08年12月
◎えらいことになってきましたな
円高が進んで、1ドル80円台とは何とまあ。
それと世界同時不況による販売不振とで、
天下のトヨタが赤字になりそうだというのだ。
そうなると生産調整や経費節減で、下請けや孫請けに影響が及び、
さらにまた非正規労働者が困ることになるのだろう。
ニュースによると、トヨタは収支を1ドル100円で想定計算していた由。
しかし、日々の現実の業務としてはそれでいいのだろうが、
それとは別に、1ドル50円とか30円とか、
破壊的な想定で計算しているセクションはないのだろうか。
確か発明やカイゼンの手法のひとつに、経費条件を半分に設定してみる、
10分の1にしてみるとかいうのがあったと思うのだが、
それはやってないのかな。試してみれば
インドの28万円だかの車のような、スケルトン発想が出てくるかもしれず、
何をどう工夫しても無理ですという限界値もわかるだろうに……。
などと、素人の部外者は考えるのだが、それくらいの試算は、
やってるんでしょうね。当然。
◎他に書くことないのよね〜
腰が痛い。立ちあがろうとすると、ギュッと痛みが走る。
毎日毎日、土曜も日曜も、まあ日曜は3時間くらいであるが、
デスクに向かって長篇を書きつづけているからだ。
温熱湿布や鍼付きの絆創膏で手当はしているが、
原因となることを継続しているのだから仕方がない。
400枚を突破して、かなり力が入っているなと自分でわかる。
ただし没入の度合が高いのと、仕上がった作品が傑作になっているか
駄作で終わっているかは、また別であるのがつらいところだ。
本日はあまりに痛いので原稿は中断し、ソファに寝転んで500円DVD、
エリザベス・テーラーの「雨の朝パリに死す」を見た。
1954年制作で2時間近い作品の、イントロは納得しつつ見ていたけれど、
途中から、「冗長だなあ。当時はこのテンポが普通だったのかなあ」などと
感じだし、鑑賞を中断しようかとも思った。
しかしそれは、「原稿から離れると途端にいらいらしだす」という、
執筆期間中に特有の焦燥感ゆえの感想かもしれないので、
我慢して見つつづけた。するとラストが近づくにつれ、
ぐっと良くなってきて引き込まれだした。
最後は寝そべっていたのを、座り直して見ていた。
「とすると、このラストを見せるためには、途中やはり、
あれだけの長さが必要だったということか」などと考え、
そのままデスクに向かって、長篇の構成を再点検しだしていた。
かくしてやっぱり、腰は痛いのである。
◎使用お申し込みは、メールにて
馬鹿馬鹿しいキャラクターを思いついた。海賊の旗に使われている、
ドクロと骨二本のぶっちがえというあのマーク、それと同じ絵柄で、
かわいらしい猫の顔と杓子二本をぶっちがえにする。
「NEKOSHAKU」または「NECOSHAKU」とロゴを入れて、
これはもちろん「猫も杓子も」の略であるが、それをブランドにして
各種商品につける。ロゴは「CATSPOON」でもよろしい。
そして各商品は限定生産する。
するとそれらは、これは猫も杓子も持ってる品物ですよと言いつつ、
実はあまり人が持ってないセレクト品なのだと表現することになる。
その逆説的な訴求力は各品目限定生産の数量に反比例し、
多く作れば作るだけ本当の「猫杓」商品になっていくので、
その果てを追求すれば、それはそれでまた
「正直な」ブランドだということにもなる。
そのあたりの案配で、おもしろい展開ができると思うのだがどうか。
以上、原案かんべむさし。無断採用は金○○円申し受けます。
◎こんなんは、タダでおます。へえ。
上方落語「地獄八景亡者戯」のなかに、冥土の念仏町のシーンがある。
亡者のために各宗派の念仏を売っており、上、中、並と価格もいろいろ。
裏手には安物専門の店もあって、「念仏の裁ち屑なんか、
ひとやまなんぼで売っとりますさかいな」というのである。
それにならって、執筆中の長篇の「裁ち屑」を三つ紹介。
「甘味アナの辛口アドバイスとして、ありがたく頭に叩き込み、
それもひとつの目標にしようと思っていた」
「月末になると、阪神関係のニュースが連続することになる。
村上ファンドが阪神電鉄の株を買い占めていたことが発覚し、
その翌々日には、阪神タイガースが二年ぶりに、
五度目のリーグ優勝を飾ったのだ」
「悔しいけれども、長年のつきあいには勝てない。
互いの寸法がわかっているため安心して放送ができ、
気分も自然と昂揚するらしいのだった」
さて。これらを削り、切り落として、どんな作品に仕上がりますものか。
乞う御期待!
08年11月
◎イタチごっこ
迷惑メールのブロックサービスを利用しているが、
それをくぐりぬけて外国からとか、国内のややこしいのとかが、
いろいろ来ることは前に書いた。
そこで今度は防止機能を強化したサービスが始まり、
何月何日何時から自動的に開始という知らせがきた。
そしてその時刻以降、ややこしいやつは完璧にブロックされだした。
「おみごと!」と感嘆したのであるが、こうきれいさっぱり着信しなくなると、
ブロックされたもののなかに、まともなやつも混ざっているのではないかと
気になってくる。迷惑メールは7日間プールしたあと自動消去とのこと。
念のために一日一回、そこをチェックしているのである。
しかしまあ、そのうちまた、くぐりぬけるやつが出てくるんでしょうな。
◎得は得ですけどもさ
仕事場に連泊して原稿を書くので、
某スーパーへ食料品を仕入れに出た。
朝はまあコーヒーとクッキーくらいでいいから、買い置きを使う。
昼は麺類でもいいし、野菜スープとパンと、う〜むそうだな、
何かフライ物を買っておくか。夜は缶ビールを飲みながら、
鍋物にしておけば簡単でよろしい。などと考えつつ売り場をまわり、
白ネギ、水菜、もやし、豆腐、うどん玉、まぐろ、メンチカツなどを買う。
ティーバッグが切れかけてたことを思い出したので、それも買う。
何だかんだで合計11品をカゴに入れ、
財布から千円札2枚を出してレジに並んだら、何と合計973円だった。
えーっ。百円ショップより安いやないか!
帰ってからレシートを見直しても、別に計算間違いはなかった。
各商品、生産と流通がどうなってるのか見当がつかん。
これでも先方は、儲かってるんですからなあ。
◎どういう本かというと
あいかわらず長篇を書いている。こういうときには
頭がそのことで一杯になるので、新規の本や難しい本が読みにくい。
「心ここにあらず」とはよく言ったもので、読みながら
やはり原稿のことを考えているから、頭に入りにくいのだ。だから
大抵は一度読んだ本の再読とか、新刊でも軽いものを読んでいるのだが、
「日本共産党の戦後秘史」(兵本達吉・新潮文庫)はその例外で、
どんどん読めるほど興味深い。
著者は長年、同党の国会関係の仕事をしてきたが、
査問を受けて除名された人とのこと。
だから内部にいて知ったこと経験したことを、どんどん公表しているのだ。
宮本顕治のスパイ査問事件についても、被害者小畑はリンチによる死亡で
あったことや、それをいかに党が否定しようと奔走したかについてなどが、
詳しく記されている。その他、「それでわかった」「ひでえもんだな」
「本気かいな」の連続で、「しかしそこまで思ってた、わかってたのなら、
何で除名される前に、自分で辞めなかったんですか」と聞きたくもなるという
、そういう本なのである。
◎膳師豊様
御同様のメール、メッセージをよくいただきますが、
都合により、御好意のみ拝受とさせていただいておりますので、
せっかくにて申し訳ありませんが、あしからず御了承ください。
◎広研OB会・記念パーティー
上に写真を掲げたごとく、先日、大学時代に所属していた広告研究会の
創設80年、戦中戦後の空白時期をはさんでの復活50年、
その記念総会に出席してきた。250人だか60人だかが集まる盛況で、
なかには卒業後初めてとか、30何年ぶりとかで再会した相手もおり、
これも上に書いたとおり、白髪、ずんべらぼん、痩せすぎ、太りすぎ等々、
愕然としたり噴き出したり、いやまあ大変なものだった。
2年先輩の某氏が壇上の挨拶でいわく、
「孫が4人おって、そいつらの結婚式に出てから
死にたいと思ってるんやけど、誰も結婚しよらんのですわ」
同学年の仲間でシャープに勤め、長らくインドとマレーシアで仕事をしてきた
男が、「KLにおったときには」云々。KLとは何かと聞くと、
クアラルンプールの略称とのこと。なるほどね。ということは、
日本語のリズムで、クアラルン/プールと発音してきたけど、
本当は、クアラ/ルンプールと、こう区切るんですかね。
2年下だったか3年下だったか、後輩で美人だった女の子が、
う〜む、美人だっただけにそうなりますかあ。いやいや、まあまあ……
用事があったので、当方は総会と懇親パーティーだけで引き揚げたが、
各年度とも夕方からは二次会をやり、同学年の連中はその二次会を、
カラオケの店でやるとのこと。そのうちの何人かは、
翌日の日曜に開催されるゴルフコンペにも参加するという話で、
「老いてますます盛ん」という言葉が、ぐっと身近になったのだった。
わしゃ、しんどいわ。
08年10月
◎他人事ではないのだけれど
友人が以前、「おれはもう、いつ死んでもええねん」と言っていた。
同年齢とはいえ、当方よりは身体のあちこちにガタが来ているようだが、
別に不治の病を抱えているわけではない。
子供は社会人になっているし、仕事はリタイアしたし、
要するに「もうええわ」ということらしい。
だから自分が死んだときの処置まで考え、嫁さんに告げてあるという。
「葬式なんかせんでええぞ。どこにも知らせるな。
そして年末になったら、喪中欠礼の葉書を出してくれたら、それでええ」
「しかし、それをいきなり年末に受け取ったとして、
おれはどうしたらええんや」と聞くと、
「どうもせんでええ。ああ、あいつ死によったんかと、
知ってくれたらそれでええねん」
さっぱりしていて結構といえば結構だが、何となく納得しにくい。
今週、某会議に出たところ、委員長を務めてきた女性が先般亡くなり、
上記の友人同様、「どこにも知らせないで」という遺言だったので、
関係者があとで知って困惑したという話を聞いた。
友人は公的立場はなし。その女性は複数のそれを持っていて、
死去を公表すれば新聞に告知記事が出るであろう人。
その違いはあるが、周囲の困惑ということを考えれば、
どちらも、やはり公表した方がいいのではないか。
会議では全員で黙祷して哀悼の意を表したのだが、
友人の場合、葉書を受け取って一人で黙祷してもすっきりせず、
やはり仏壇に線香の一本でもと、思うであろうなあと思うので……
無論、葉書一本にしてくれた方がありがたい相手もおりますが。
◎それでいいのだ!
朝、仕事場に入ってメールをチェックする。
返信の必要なものには即送付する。長篇の昨日書いた部分を読み返し、
削除や追加や訂正をする。ごく軽い昼食を適当にとり、少し仮眠する。
午後は長篇を進行させる。うまく進むときは気分が高揚し、
停滞するときにはいらつく。冒頭から再読して、訂正していくこともある。
帰路には書店を覗き、何かおもしろそうな本が出ていたら買う。
帰宅して入浴と食事をすませ、読書して寝る。
翌朝、仕事場に入ってメールをチェックする……。
基本的にはずっとこの繰り返しなので、特記事項はない。
明日は某会議で大阪ビジネスパークへ行くことになっているので、
中之島から京橋まで、本日(10/19)運転開始の
京阪中之島線で行こうかと思っている。
その程度の変化を楽しみにしながら本業にいそしむ、
平坦で正しい毎日なのである。
◎まさかねえ……
DVDで漫画アニメ「バッグズ・バニー」を見たのだが、ぼくの中学時代に
テレビでやっていたものとは「違って」いたので、がっかりした。
別に主人公が違っていたとか、絵が異なっていたわけではない。
イントロが違っていたのだ。
つまり当方の記憶によれば、テレビでやっていたそれは毎回冒頭に、
空から撮した広大な撮影所のスタジオ群が映り、
ファンファーレ風のジングルが入ってだったか、だみ声のナレーションが
「ザ、ワーナーブラザース、テレビジョンプロダクション!」、
同時にワーナーのWBマークがアップになるというものだった。
中学に入り立てで、英語を聞く耳もまだ育ってなかったため、
このラスト部分が「タナベーションプロダクション!」と聞こえ、
「タナベーションって何かなあ?」と考えていたものだった。
DVDを買ったのは、その冒頭部分を見たかったためだが、
肝心のそれがカットされていたのである。
往年のテレビ放映時には、このあとアニメで
ステージショー風のタイトルシーンになって、日本語の歌が入る。
「♪みんな〜、おいで〜、一緒に遊ぼう〜、テレビ漫画ぼくらの〜、
仲間のヒットショー〜、(このあと忘れたけど……、ラストが)、
今夜もヒット〜、大当たり〜」だったと思う。
まあ、このシーンと歌は日本で番組用に作ったものだろうから
入ってなくても仕方ないが、「タナベーションプロダクション」は見たかった、
聞きたかったな。それとも、こちらがとんでもない記憶違いをしており、
これは別のアニメのイントロだったのだろうか。
◎働け、ボケナス!
個室ビデオの店で火事があって、15人もの客が死亡した。
最初は寝煙草が原因と報じられており、だからぼくは、
「これはまた、喫煙者に対する非難が高まるだろうなあ」と思っていた。
ところが次第に詳細がわかってくると、犯人は
「生きていくのが嫌になった」と放火したのだという。
当初、離婚して職を転々としていたと聞いたから、もっかの不景気や
格差社会の影響をもろに受けた気の毒な人なのかと考えていたら、
そうでもなさそうだった。ギャンブルか何かで借金がかさみ、
おまけに養子縁組みで名前を使い分けて
サラ金のブラックリストを逃れていたとか、
当然犯罪用にだろうが、戸籍を売ったとかのニュースも流れだした。
とんでもない奴であって、「40代なかばで、よくそこまでデタラメ、
無責任、やけくそ的な領域にまで達したな」と思う。
世間の40代、しんどいめして働いてまんねんで。
わしも40代後半には、いろいろトラブルが重なってへとへとになりながら、
それでも、「ここでやけになったらいかん」と、
必死に自分に言い聞かせて、耐えてきましたんやで。
なあにが、「生きていくのが嫌になった」じゃ。
「生きていく」などという言葉は、やることやりながら、
やってから、使うてほしいわ。ほんまにもう。
08年9月
◎「ラ・ムー」という名前の店がある
二年前からか三年前からか正確には覚えてないが、
大阪環状線の西九条近くに、元は工場でもあった土地なのか、
広い敷地のショッピング・ゾーンができている。
大きな床面積の平べったい建物が二棟並んでおり、片方はホームセンター
の「コーナン」。それはもちろん以前から知っている店名だが、
もう一方は「ラ・ムー」という名前である。
当方そこを電車で通過するたびに半村良さんの未完の超大河小説を
思い出し、何の店なのか一度確認しようと思いつづけてきた。
そしてこのたび運動を兼ねて自転車で行っみたたところ、
24時間営業の食品ディスカウントショップだとわかった。
倉敷市に本社のある大黒天物産という会社のチェーン店らしく、
プライベートブランドで大黒様の顔イラスト入りの缶飲料なども売っていた。
しかし「ラ・ムー」という店名の由来はわからない。
ポリ袋には太陽のイラストも入っているので、
あの幻の大陸から採ったことは間違いないと思うのだが。
ついでに書いておくと、上記半村さんの「太陽の世界」に、
ある部族が新しい土地を求めてだったか、
長篇一冊分ひたすら歩きつづける巻があったと記憶している。
無論、百パーセントそうではなく、あれこれのドラマを含みつつだが、
350枚だか400枚だか、とにかく歩きつづけて一冊という印象が残り、
それを読ませる腕と力に驚嘆したのだ。「ラ・ムー」の命名者、
半村ファンなのだろうか。それともチャーチワードのか?
◎どちらも「御大」熱演の作品なのですが
往年の東映時代劇で片岡知恵蔵の当たり役といえば、
「赤穂浪士」の大石内蔵助と、「新撰組」の近藤勇である。
そしていまDVDでその懐かしの両作品を見ると、
脇役も「いかにも」というスターで固めてある。
前作は吉良上野介・月形龍之介、浅野内匠頭・大川橋蔵、
脇坂淡路守・中村錦之介、千坂兵部・市川右太衛門。後作は土方歳三・
山形勲、鞍馬天狗・東千代之介、月形半平太・大友柳太郎などなどだ。
ただし感情移入というか、どちらの作品に当方の気が入るかというと、
やはり赤穂浪士ということになる。吉良の悪役ぶりが露骨過ぎて、
「そこまで悪者にしてやらんでもええやないか」と思いつつも、
それあってこそというストーリー進行に「騙され」てしまう。
吉良の背後には柳沢がおり上杉がおり綱吉がいて、
討ち入りが「反体制」側の反乱ともなっているからだ。
ところが新撰組は「体制」側の実働部隊であるから、
後年の東映ヤクザ映画にもあった、「耐えて、我慢して、
それが破断界に達した爆発」というカタルシスが、主人公の側にない。
近藤が時代の流れを論じると、「わかってて、何でその立場におるんや」と
思い、秩序維持の責任を述べても、「正当化と違うか」と感じてしまうのだ。
無論これらは、「ドラマ」のストーリーや構成に関してだけの感想であって、
法秩序の面から見れば、正しいのは両作品とも体制側なのであるが。
それとまあ、見せ場の数の違いかな。前作には列挙するのも面倒なほど
見せ場があるが、後作は池田屋斬り込みの「階段落ち」くらいですからね。
◎目薬VS洗眼薬
毎日パソコンに向かうので、ドライアイとまではいかないが、眼が疲れる。
だから長年OA用の目薬を日に何度かさしていた。
しかし目薬というものはなぜか15ミリリットルのミニ瓶なので、
すぐになくなってしまう。300円くらいのものだから出費はかまわないが、
どうも効率が悪いような気がする。そこで先日大型ドラッグストアへ行き、
関連商品の棚をじっくりチェックしたら、
目薬とは別に洗眼薬というものが発売されているのだった。
こちらは500ミリリットルも入っていながら、価格は目薬より少し高い程度。
「これじゃーっ!」とばかりに即購入し、以来それを愛用している。
ライオンの「スマイル、アルフレッシュ。クール洗眼薬」という商品であるが、
前々から売っていたのだろうか。同類症状の方、御参考までに。
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9/5(金)の夜、、NHKのテレビで、
「落語家、桂米朝・一門60年の軌跡」を見た。
その感想をこの欄にと思って書いたのだが、書き終えて気がついた。
これは「落語、演芸、笑いのノート」に入れておくべき文章なのだ。
そちらに収録いたしましたので、御参照ください。
08年8月
◎習慣の力というより、これは後遺症だ
ラジオの早朝番組が終わって2カ月たつのに、
まだ夜中に眼が覚める。
早く真人間の生活パターンにもどろうと、夜、
10時前に眠くなるのを無理に12時頃まで起きていても、
やはり3時半とか4時に目覚めてしまう。
それからもう一度眠れればいいのだが、
残暑で寝苦しいこともあってむつかしい。
「いらち」だから自宅の朝食時間である7時までは待っておれず、
そのまま起きて始発電車に乗ったりする。
そんなに早く仕事場へ行ったからといって、
執筆に馬力がかかるわけでもないから、
まあ無意味なことをしているのだ。
早くこの後遺症が消え、涼しくなって、
せめて6時頃までは眠れることを願うのみである。
◎アホといえばアホ、偉いといえば偉い!
500円DVDを安い安いと思ってたら、今度は宝島社から
2枚組で500円というシリーズが出た。思わず戦争映画、
「戦場」「総攻撃」のセットを買ってしまう。
エイゼンシュテインの「戦艦ポチョムキン」も、
これは500円の方だが買っておく。ポチョムキンは大学時代だったか、
名作上映会で見た記憶がある。モンタージュ手法で有名になった作品で、
それについては思い出すたびに笑ってしまう話がある。
小松左京さんが以前、大阪芸大(だったと思う)の特別講師か何かで、
映像制作を教えていた。学生にモンタージュ理論を教えて
ビデオを作らせたところ、ある男の作品中に、
布団に寝ている病人→難しい顔をする医者→畳の上に投げられたスプーン
というシーンがあった。小松さんいわく、
「これ何やて聞いたら、医者が匙を投げたということを表現しましたって言い
よんねん。そんなんモンタージュやあらへん、絵解きやがな」
その学生、いま何をしているのだろう。前衛映像作家になっているのか、
それともお笑いの道に進んでいるのか。
(追記。除湿の件、御教示御礼)
◎今週も、日々変化なし
週に一度、仕事場に置いてあるミニサイクルで、
スーパーへ買い出しに出かける。
パン、麺類、肉、野菜、玉子など、昼食材料を仕入れておくのだ。
肉よりも野菜を多くする。キャベツ、人参、タマネギなどだ。
夕方以降のための缶ビールも買う。
夏バテを防止してスタミナをつけるべく、鳥肝のしぐれ煮、セロリ、
ピーナッツなどを買うこともある。前はニンニクの芽をよく買っていたが、
中国からの輸入食品だから、最近は買わなくなった。
それらを冷蔵庫に入れておき、適当に調理して、
人の半分量くらいの昼食にするのである。
外に食べに出ることは、ほとんどない。
近所に店が少ないので混んでるし、量が多くて腹が苦しくなるからだ。
原稿は何とか書けている。無言で書いている。作家なのだ。
◎日々、変化なし
暑いなかを出勤する。仕事場は朝から室温30度を超している。
クーラーは身体に合わず、すぐ頭が痛くなるのだが、
仕方がないから29度に設定してかける。
そのかわり服はTシャツと短パンに着替える。
パソコンのメールをチェックする。あいかわらずスパムが多い。
『もっか全国47都道府県では、中年男女が乱れております!』、
何じゃこれは。返信が必要なものを処理し、
ネットでホームページいくつかの更新を確認する。
仕事にかかる。昼食は室内で適当にすます。もともと小食だし、
この暑さで食欲も落ちているから、人の半分くらいの量だ。
ちょっと横になってから仕事にもどる。烏龍茶を飲みながらだが、
夕方5時以降はアルコール飲料を飲みつつということになる。
適当なところで仕事に区切りをつけ、
まだまだ猛暑の街に出るのは嫌だなあと思いつつ着替えにかかる。
その間、クーラーはずっとつけっぱなしなので、
今月の電気料金がいくらになるのか恐怖を覚える。
長篇執筆をスタートしたので、ほぼ毎日、
無言でこのパターンの繰り返している。作家みたいである。
◎さて、どうなるか?
北京五輪の開会式が迫ってきているが、これに関して、
「北京は開催地には指名されるが、オリンピックそのものはひらけない」
という予言を、ずっと以前にしていた超能力者(?)がいるらしい。
人から聞いた話であって、事実談なのか都市伝説のたぐいなのか、
そこまではわからない。しかし、国際テロ組織が動くか、国内の反政府団体
が実力行動に出るか、何となく不穏の可能性がありそうな気はする。
1987年、翌年のソウルオリンピック開催を阻止するべく、
北朝鮮は大韓航空機を爆破した。このとき中国は北朝鮮に、
「もしさらに開会式を妨害するような行動に出たら、人民解放軍を
百万人単位で動員して、ピョンヤンならびに北朝鮮全土を制圧する」と
厳しく警告したという話がある。国際テロ組織に対して、
それと同じような警告を出せる国があるのか、ないのか。
中国が、国内の反政府団体に対しては、
いざとなったら大弾圧をする国であることはわかっているのだが。
08年7月
◎それだと嬉しいのだけれど……
近々、出版芸術社から日本SF全集というシリーズ本が出る予定であり、
その第二巻に当方の旧作、「言語破壊官」が収録される。
そこで昨日そのゲラ校正をしていて、驚いたことがある。
作中で主人公や破壊官が使う異言語、これは執筆当時(1979年)、
タモリ氏や坂田明さんがはやらせていた「ハナモゲラ語」を
使わせてもらっているのであるが、何十年ぶりに読み返しても、
その異言語による会話にこめた意味が、すべてわかるのだ。
そしてまた、この世界の成り立ちに関する主人公の妄想的過激思考も、
疑似論理の筋道がちゃんと通っているので、いまでも十分納得でき、
「現実の世界は、実はここに書いてあるとおりの構造を
持っているのではないか」と思えてきた。
ちなみに、この「言語破壊官」を書いたのは79年の5月末で、
そのままつづけて6月初頭に「集中講義」という、
これもまた言語にこだわった短編を書いている。
その間、脳が異様にクリアーになっていたことを覚えているが、
旧作を何十年ぶりに再読して「わかる」「納得できる」のは、
もっか長篇執筆の準備作業に没頭しているため、
脳がラジオ用から小説用へと急速に
異様なるクリアー状態に変化しつつあるためかもしれないのだ。
◎とにかく大阪は暑いわい
日曜の朝9時過ぎに、西成区、JR新今宮駅前のハローワーク
(旧称、あいりんセンター?)横を歩いていた。なんでまた?
ランダム案内の取材で東住吉区へ行くのに、
昼前や午後だと熱暑で倒れる恐れがあるから、
早朝7時過ぎに現地着という予定を組んだ。そしてその帰路、
ハローワーク横の道路にずらっと露店が並んでいることに気づき、
立ち寄ったというわけなのだ。衣類、古道具、ビデオやDVD、釣り道具、
なぜだかわからんけど使い古しヨレヨレの女性下着類など、
いろんな品物を台に乗せたり、地べたにビニールシートを敷いて
並べたりして売っており、道路は付近の簡易ホテルや
アパートに入っているらしい連中で混雑している。
へええ、こんなバザールが開かれてたのかと
ひとしきり覗き込んでいたのだが、すでに暑くなっていて日射もきつく、
早くも商品を片付けて帰る人たちもいた。
おばさんは自転車に大荷物を積んで、えっちらおっちらこいで帰る。
おじさんは奈良ナンバーの軽四輪に積み込んで帰る。
こちらもそれにならい、市川右太衛門「旗本退屈男」の
DVDを買ったのみで、早々にひきあげてきたのだった。
◎なにしろ、卒業して38年だもんな〜
大学時代の古巣である広告研究会が、今年創設80年、
復活50年を迎えるそうだ。戦中戦後に一度休部だか消滅だかし、
昭和33年(1958)に再発足したということらしい。
そこでその記念行事として、大学でOBと現役が一緒になって
懇親パーティーをひらき、記念の植樹をし、刊行物も配布するという。
大学でパーティーをというのは、結婚披露宴もできる
豪華な同窓会館ができてるからで、わしの個人的な意見としては、
そんなもん建てるカネがあったら研究に使え、授業料を安くしろ、
宝塚ファミリーランド跡地の一部を買って小学校なんか開設するな〜
と言いたいのだが、とにかくまあ、そこが会場となる。
刊行物は広研の活動史を各年度ごとにまとめた
クロニクルらしく、豪華本でも出すのかと思ってたら、
その文章や写真をCDに収録して配るとのこと。
なるほど。それはそのほうが、安くあがってよろしい。
パーティーは11月初旬に予定されており、一応出席するつもりでいるが、
わしは昭和41年度(1966)の入学入部だから、
復活広研ではかなりの古顔ということになってしまうのだ。
まあ、老兵は老兵らしく、目立たんように、
広い会場の隅っこで水割りをなめてることにいたしましょう。
◎メッセージ御礼
番組終了時、多くの方から慰労や再開期待のメッセージいただいた。
ラジオ大阪宛もあり、このホームページ経由のメールもあり、
手紙や葉書もあって恐縮している。
ブックレビュー、大阪ランダム案内、毎朝の新聞記事紹介と解説。
これらがわかりやすくて興味深かったという感想が多く、
中西アナとの掛け合いが漫才風でおもしろかったというのも目立った。
「もって瞑すべし」であって、スタート時に、
「こういうことをしよう。ああいうことしてやろう」と、
自分なりに考えていたことが、ほぼ実現または達成できたと言える。
できなかったのは聴取率の向上のみで、しかしこれは当方に限らず、
個人が少々どうこうしても変わるものではないということも、
つくづく実感させられた。何にせよ、貴重な経験をさせていただいた。
リスナー及びメッセージをくださった皆様に、篤く御礼を申し上げる次第。
これからしばらくは仕事場にこもり、体験の長篇小説化にかかります。
08年6月
◎「朝はミラクル」、今月末で終了
トップページにも書いたように、早朝ワイド番組は
6月末までということになった。いろいろと事情あってのことらしいが、
3年3ヶ月やらせてもらい、吸収すべきものは目一杯吸収したので、
その点において文句はなし。
逆に新たな「職能」を開発できたことに、感謝している。
商売替えして「パーソナリティーになる」ではなく、
作家が「パーソナリティーの役を勤める」というモノサシで測れば、
自分が大体この程度まではできるというレベルがわかったので、
これからもラジオの仕事は、依頼があれば受けていくつもり。
ただし、月曜から金曜まで毎朝3時半起床は、もうよろしいけどね。
それはともかく、7月からは脳の働きのメイン部分を
「作家」モードに戻さなければならない。
大量のメモと資料を活用して、小説版「朝はミラクル」に取りかかるのだ。
◎上田秀人様
御丁寧なメールをいただき、ありがとうございました。
先般の件は、リスナーの方々にも役に立つ情報と思い、
御紹介させていただいた次第です。
御活躍を、お祈り申し上げます。とりいそぎ、御礼まで。
◎仕事柄、ついつい視線が走ります
13日と14日、大阪で財務大臣サミット開催中だから、
中之島近辺は機動隊の腕章をつけた警官だらけである。
会場になっている国際会議場周辺など、交差点ごとどころか、
十メートル間隔かと思えるような配置で立っている。
信号待ちしながらその警官の顔を見てると、若い若い、
当方の娘より若そうで、大丈夫かいなと思ってしまう。
何が大丈夫なのかというと、何かあったら
「キレる」のではないかという点においてだ。
なにしろ腰には伸縮式の警棒と拳銃をつけている、
手には警杖(長い棒)を持っている。身体つきはというと、
機動隊だから大柄なのが多く、柔道の有段者みたいな巨漢もいる。
そんなのがキレて暴れ出したら、これはもう
逃げるしかないなと思うわけである。いや、別に私は、
いらんこと言うて挑発する気もないんですけどね。
それはそうと彼ら、腰のベルトには携帯電話もつけているのだが、
あれは私物なのか官給品なのか、どっちなんだろう。
ケースがベルトにきちんと装着できる形式なので
官給品ではないかと思ったのだが、ケースのみそれで
端末は私物なのか。それから
左胸の肩に近い位置につけている受令器が、
見なれた型の物より随分大きかったのだが、
新型なのか機動隊用なのか。
「聞いてみようかな。しかし、緊張してる相手にそんなこと聞いたら、
不審人物扱いされるもしれんなあ」
などと思ってるうちに信号が変わったので、
交替に来たらしい別の巨漢とすれちがって渡ったのでした。
◎まぎれもない事実談でさあね
どの本で読んだのかは忘れたが、こんな話があった。
東京の某テレビ局のディレクター、撮影でどこかの島へ行き、
そのとき出演者の一人だった女性タレントが怪我をして
現地入院ということになった。撮影チームが引き揚げたあとも、責任上
そのディレクターは残り、彼女の下着まで洗ってやるほどの世話をした。
すると退院して東京へもどってのち、彼がアメリカのSFの
ペーパーバックや雑誌のコレクターだと知っていたらしく、
その女性タレントが某夜電話してきて、その種の雑誌があるから
差し上げたいと言った。貴重なコレクションでもあるのかと思って
すぐさま愛車で駆けつけたところ、雑誌は一冊しかなく、
彼女はガウンの下は裸という「おまかせ」スタイルで待っていた。
ディレクター、厚意のみお受けし、相手の顔をつぶさないよう
場の雰囲気をおさめて、そのまま帰ってきたのだった云々。
記憶だけで書いたから細部に間違いがあるかもしれず、
アシスタント・ディレクター時代の話だったかもしれないが、
6月6日に訃報が入ったSF作家クラブの大先輩、かつまた
「ちびっこのど自慢」「ひらけボンキッキ」などの制作者、
野田昌宏さんの本に出てきた、御自身の体験談である。
「それなんざ、あ〜た、まぎれもないSFでさあね」などという、
クラブの会合での上機嫌な大声が耳に残っている。
九州の大財閥につながる家系の出身で、小松さんとの対談で
「太郎がね」などと言っているのは、麻生太郎氏のことなのだ。
大先輩が、一人、また一人と亡くなっていかれるなあ。
謹んで、御冥福をお祈りいたします。
◎「と学会」会長の面目躍如!
昨年、「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(武田邦彦・洋泉社)を
読み、ゴミの分別処理やその実態などに関して、
「そうだったのか。けしからんな!」と思ったものだった。
ところが今年に入って、「“環境問題のウソ”のウソ」(山本弘・楽工社)
という本も出たので、すぐさま読んだところ、今度は前著の武田氏について
「そうだったのか。なんじゃそら!」と思わされた。
なぜなら武田氏、自分の主張を力説するためには
データも勝手にいじくりまわす、疑問点を質問するとはぐらかす、
遂には、「私はヨーロッパ文化そのものを否定してます」
などと言う人だと書いてあったからだ。
「と学会」会長たる山本氏は、とにかく事実やデータを元に
納得できない点については徹底的に追及していくという姿勢だから、
掲載されている両者のメールのやりとりなども噛み合ってないわけで、
いまの段階では、ぼくとしては山本氏に軍配、
武田氏を「トンデモ」教授と判定せざるをえないのである。
無論それと、環境問題そのものをどう捉え、
どう対処していくべきかということとは別なのであるが。
08年5月
◎さて、どうしたものだろう
五味川純平氏の『人間の条件』を読んだのは、サラリーマン時代。
軍事用語や旧満州の地名などが数多く出てくる大作であるが、
戦記物などもよく読んでいたので、特に遅滞なく読み進めることができた。
しかしそれとは別に、わからない用語がひとつあった。主人公が勤務先で
仕事をする場面などに、フルスカップという名詞が出てくる。
書類か書類挟みのようなものらしいのだが、形状の見当がつかない。
別の五味川作品にも出てきたので、国語辞典をひいたのだけれど
載ってはいなかった。長らく、思いだすたびに、気になっていたのである。
ところが先日、それがいきなり判明した。
高校時代に読んだコナン・ドイルを再読してみようと思いつき、
『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』を何十年ぶりに買って読んだところ、
『ボール箱』という短編中にその言葉が出てきて、訳註が加えられていた。
それによれば、フルスカップとは約43センチ×33センチの洋罫紙のことで、
もとは道化師の帽子の透かしが入っていたのだという。
だから、この『ボール箱』ではフールスカップと表記されているが、
本来はフールスキャップだったのだろう。
そこで今度は英和辞典をひいてみると、ちゃんと出ていた。
前にも英和をひいたかどうかは覚えてないが、ひいたとしても、
FOOLではなくFULLの項目で探していたのだろう。
また、『人間の条件』のフルスカップで『ボール箱』を思い出せなかったのは、
その初読時、訳註は読み飛ばしていたからに違いない。
で、長年の疑問が溶けたのは嬉しかったのだが、作家としてはどうしても、
「作品中の用語は、注釈なしでどこまで通用するのか」という、
別の問題を思い出してしまう。五味川作品で例示すれば、
『戦争と人間』のなかにフェロ・アロイという名詞が出てきて、
合金鉄という訳語や、その用途も書かれている。そこから推理するに、
作者はフェロ・アロイは製鋼の専門用語だから説明が必要、
フルスカップは一般的な名称だから不要と判断していたのだろう。
だが、ぼくが『人間の条件』を読んだ70年代の初め頃、
広告の仕事をしていて印刷や用紙の専門用語をある程度知っていたにも
かかわらず、フルスカップという名称は聞いたことがなかった。
当方の初読時には、すでにそれは死語に近くなっていたのである。
となると、LP、ドーナツ盤、キーパンチャー、国鉄、専売公社などなど、
過去に多くの小説や記録作品中に使われてきた名称は、
この先もしくはすでに現在、軒並み注釈が必要だということになりそうだ。
また、電卓はまだそのまま通用しそうだが、
ググる、メル友、写メールなどという略語は、どれだけの寿命を保てるのか。
星新一さんがこの問題を気にして、電話の「ダイヤルをまわした」を
「プッシュボタンを押した」という具合に、ショートショート集増刷のたびに
訂正しておられたのは有名な話だが、どんな作者も、作品自体を、
いつまでも訂正しつづけるわけにはいかないのだ。
そのうち必ず死ぬのだから……
(以上は、日経大阪本社版、5/22夕刊に書いたものの再録です)
◎疲れが疲労を呼んでおります
頭の回転というか、働きが、何かの拍子に止まってしまうことがある。
もちろん何もかもが停止するわけではなく、
物事を秩序立てて考えるとか、それを文章に構成するとか、
そういった働きがであって、いまがその状態。
このフリーメモに何を書くか、材料はいろいろあるはずなのに、
個々のものとしてうかびあがってこず、
もやもやとした雲のような感じで意識の奥にうごめいているのである。
寒暖の差が激しくて身体がだるく、かつあれこれ雑用雑件も多いので、
脳も疲れているのだろう。
こういうときは、気の合った友達とどんちゃん騒ぎをやって
発散すればいいのだが、この歳になると、それもめんどくさいしなあ。
というわけなので、本日はこれにて失礼いたします。
◎してる、できてる。それは確かである。
ラジオの仕事を終えて仕事場へ向かうときには、
地下鉄中央線を利用して阿波座で降りる。
その駅のすぐ近くに中国総領事館があり、四周には普段から
警備の警察官が立っていて、機動隊の警備車輌も常駐している。
農薬餃子がどうとか、日本海のガス田がこうとか、
ニュースがあると右翼の街宣車がやってくるので、
そのときには警備陣も増強される。
昨日(5月9日)は胡錦濤国家主席が来阪するというので、
市の中心部は警察車輌だらけの機動隊だらけ、
こちらもいつもにましての大警備体制だった。
一方、さすがに総領事館の前でやれば排除されるのか、
気功集団「法輪功」のメンバーが阿波座駅の横でよく抗議活動をしており、
昨日も横断幕、写真展示、チラシ配りで
中国共産党と政府の弾圧実態をアピールしていた。それによると、
国家転覆を謀る反政府組織と規定された法輪功のメンバー、
不当逮捕や長期拘留、暴行、拷問を多々受けており、
移植用臓器摘出のため生体解剖された者もいるという。
いかにも中国式にその犠牲者のカラー写真(男性の裸体の上半身、
腹から胸へと、ブラック・ジャックの顔の傷を大きくしたような
ギザギザの縫合線が複数走っている)を展示してのものだったが、
それが事実なのか捏造なのかは、こちらにはわからない。
事実なら、反体制側の人間など、人格も人権もあったものではなく、
単に臓器提供のための「材料」とみなされていることになるわけだが、
その非(というより超か?)ヒューマニズム的な規定は、
「人豚や人肉食の歴史を持つ中国」×「疑似宗教的な絶対価値を死守する
共産主義」という条件下では、ありうることかもしれない。
総領事館のすぐ近くで、国家主席来阪の日も、
一大警備陣の干渉を受けることなく、抗議活動ができている。
これが、その基準において、ありえないことは確かだろうが。
◎夢は青空を駆けめぐる
ちびた鉛筆をはめこんで使う、長さ10センチほどのホルダーがある。
アルミなのかスチールなのか、直径1センチほどの薄い円盤を、
ビールの缶と同じくプレスでのばしてパイプ状に整形した、ごく軽いもの。
そこでバルサ材で全長15〜20センチほどの小さな飛行機を作り、
その胴体にこのパイプを挿入もしくは下腹に抱え込ませる、
あるいはV1号式に背負わせる。翼は「しなう」方がいいから、
極薄のプラスチック板でつくる。無論グライダーとしても安定飛行するよう、
頭部にオモリをつけ、重心をきちんと測って主翼をとりつけておく。
そしてこのパイプにロケット花火をセットして点火すれば急上昇し、
ああいう花火は大抵上空に達して爆発する仕掛けになっているが、
それもパイプ中で起きるのだから、強力な追加推進力になって、
さらに高空へと突き進む。上昇を終えたのちはグライダー式に滑空して、
主翼もしくは垂直尾翼にちょっと工夫をしておけば、
優雅に旋回して降りてくるのである。
このロケットグライダー、往年の模型少年だった当方にとっては、
いますぐにでも製作できるものである。
オモリと重心と主翼の取り付け位置の関係だって、実技として知っている。
ホルダーは文具店にあり、ロケット花火が夏場でなくても
百円ショップに売っていることも確認済みである。
爆発圧にパイプが耐えうるかどうか、それだけは未確認だが、
噴射口が開放されているのだから、多分大丈夫だろう。
というわけで、前々から実験したいしたいと思いつづけているのだが、
どこでやるかを考え出すと、やはりこの年齢になった人間として
躊躇してしまう。町中の公園はもちろん、
砂浜などでおっさんがそんな実験をしていたら、
多分怪しまれて警察に通報されるだろう。
どこかの山中にでも行けば目立たないかもしれないが、
わざわざ遠出をしてまで実験し、初飛行で爆発圧によりパイプが裂けた
などということになったら、あほらしくも情けない気分になる。
結局、「子供の頃にやっておけばよかったなあ」ということになるのである。
08年4月
◎ステレオカメラの仕組み
中年と思われる某SFファン男性から、当方が、
ユニークな作品および美貌で有名な某女性作家
(早い話が山尾悠子さん)のステレオ写真を所持しているらしいが、
それをこの欄で公開せよと迫られた。しかしそれはできないのである。
というのが、まずこのカメラ、レンズが人間の眼のように
ふたつ並んでついている。撮影すると、ポジフィルムの横並び2コマに、
同じ対象でわずかに撮影角度のずれた映像が記録されるわけで、
それを紙製のマウントに収めて保存する。
一方、専用の小さなビュアーがあって、これは黒い紙製で折り畳み式、
接眼部分にはプラスチックレンズがふたつついている。
紐を引いて立体化すると上記のポジ写真マウントが
前部に差し込めるようになり、照明あるいは明るい方に向けて覗けば、
撮影された対象がくっきりとした立体映像になって現れる。
とまあ、こういう仕組みなので、
見たければ現物を「覗いて」もらうより仕方がないのである。
なおカメラは高齋正さんの所有品で、星新一さん・山尾さん・かんべ、
およびその三人プラス堀晃さん(その背後に荒巻義雄さんの顔の一部)
という2カットを撮影し、ビュアーを添えて送ってくださったもの。
星さん上品、山尾さん美人、かんべ若くて髪多し。もう、よろしいか……
◎憤怒激昂している星新一
たまたま立ち寄った古書店で、「別冊新評・星新一の世界」を見つけた。
昭和51年12月10日発行となっていて、定価が650円。
古書としての定価は1000円。無論おれは当時、この別冊を新評社
(新潮社ではないよ!)の編集者が送ってくれたので熟読玩味した。
ところが後年、阪神淡路大震災で自宅の本棚総崩れ、
大量の書籍や雑誌がぐしゃぐしゃになってしまったので、泣く泣く、
もしくは腹立ちまぎれに、「壮烈に」処分した。あとから気づけば、
そのなかにこの「星新一の世界」もまざっていたのだった。
しまったことをしたなあと思い、しかしまあ仕方ないやとも思って、
そのままになっていたのだが、昨年の最相葉月氏の大作刊行以来、
もう一度読みたい(正確には、あるイラストをもう一度見たい)気持ちが
高まっていたので、しめたとばかりに購入した。
問題のイラストは、筒井康隆さんの「星新一の残酷性と人間愛」、
その文章中にレイアウトされているもので、描いたのは本間憲一氏。
温厚、にこやか、ジェントルマン。大抵はこの雰囲気で描かれる
星さんの顔が、この作品においては憤怒、激昂、狂気といった、
すさまじいものになっている。筒井さんの文章とともに、
これは星さんの心の深層を露出させた名作だと思い、
それで長らく記憶していたのだ。
そして、セロファン紙で厳重に密封されていたため、
内容は確かめられないまま買ったのだが、
さて、開封して確かめた結果はどうだったか。
う〜む。おれはもっともっと、すさまじい顔だと思ってたんだよなあ。
前回「脳の美化作用」のことを書いたが、
今度は脳の「激烈化」作業を確認させられた。
それはつまり、おれが星さんの深層内面を、
そう捉えていたからだということになるのだろう。
◎脳の美化作用に苦笑する
阪急宝塚線の豊中駅。そこから商店街を歩いて
上野に向かうゆるやかな坂道を上がると、左手すぐに豊中稲荷がある。
大きな赤鳥居が立ち、それをくぐると拝殿までの左右には
これまた赤塗りの常夜灯がずらりと並んでいて、春の夜などは
満開の桜の花の下、そこに明かりがついて夢幻的な光景となる……
という具合に記憶していたのは、昔、市内に住んでいた当時、
中学生高校生だった時代にそれを何度も見た覚えがあるからである。
そこで先般休日の夕方、「春宵一刻価千金」を味わうべく出かけてきた。
デジカメを首にかけ、酒類小瓶を片手に、
豊中稲荷あたりでうまい具合に日が暮れているよう、
時間調整しながらあちこちランブリング。
ところがそこに到達してみると、境内の木々は桜ではなく、
黒々とした松や常緑樹だった。ずらりと並んでいたはずの常夜灯も、
左右それぞれ七基だけだった。こちらの脳が勝手に、
いつのまにか、光景を「美しく」作り替えていたのだ。
別に高校時代、そこで女の子と夜のデートをした
なんてこともなかったんですけどね。
◎ええ意味もこめて言うてますねんから
ラジオ番組の相方、中西アナウンサーは大阪女子大出身である。
府立大学であるが、しかしすでにここは、
大阪府立大学と統合されて消滅している。で、それはそれとして、
ぼくや中西氏の学生時代、国公立大学の校舎といえば古びて素っ気なく、
コンクリートの壁面も汚れて、「ずず黒い」のが通り相場だった。
中之島にあった阪大医学部の校舎や病院など、
これでは来診者や患者が気を滅入らせて、
なおさら病状を悪化させるのではないかと思うほどだった。
けれども一方、当方にとっては、それが「学問の府」のイメージを
広げてくれていたことも確かで、第一志望校だった大阪市立大学へ
下見に行ったときには、灰色の冬空の下、
それよりさらに重い灰色の鉄筋校舎に悪夢的とも言えそうな印象を受け、
「合格すれば、おれはこの世界に入れるのだ!」と興奮したものだった。
その頃すでに読んでいたのが何だったか、正確な記憶はないのだが、
そろそろ開高健氏の作品にしびれだしていたので、
「あの開高さんの出身校に自分も」という思いが、一層強まったのだ。
ただし結局ここは落ち、関学という、当時キャンパスの広さ美しさでは
日本一などと言われていた、ずず黒さやカフカ的な悪夢の雰囲気とは
正反対の大学に通うことになったのだが、形而上、形而下ともに、
それが我が人生コースの大きな分かれ目になったのかもしれない。
とまあ、当方そんな意味と感慨をこめて、「ずず黒さ」という言葉を
使っているのだけれど、冒頭に書いた中西アナ、
「ラジオ体験を小説にするときには、大阪女子大の雰囲気なんかも
はさむかもしれませんよ」と言ったところ、
「私の青春を、ずず黒いもんにせんといてよ!」
いやいや、まあまあ、そうおっしゃらずに……
◎ジャスミン茶の副作用?
ある雑誌に、あの花の香りは気分を明るくするとか、
この花の匂いは食欲を増すとか、花の香りの効用が載っていた。
そしてそのなかのひとつ、ジャスミンの香りはコーヒーの二倍の
覚醒作用があり、おまけに強精効果があって元気が出ると書いてあった。
こちらは早朝生番組で慢性睡眠不足、かつ常に疲れ気味だから、
しめたとばかりに考えた。
「それなら、毎朝ジャスミン茶のティーバッグを持っていって、
本番中はそれを飲めばいいのではないか」
もっかは緑茶を飲み、コーヒーを飲みつつやっているのだけれど、
二倍の覚醒効果とくれば、捨ててはおけないのだ。
そこでさっそく購入して試したところ、気のせいか眼はぱっちりしたように
思ったのだが、なぜか翌日、便通が悪くなって難儀した。
他に思い当たる原因はなく、といって漢方の本で
ジャスミンを調べてみても、その種の副作用(?)は
記載されていない。さて、どうしたものか。ティーバッグは、
百袋入りの大箱を買ってしまっているのだ。
トイレでう〜む、これを書きながらう〜む。
08年3月
◎買おう買おうと思いつつ
下記「栄光の上方漫才」セットについて、先日、
「いずみ」さんから内容情報をいただいた。ありがとうございました。
で、それとは別に、松竹芸能から角座全盛期の演芸DVD集が出ており、
これは「栄光の〜」と違って、通販の新聞広告やネットなどで
内容がしっかりわかる。「伝説の昭和上方漫才・松竹名人会」
定価19500円というもので、ダイラケ、かしまし娘、ワカサひろし、
いとしこいし、レッツゴー三匹などとともに、宮川左近ショー、
ゼンジー北京、吾妻ひな子の各師も収録されている。
そしてぼくが広告を見た瞬間、「これ買おっ!」と決めたのは、
桜山梅夫・桜津多子、桜川末子・松鶴家千代八の
両コンビも入っていたからだ。
サラリーマン時代、ということは今を去る三十五、六年前、
神戸新開地の松竹座で桜山梅夫師の三味線曲弾きにしびれた当方、
「こんなん、ぼろくそ!」というキメのせりふを、再度味わいたいのである。
そして末子師の「は。どっこいさーのせえ〜!」もだ。
米朝師匠が著書で紹介しておられる、どこそこは酒梅、
どこそこが太政官、「じゃんじゃん町は末子じゃい!」という
タンカが入っていれば、なおのこと嬉しい。
しかしこれ、去年の11月に発売されたのだが、
買おう買おうと思いつつ、まだ買えてない。
日々多忙でつい忘れてしまうし、CDショップに寄ったときには
必ずチェックしているのだが、見あたらないからでもある。
しかしまあ、そのうち買います。
◎私の見間違いでしょうか?
「栄光の上方漫才」というCDブックが出ている。
朝日放送と吉本興業の共同企画で、CDセットに解説書がついて
19800円。ところがこれ、ジュンク堂書店で手に取ってみると、
CDと解説書が専用のケースに入っており、
その上からビニールでパックされている。にもかかわらず、
そのケースの表面、裏面、本で言えば背にあたる部分のどこにも、
収録コンビの一覧がない。裏面には空きスペースがいっぱいあるのだが、
何もなしののっぺらぼう。発売当初は平台に
チラシとともに置かれていたのを見かけており、そのときならば
それで内容を確認できたのかもしれないが、棚に入った現在は、
どんなメンバーの漫才が楽しめるのか、皆目わからんのだ。
「ひょっとしてこのビニールパックは、ジュンク堂でかけたのか?」
と思ったのだが、某氏の話では、紀伊国屋に並んでいたものも
同様だったとのこと。としたら、デザインや印刷の手違いで
一覧が抜けてしまったのか。それとも、黙って買えということか。
何にしても、なかみの確認をさせないまま、
2万円近い商品を売ろうとしているのである。
いまこれを書くためネットで調べたところ、エンタツ・アチャコ、ダイラケ、
やすし・きよしなど、合計15組が入っているそうなのだが、
これも名前がわかるのは6組のみ。どういうことなのか、わけがわからん。
じゃによって買ってはおらんのである。
◎主人公の名前はイスラム天
中学のときだったか高校のときだったか、
学習雑誌に載っていた連載小説で、一冊の本になっているのなら
古書ネットで探して読みたいと思っている作品がある。
タイトル忘却、作者名忘却。舞台は中国の新彊ウイグル地区で、
第二次大戦後、独立運動が起きている。
そのための軍隊も組織されており、そこに一人の指揮官がいる。
その彼は実は日本人で、大戦中、秘密の飛行場を造るため
偵察と調査に派遣されていた陸軍将校だった。
その過去は周囲には隠されているのだが、彼が持っている双眼鏡は
旧陸軍のもので、胴の部分には日本語で名前が書いてある。
それは「イスラム天」という名前なのである……。
覚えているのはこれだけだが、そして仮に読み返せば、
「な〜んだ。子供だましか」と思うかもしれないのだが、
ひょっとしたら大傑作かもしれない。
しかしネットでイスラム天と検索しても、何もヒットしないのである。
御存知の方、おられましたら御教示を。
◎イージス艦衝突事件で思い出したのだが、
旧海軍の軍港では、舞鶴の他、呉と横須賀へ行ったことがある。
呉は大和ミュージアムができたときそれを見に行き、
横須賀は仕事で上京した帰路、どんな街かしらと足を伸ばしたのだ。
そして記念艦「三笠」も見学したところ、艦内の展示室に
なつかしき三共のピーナッツシリーズ、150分の1の軍用機が
ずらーっと並べられていたので驚いた。
あれ、まだ展示されてますかね?
別に旧軍港全部制覇を目標にしているわけではないけれど、
「こうなると、佐世保や大湊へも」と思ってしまう。
しかし長崎県と青森県だからなあ。
まあ、そのうち暇になったら検討いたしましょう。
08年2月
◎2・26事件にまつわる幻想。
三島由紀夫は「英霊の声」のなかで、あの事件のとき天皇は、
「神」としての務めをかくのごとく果たすべきであったという、
理想のイメージを描いている。白馬にまたがった陛下が
雪の中をおでましになり、決起将校たちに
二種類の言葉をかけるシーンである。
で、それについて、彼らを尊皇義軍と見る立場で考えれば
そうなるだろうなという理解はできるのだが、ぼくはあれを
反乱軍と思う立場にいるため、別のイメージを考える。
海軍出身の岡田首相が殺害をまぬがれ、首相官邸で
女中部屋の押し入れに隠れている。その救出に関して
史実とは別の方法、すなわち天皇の許可を求め、
そのとき海軍大学校の学生だった高松宮の出御を願うのである。
横須賀鎮守府が派遣した海軍陸戦隊が、先頭に皇族旗を立て、
ラッパを吹きつつ行進して首相官邸に入ってくる。
つづく車列の一台には高松宮のお姿が。
となると、反乱側の将校や兵は、皇族旗および直宮殿下に対して、
直立不動で捧げ筒をしなければならない。銃口を向けることはもちろん、
畏れ多くて制止さえできない。首相生存を知らぬ彼らが
何事であるかと驚愕凝視するなか、そのまま官邸内に入り、
岡田首相を救出して車に同乗させ、堂々と出ていく。
それによって彼らに、天皇の意思がどこにあるかも
示せたのではないかと思うのだがどうだろう。
ちなみに史実では、事件中の天皇に
「陸軍が鎮定できないというのなら、朕みずから近衛師団を率いて
鎮定にあたる」「岡田の救出に全力を尽くせ」という発言がある。
海軍に対しては、政府関係者から救出に陸戦隊を出してくれという
申し出もあったのだが、これは弱腰の大角海相が
「そんなことしたら陸軍との戦争になってしまう」と拒否した。
だからフィクションを書くとしたら、天皇の意思を強調して
海相の意思を変更させることになるのだろうが、これは確かに、
そのあと陸海軍の戦争になってしまうかもしれない。
歴史をいじるのは、むつかしいことです。
◎雪の北摂、箕面へ行く
先週土曜日(2/9)の昼過ぎ、小松左京さんとお会いする約束があって
千里中央へ行った。ところが大阪市内でもめずらしく雪が降っており、
地下鉄御堂筋線が地上に出て、新大阪を越すあたりからは本降り状態。
緑地公園、桃山台と、竹藪丘陵の残ってるあたりは、
それが真っ白になっている。そして千里中央で約束のビルに行ってみると、
秘書の乙部さんが待っていて、脚が弱ってる小松さん、
雪で滑ったりしたら大変だから連れ出すわけにはいかない、
このまま自宅まで同行してほしいとのこと。
タクシーで箕面の奥まで移動したのだけれど、ふりしきる雪の光景は、
どこか別の地方に来たような印象だった。
1時半に着いて3時半に失礼するまで窓の外はずっと雪で、
夕方なら雪見酒ができるのだが、こちらは帰ってまた
仕事をしなければならないから、そうもいかない。
小松さん冷酒、当方コーヒーとホットミルクで、
お話をさせてもらったのだった。その内容は四月末に出る
「小松左京マガジン、第30巻」に掲載される予定。
それにしてもまあ、寒い午後でした。
◎いやまあ、実にどうも。
地頭(じあたま)という言葉が、はやりかけている。
ぼくは「国家の罠」(佐藤優)という本で知ったのだが、
学歴や職業や地位などとは関係のない、
個人のもともとの頭の良さ悪さを示す用語として使われていた。
「おるおる。地頭の悪いやつは、おるよなーっ!」
読んだとき大いに納得したのは、その実例をいくつも知っていたからで、
たとえば広告マン時代、中途採用で入ってきた男がそれだった。
年齢は二十代なかば。別業種の会社に勤めつつ、コピーライターの
養成講座を卒業したという触れ込みだったが、
広告の文章をブンガク的に書こうとして、しかも書けないという、
認識の誤解と技術の未熟を兼ね備えた人間だった。
しかも半年たった時点で、どうも仕事上の話が通じないので
あれこれ確認の質問をしてみたところ、こやつ、
専門用語や業界用語をナ〜ンニモ理解していなかった。
凸版、平版、凹版の違い。「突き出し」とは何か。
テレビやラジオCMの縦取り、ベルト、蚤取りとは?
これらの質問に誤答、珍答、黙秘でこたえやがったのだ。
そのくせ女子社員との交流は深めたいらしく、
姿が見えないと思ったら、給湯場で楽しげに油を売ってけつかる。
われわれ男どもとコーヒーを飲みにいき、こちらが新撰組の話題で
盛り上がっていると、その話にはついてこれないらしいのだが、
自分も何か言わなければならんと思ったのか、
「ゲタシュポというのも、恐れられてたんでしょう」などと
唐突な言葉をはさむ。兄ちゃん、それも言うならゲシュタポや!
かくして彼は「ゲタシュポ」と綽名をつけられ、まったく使い物にならず、
遂に経理か庶務への異動を匂わされて退社していった。
数年後、仲間の一人が電車内で顔を合わせたら、
転職先の会社でマーケティングをやってると言った由。
アホでも見栄は張るんやなあと、またまた笑いのタネにされていたのだ。
それにしても、こういう地頭の悪さ、
どういう訓練を施せば改善されますのかなあ。
◎感心したり、苦笑したり、ゾーッとしたり
あいかわらず、金曜の午後と夜は
のた〜っと寝ころんで、500円DVDを見ている。
いやあ、マックス・フライシャーのアニメ、「スーパーマン」はすごいですね。
1941〜2年製作の5話が入っているのだが、
41年は昭和16年、つまり太平洋戦争の始まった年、
42年はミッドウェー海戦なんかがあった年ですぜ。
その頃に、こんなカラーの娯楽作品を作ってたというのもすごいけど、
出てくる飛行ロボット(宝石や札束を強奪する機械軍団)なんかの
ディテ−ルとリアリティがみごとなのだ。
「ローンレンジャー」、これは戦後の子供向けテレビ西部劇シリーズで、
ぼくも中学時代だったかに見た覚えがある。モノクロで、
ストーリーは単純かつ御都合主義的、セットなんかもちゃちなもの。
「この程度のものに、自分をふくめた当時の子供たちは
興奮してたんだなあ」と、苦笑させられるところに再見の価値がある。
そして上映時間大方3時間という、ハリウッド全盛期のMGM大作
「クォバディス」。無論シェンケビッチ原作のやつだが、
オソロシイ映画ですなこれは。キリスト教徒をライオン
(3頭や5頭と違いまっせ!)に食わせるシーンとか、
荒くれ牛と戦わせるところとか、逆さはりつけに火あぶりとか、
映画だとわかってても鼓動が速くなる。それというのも、
暴虐の皇帝ネロを演じたピーター・ユスティノフの演技がうまいからだな。
残虐処刑を見ようとて、コロセウムはぎっしり満員。
よくまあ、あれだけのエキストラを集めたものです。
CGなんかまだない時代で、全員生身の人間なんですからな。
2008年1月
◎五感で経験、マスメディアで確認。
先日の昼前だったか、仕事場への道を歩いていると、
耳慣れない爆音が聞こえてきた。
ジェットではなくプロペラ機のものだが、東の空を南から北へ、
つまり大阪市上空から降下して伊丹の大阪空港に向かっていっている。
小型旅客機の爆音より重く、かつその速度も随分遅いように感じられる。
無論これは、いちいち機種とそれらを対応させて記憶しているわけではなく、
無意識のうちに何十年も聞いている者の勘のような判定である。
そこで視線を上げて東の空を探したところ、
まさに銀色機体の大型プロペラ機が降下中だった。
自衛隊のものではなさそうだし、まして現在、大型のプロペラ旅客機など
使われているはずがない。「それにしても、のろい降り方だなあ」と思いつつ
そのままになったのだが、その日の夕刊を見て納得。
ロシアの超大型輸送機、二重反転プロペラのアントノフ22Aが、
大型ヘリコプターを積んで飛来していたのだった。
その数日後の午後、仕事場にいるとパトカーのサイレン音が
南から近づいてきて北へと遠ざかっていき、それが何台もつづいて、
別方向からのサイレン音も聞こえだした。
おまけにそれと関係あるのかどうか、上空をヘリコプターまで飛び始めた。
何事かと思っていたのだが、夕方のTVニュースを見て納得。
指名手配中の男が車を何台も盗んで(乗り替えて)、
御堂筋逆走などという無茶をやりつつ大阪市内中心部を逃走しつづけた。
それを逮捕せんとて、陸と空からの大追跡が行われていたのだった。
そういえば昔、国道1号線に近い場所に仕事場を置いていた某日、
パトカーがサイレン鳴らしつつ、聞いただけでわかるほどの猛スピードで
疾走していったことがあった。これまた何事かと思っていたところ、
後刻ニュース速報で判明。豊田商事の永野某が、
隠れひそんでいたマンションで刺殺されたのである。
こんな経験を集めたら、私家版「耳の物語」が書けるかな……
◎禁「飲食喫煙」15時間の報告
1/17(木)。昨夜9時以降、飲み物、食べ物、飴、煙草など、
すべて禁止のまま定刻出勤。進行表読み合わせ中、
および放送中も、白湯で唇を湿すのみなり。
新聞記事読んでも内容が頭に入らず、スタート後しゃべってるときも、
頭がぼんやりしてまだ半分寝てるような感じ。
これは煙草ではなく、水分、糖分未摂取の影響ではないかと思う。
何とかごまかしごまかして終了。即退出して検診に向かう。
9時40分着。50才検診もやってるのか、1ランク若そうなおじさん、
おばさん大勢なり。身長体重、採血、心電図、胸部レントゲン、
バリウムで胃の検査、血圧、内科検診なり。終了12時半過ぎ。
缶コーヒー飲んで、15時間ぶりに煙草吸う。
別に禁断症状が出たわけでもないので、禁煙車や飛行機で、
国内外どこへでも行けることを確認。
そのまま市役所へ。戸籍謄本取り、次に社会保険事務所へ。
到着1時15分なるが、手続き終了は2時半過ぎ。
年金特別便の相談者多く、単なる書類提出者も
一緒に順番待ちさせるので能率の悪いことこの上なし。
提出して書類チェックし、通常受給か一部繰り上げ受給かを選べば、
実質10分くらいですむことなのである。
国民年金、通常方式だと76才から得になるとかの話だが、
それまで生きてるとは思えんので一部繰り上げとする。
1/18(金)。定刻出勤。放送大過なし。頭のすっきりさ加減、
やはり昨日と全然違う。新聞も一読でスムースに頭に入ったのだった。
◎ええ〜い。めんどくさい。
午後から歯科医へ行かねばならない。虫歯はいまだに一本もなく、
「生まれてこの方、歯医者などというところへは行ったことがない!」
と豪語しておったのだが、一昨年、歯周病になりかけて遂に行くことに
なった。以来半年に一度、検診とプラーク除去に出頭しているのだ。
来週は居住してる市の医師会がやってくれてる、
「節目の年」の健康診断もある。50才のときに受けたきりだから、
十年ぶりだ。前夜の9時以降、食べ物、水分、酒、煙草、
すべて禁止なので、生放送中は口の乾きをどうしようかと思っている。
診断用の質問書に細々としたことを記入しなければならんのだが、
まだやってない。さらに当日、健康診断を終えたあとは市役所へまわって
住民票を取る予定だが、これは社会保険事務所に提出する、
国民年金関係の書類に添えるものだ。
その小冊子ほどある書類の記入も、まだ手をつけておらん。
これら一切、若いときには何の関係もないことだったのになあ。
◎遅ればせながら、謹賀新年!
『何と、あと二週間ほどで還暦です。まったく実感がありません。
しかしこれもひとつの区切りですから、以後は義理よりは好みを優先させ、
原稿とラジオの二分野で、楽しくやっていこうと思っております。
というわけで、本年もどうぞよろしく、お願いいたします』
というのが、当方の今年の年賀状。
眼目は「義理よりは好みを優先させて」という文言であって、
「いま聞くから、いま何か言え」というような電話によるコメント依頼や、
あれこれ体験談を語らせておいて3行5行しか使わない対面取材など、
義理で引き受けさせられるような仕事(ほとんどがノーギャラだから、
厳密に言えば仕事ですらない作業)は、やってておもしろくないし、
その結果に不快感の残る事例も多い。そういう話はどんどん断るべく、
今年は「頑固爺さん」修業をスタートさせるのでございます。なはははは。