実力、グーンとアップ |
創立三十周年を記念する同楽団の第四十回定期演奏会は、さる八日午後六時三十分から金沢市石引・石川厚生年金会館大ホールで千人以上の聴衆を集めて盛大に開かれた。客演指揮者には、昨年に引き続き群馬交響楽団の常任指揮者・佐藤功太郎さんを迎え、ベートーベン作曲・序曲エグモント作品84、ハチャトウリアン作曲・組曲仮面舞踏会、さらにチャイコフスキー作曲・交響曲第五番ホ短調作品64が演奏された。 演奏会を終えて佐藤さんは、「技術はすぐれているし、何といってもプロは一味違った若さにあふれた楽しさがある」と、団員たちをほめたたえ、聴衆の一人でクラシックファンの嶋崎丞・石川県美術館副館長は「毎回演奏会に来るが、ことしは最高だった。 |
団員が増えたのはよいし、最近の学生は、昔では考えられないほど音感があり、さすがオーディオ時代っ子だなと思った。チャイコフスキーなんかプロも顔負け」と感心。 同楽団は昭和二十五年秋、佐々木宣男・教育学部教授らの指導で、団員わずか九人で発足し、旧四高講堂で第一回演奏会を開催。三十七年に東京芸大出身の山下成太郎教授を常任指揮者に迎えるなどしてカをつけたが、活動の幅が大きく広がったのは、五十二年一月の第三七回定期演奏会でプロ指揮伴有雄さんを迎えて以来。 「このときから団員が百人を超すようになって、何でもこなせるようになった。学生オーケストラですから、ステージは全員参加です。でも、音楽に対する責任を持ってもらうので、練習は厳しいですよ」と山本団長。 |
全員の努力がことし立派な花をつけ、まず三月に名古屋市・愛知県勤労会館ホールで開かれた全日本アンサンブルコンテストの大学生の部で、金管部門選抜の八人が優勝を獲得。以降、七月には、石川厚生年金会館でのサマーコンサート、十月には、アンサンブルの独自演奏会を開いて好評を得た。 この中で、NHKテレビの音楽の広場出演が決まったのは、団員たちの大きな誇り。NHK金沢放送局では「開局五十周年記念番組として金沢で録画撮りするが、全国的にも恥ずかしくない実力がある」と太鼓判。団員たちは、来年一月二十六日、石川厚生年金会館で芥川也寸志さんの指揮により実現することになったヒノギ舞台へ向けて、練習にも熱が入っている。 |
金沢大学フィルハーモニー管弦楽団 | |
NHK総合テレビ 新春、「音楽の広場」へ |
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創立30周年記念 コンサート |
「プロ顔負け」の声も |
「音楽に責任持って」を合言葉に |
ことしで創立三十周年を迎えた金沢大学フィルハーモニー管弦楽団の実力は、最近めきめきアップ。さる三月には、全日本アンサンブルコンテストで金管部門が大学日本一に輝いたのをはじめ、新春には、NHK総合テレビの人気音楽番組「音楽の広場」への出演が全国の学生オーケストラとしては初めて決まるなど内外からの注目を集めている。楽団は「音楽に対する責任を持って全員参加」を合言葉に山本正美団長(教育学部三年)以下団員百十七人がまとまっており、さきの創立三十同年記念コンサートでは、若さのあふれた演奏を披露して「さすがオーディオ時代の若人は違う」と、多勢の聴衆をうならせた。 |
金沢大学フィルハーモニー管弦楽団=さる8日の創立30周年記念コンサート。石川厚生年金ホール |
昭和54年(1979年)12月16日 讀賣新聞より |