プロの指揮者を迎えて意欲十分
結団三十二年目。六年前は八十人にも満たなかった団員も、現在は百三十人に増えた。メンバーのほとんどは入学して、初めて楽器を手にした人。金沢城址高台にある学生会館には、狭いながらもパートごとの練習室もあって、民間のオーケストラよりは恵まれている。
団長の赤沢直人さん (法文学部三回生)=トランペット=は 「初めてやる人が多いので、楽器の不足が悩みです。高学年の人には買ってもらうようにはしているんですが、団員が増えてますます不足気味。演奏曲目は各パート毎に候補を出して総会で決めますが、年ごとに技術偏重になってきた」
同大フィルでは、今年の定期演奏会の指揮者に石丸寛さんを招いた。
「一昨年の石川ゴールドブレンドの時、金沢大学生のオーボエ奏者がとてもよかったので引き受けた」 (石丸さん)
「金はかかるが、中央からプロの指揮者を呼んで、いいものをやりたいから」(赤沢さん)
曲はシベリウスの交響曲「第二番」ニ長調。かなり難しい曲という。
「金沢大フィルは戦後生まれで、大学のオーケストラとしては新しいほう。現在六十年、七十年たったオーケストラはみんな頭打ちになってきてます。理論が先行して技術がついていけずに悩んでる。ここの学校の方が意欲があります」(石丸さん)
学生会館内にある練習室でパートごとのレッスン
練習時間の10分前にコンサート・マスターがきびきびと音あわせをして指揮者の石丸さんを待ち受ける
練習は明るさと活気にあふれていた
「毎日グラフ」
1981年1/25号 より
毎日新聞社様のご厚意で、掲載許可を戴きました。