同期の中で、先に昇進したものは、このことになかなか気付かないから、一生懸命に仕事をする。それが、親会社の雇われ重役の手の内なのである。 これに気付いて、批判的になった人間は、遠くの本社から離れた工場に飛ばされるのである。親会社の産洋自動車から出向になった人間はどうか。この人間たちも、子飼いと変らない運命を辿るのである。 この人たちは、定年を過ぎて、廻されて来るので、その時、課長なら部長代理として、次長なら部長となるのである。それ以上、昇進することは絶対にない。 若くて廻されて来たものは、課長から始まり部長止まりである。もともと、親会社で問題のある人間を遣したのだから、これで十分だという論理である。
また、親会社で部長をしていたものは、役員として迎えられるのであるが、取締役どまりであり、中に運良く常務まで行くことがあるが、社長になることはない。社長になるには、親会社で役員をしていなくてはならないのである。このように、上から下まで、自分の運命が決まっているのである。努力しても、希望が持てないのである。 産洋精工という会社全体の士気が上らない理由はここにある。(第10章終わり) 第11章へ
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