演奏会データ
名古屋大学管絃楽団
金沢大学フィルハーモニー管絃楽団
合同演奏会
1956年7月28日 3:00pm 7:00pm   北陸学院栄光館
1. グルツク/歌劇「アウリスのイフゲニー」序曲
2. ビゼー/「アルルの女」第二組曲
3. シベリウス/交響詩「フィンランディア」
              指揮:佐々木宣男


                −休憩−

4.モーツアルト/フルート協奏曲 第二番 ニ長調
              指揮:若井一朗 フルート:佐々木郁夫
5.モーツアルト/セレナーデト長調 K525
              指揮:若井一朗
6. シューベルト/交響曲第8番ロ短調「未完成」
              指揮:安藤芳亮

 
 アンコール:

指揮者 佐々木宣夫、安藤芳亮
若井一朗
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金大・名大合演1951パンフ表紙

 

名古屋大学管絃楽団
  金沢大学フィルハーモニー管絃楽団
         合同演奏会に寄す





                名古屋大学管絃楽団 団長  橋本 義雄

 私共の名古屋大学管絃楽団は此度北陸地方の演奏旅行及び合宿そして私共の団にとって初めでの試である金沢大学フィルハーモニー管絃楽団との合同演奏会を行うことになりました。金沢大学フィルハーモニー管絃楽団に比べで歴史の浅い、名古屋大学管絃楽団にとってはこうした演奏会が何よりもオーケストラそのものに対する良き刺げきとなり多くの学ぶべき点を見出すこととでありましょう。ここに私共は金沢大学フィルハーモニー管絃楽団のひとかたならぬ御尽力に厚く感謝致します。
 ともすれば自らの内に閉じこもり勝ちなオーケストラ活動を社会的な存在価値をもつひとつの運動として続けるために私共はあらゆる機会をとらえて努力したいと思っております。この催しが、今後益々発展することを期待し荒れ果てんとする人々の心に美しい一輪の花となり、一方私共の楽しい学生々活の思い出ともなり毎日の勉学勤労の慰めの糧ともなれば幸いと思います。
 本当に学生らしい管絃楽団が今後とも順調に育成されますよう皆様の心からの御後援と御叱正を期待しております。





                金沢大学 学生部長  難波 得三

 大学は学生に対しで文化的な教養をも与えようと努めている。教養的に価値あるものは学生がそれぞれの文化グループに参加することによって直接に得られる場合が多い。そうしで斯様なグループの清動は学生が余暇を巧に利用することが望ましい。従来文化的と銘を打たれてきたものを単に鑑賞するだけに止まらず他国の文化・国民性・伝統などを深く理解しようと努めることは音楽などの場合などでは時に深い意義がある。
 金沢福井富山の三大学は毎年一回学生の芸術交歓祭を催して芸術文化の交歓を行っているが、仲々成果をあげている。今回は名古屋大学管絃楽団を迎えて金沢大学フィルハーモニー管絃楽団との合同演奏会が開かれることになったことはこの上もなく喜ばしい。両大学の学生諸君は必ずや音楽のカによりて文化に対する理解カを深めることが、できるであろうし又この様な集団活動の経験は融通性のある指導性育成の場として役立つであろう。吾々学生の習得する指導性が社会に最も貢献する型のものであることを期待している。眼を聞き耳を開きそして心をも開いでもらいたいと念願している。





         金沢大学フィルハーモニー管絃楽団 指揮者  佐々木宣男

 名古屋大学管絃楽団の皆様をお迎えして、御一緒に演奏会を催すことになったことは何と愉快なことでありましょう。大都市はともかく北陸ではこんな企画ほ未曾有のことであります。この楽しい計画をいい出された名古屋大学管絃楽団の方々に深く感謝の意を表する次第であります。管絃楽団の遠路の出張は容易なことでほありません。これは名大の団員諸氏の並々なら管絃楽への熱意と、又強固な団結心の故であります。今回の合同演奏の大きい魅力は平常欠けでいるパートが充実し、技術的な面もお互いに助け合って、より立派な演奏が期待出来るからであります。特に名大側は世界的オーケストラの名演奏等、不断良い刺げきを受けておられるので、金大の団員も教えられることが、多いことでしょう。学生オーケストラとしては、向上しようと努力する強い意志的なところに格別面目があると思います。今日を機縁としてこんな感動の機会が、再度作られ、地方の音楽水準を高めていくことに協力しようではありませんか。
              





             中部日本新聞 金沢支局長  小林 栄市

 楽器も、歌もまるでダメな私は、いわゆる音痴という部類に属するらしい。しかし音痴の私にも、音楽を聞くことは楽しい。独奏や室内楽などは拝聴する機会も割に多いが、生の管絃楽が、この金沢で聞けることは、そうめったにあるわけでもない。そんな意味からも今度のチヤンスは、どうしてものがしたくない。
 名古屋に本社のある私どもにしてみれば中京と当地の文化交流が、このような形でますます、密接になっていくことは実に望ましいことだし、この面からも演奏会が、盛会であってほしいと願っている。





       金沢大学フィルハーモニー管絃楽団 マネージャー  座主 晴二

 金沢大学フィルハーモニー管絃楽団が皆様にお見みえしたのは今から6年前の秋のことでした。それ以来、年2回の定期演奏会をはじめとしで種々の臨時演奏会を催して参りましたが、この様な合同演奏会は初めてであります。
 創設以来、光栄ある行事の蔭には常に学問と音楽の不両立、団運営のための経済的費困という二大艱難を昧って参りました。その苦悩に耐えて美しい音楽の殿堂を守り抜くため不断の努力を続け漸くここまでこぎつくことが出来る様になりましたが故に感激は一入でございます。
 不幸にして、仕事のために或は金沢を遠く離れているがために、本日ここに見えない、嘗ての団員達も必ずや喜んでいることでしょう。
 最後に、この合同演奏会のために、会場を提供して下さった中部日本新聞社、真夏の暑さにも負けず準備に日夜御尽力下さった出演者、金沢労者の運営委員の方々、蔭のカなる皆様、大学当局、諸先生方に心から感謝の意を表しますと共に、今後とも変らぬ御支援を御願い申し上げるものでごぎいます。