原稿以外の仕事について

◎ラジオ関係

大学入学〜広告マン時代が、ちょうど若者向けの深夜放送全盛期。
あれこれ聞きまくり、ラジオCMも大量に作ってきたので、
いまもスタジオに入ると血が騒ぐ、ラジオ大好き人間。
作家になってのち、番組をやらせてもらったときには、
「おれは、幸せな男だなあ!」と、つくづく思ったものである。

週一回のオンエアで、1年以上つづいたのは、
ラジオ大阪の『阪神サタデーインクローバー』と、
毎日放送の『おしゃべりトリップ』。
前者は、同局の中西ふみ子アナに助けてもらってのトーク番組。
後者はSF作家仲間の新井素子さんと二人で、
毎回、いろんなゲストの話を聞く番組だった。
ほかにも短期の番組をいくつか経験し、
ゲスト出演も、時間さえ合えば、ほとんど出させてもらってきた。
だからその縁で、ラジオドラマの台本を書いたこともある。
また先年まで十年ほど、民放連・近畿地区ラジオ番組コンテストの
審査員をやらせてもらったし、そのあと、
社団法人デジタルラジオ推進協会の、
大阪放送番組審議会委員も務めさせてもらった。
どちらも、勉強になって、非常に興味深い仕事だった。

思うに、原稿執筆は雑念を排除しての一点集中作業であり、
ラジオ番組におけるトークやゲスト対談は、
話がいつどこへ移るか予測できないがゆえの、全方位即応作業である。
脳の働きや意識の状態ということでいえば、
「狭く、深く」と「広く、浅く」であって、いわば正反対の作業なのだが、
どちらも心地よい継続緊張感が味わえ、
終わったあとのリラックス感も同等だから、好きなのである。
というわけで、また機会があればと願う(狙う?)、今日この頃であります。
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と書いておいたら、その後、ラジオ大阪で、
『むさし・ふみ子の、朝はミラクル!』という、
月〜金ベルトの生ワイド番組を、担当させてもらえました。
2005年4月〜2008年6月までで、その間の多彩な経験は、
『ミラクル三年、柿八年』という長篇にまとめることができました。
まことにありがたく、各局様には、以後も御打診、お声かけのほど、
何卒よろしく、お願い申し上げる次第です。


◎講師、講演、フォーラムなど

ずっと以前、NHK文化教室(大阪)で、文章入門講座を3年間担当。
しかし、3歳児の下に双子ができて、自宅が24時間制の保育所と化し、
本業の時間も取れなくなったので、泣く泣くやめさせてもらった。
こちらの勉強にもなって、有意義だったのだけれど……
現在は、2005年に大阪シナリオ学校から分離独立したNPO法人、
創作サポートセンターの、「エンターテインメント・ノベル講座」で、
シナリオ学校時代にひきつづき、講師の一人を勤めさせてもらっている。
同センターの詳しい情報は、リンクページから、どうぞ。

講演やフォーラムのパネリストなどは、自分にできるテーマや内容なら、
おおむね、ひきうけさせていただいている。
講演のテーマとしては、発想論やアイデア技法、小説やSFの書き方、
笑いや落語について。育児や子供の教育関係、その経験談など。
フォーラムは、社会学部出身だけに、マスコミ関連、都市問題、
情報化社会関係などが、興味深く、おもしろかった。
ビデオコンクールや小説コンテストなど、審査員もあれこれ経験済み。

要するに、ラジオにしてもこれらにしても、とにかくおもしろそうで、
自分の勉強にもなるという、そういう仕事が好きなのである。
「そら、誰でもじゃ。贅沢言うな!」と怒られそうだが、
おもしろいとも思わんのに、仕方なく、惰性でやるという仕事は、
広告マン時代に山ほど、拷問的に経験させられてきたので、
いまだに反射的に、「うんざり」感に襲われるのです……


◎落語関係

この分野については、仕事というより、嬉しく楽しい「参加」作業。
新作落語の台本を書いたこともあるし、桂枝雀師匠の連続徹夜落語会で、
ゲストに呼んでいただいたり、別の会で中島らも、堀晃の両氏とともに、
三題噺の競作をやったこともある。桂歌之助さんの独演会のゲストとして、
何と、上野の本牧亭に出たこともあるんですぜ!
(枝雀師匠、らも氏、歌さん……。
別に、それが原因で亡くなられたわけではありませんので、念のため)
とにかく、長年の落語ファンだから、声をかけてもらうと嬉しい。
大入り袋と「打ち上げ」の酒のみで、駆けつけておるのであります。
もちろん、ギャラをもらえたら、もっと嬉しいけど。


◎著作権関係

初めて雑誌に作品が載ったときと、初めて著書が出せたときには、
それこそ欣喜雀躍したのだが、初めてラジオ局から作品のドラマ化、
いわゆる、原作の「二次使用」の申し込みがあったときには、
それとは別の、他の分野からも認められたという嬉しさがあった。
以来、連載漫画にしてもらえたり、テレビの単発ドラマにしてもらえたり。
朗読の申し込みがあったり、演劇にしてもらったり、
なかでも驚いたのは、短編が教科書に掲載されたことと、
長篇がテレビの連続ドラマになったこと。

前者は『車掌の本分』という作品で、光村図書の中学3年の国語教科書。
6年間使われたので、毎年、それを習う時期になると、
あちこちの中学から、どさっと読書感想文が送られてきたものだった。
後者は『課長の厄年』というサラリーマン長篇で、
TBSの東芝日曜劇場で、『課長さんの厄年』として放映された。
主人公がショーケンこと萩原健一、その妻が石田えり、
上司が長塚京三、部下が石倉三郎、渡辺満里奈という豪華メンバー。
番組関係者のお手柄で、全国ネットで視聴率20パーセントを越したので、
こちらも放映期間中は、友人知人から、ほめられ倒したのだ。
ああいう、気分のいい話。またないかしら……

なお、著作物の二次使用についての打診や折衝は、
日本文藝家協会の著作権管理部(電話03−3265−9658)
に委託しておりますので、御参考までに。