である。




 昼食後登山電車でマッターホルン(4478b)を臨む3089bのゴルナグラート展望台へ。モンブランの展望台より低いとはいえ、3000bの高地だ。くれぐれもはしゃいではいけないのであるが、ここでライターに火がつかないことを発見。酸素が薄いからか?気圧でガスが気化しないからか?はたまた気温(マイナス12度)のせいか??
 風は無いし、視界は良好。マッターホルンはもちろん、モンブローザ、リスカム、クラインマッターホルンなど(資料によると)名だたる山々が身近に迫る幸運には感謝するしかない。

 午後からはグリンデルワルトへ。途中自然保護とかで長いトンネルをカートレインで移動する。カートレイン、つまり汽車が車ごと客を積んで走るというものだ。ただここで問題。我々の乗っていた豪華バスは高さ制限のためトレインに載せられないといので、代替車が登場したのだが、これがツアー客には気に入らない。添乗員氏も「これはちとひどい」という代物で、定員15名のところに14名、いや添乗員氏と運転手がいるから定員オーバー。またこの運転手氏が飛ばす飛ばす。山のカーブもなんのその、右に左にとハンドルを切る。後部座席は向かい合いの席で、ここに乗った女性が車酔いを起こす騒ぎ。
 それでもなんとか今宵の宿泊地に着いた。
 「サンスターホテル」。部屋はアイガービューだ。簡単にアイガーが見えます、というが、部屋の目の前にアイガーが地続きであるとはなんと信じられない眺望である。「明日の朝の散歩はアイガー頂上散策だ!」と言ってもウソには聞こえない間近さだ。




 旅の目的はモンブラン、マッターホルンそしてユングフラウヨッホを見ること。すでにモンブランとマッターホルンは見事、夢かなったのだから、ユングフラウ登山も快晴ならば、言うことなしだ、と一夜あけてみれば、この日も快晴。
 10日間の日程を組んでも1つの山も見られない、と言うことだってあるわけで、短期間ですべてを見ることが出来るのは気象状態安定のおかげである。
 登山電車でコトコトと斜面を登り3450bの展望台まで。こう毎日3000b以上も登っていれば、少しは慣れるというものか。みな順調に足を運んだ。観光客はほとんどが日本人と韓国人。特に韓国人大部隊は車両一両を占拠し、合唱するやら踊るやら・・。
 さて、夢にまで見たユングフラウヨッホはどれかいなと見渡せば、下の左写真中、真っ白に尖っているいるのがそれ。




 ベルンはスイスの首都。旧市街地は世界遺産に指定されている。
 バラ公園があったり、からくり時計台があったりのそれなりの観光都市でもある。
しかし、スイスで興味をそそるのは、統一言語がない!!という事実。ドイツ語、フランス語などそれぞれ地域によって言葉が異なり、お互い交流は少ないのだと。えっ!それで国としての形態がとれるのかい?。国を統治するのには為政者にとって共通言語の制定が絶対条件だと思っていたのだが。
 スイスは永世中立国として有名で、この地域の歴史的位置づけがスイス国民をしてそういう立場を選択させたのだと思うが、こういう事実を知ると、もしかしたら周辺諸国から利権・文化を守ために中立を強いられているんではないかとも思ってしまう。






 夕食は機内食を除いて原則フリー。特にジュネーブでは2日間調達しなくてはならなかった。到着日はジュネーブ駅構内にあるパン屋さんでサンドイッチを買って街をふらついていると、めざとくケバブ屋を見つけ、早速購入。ホテルに戻ってかぶりついたが、これが美味の上に大容量。結局サンドイッチは翌日の朝食回しとなった。
 翌日は外食でも、とレマン湖周辺を散策したが、どうも思う店に行き当たらず、こりゃまたパンかいなと思っていたら、街の並びに中華店の看板を見つけた。中華店なら中国旅行で鍛えた?中国語が通じるかもとれん、と勇んで入り、「有没有・・・・」と並べ立てて何とかラーメンと餃子をゲット。薄味でいまいちだが、何とか舌に慣れた飯にありつけた。




 スイスは恐らくチーズ料理ばかりだ、と覚悟していたから、山の中腹レストランなどで食べた料理は意外と美味しく、バラエティに富んだものであった。




 最終日の晩餐はチーズフォンデュ。余りチーズが好みではないので、一緒に出たポテトのほうが口に合った。メニューは一品目がビーフで、これがチーズフォンデュ。次がオリーブオイルのフォンデュ。最後が果物のチヨコレートフォンデュ。まぁ、話しの種としては結構なコースであった。





 陽気はちょうど日本と同じぐらい。好天に恵まれたこともあってか、花々が咲き誇り、公園などの散歩は実に気持ちの良い毎日であった。チューリップ公園なども訪れたが、むしろ車窓から見られる自然の花々が可憐で、「アルプスの少女ハイジ」の世界を彷彿とさせる風景が連なっていた。