2000.03.12./2000.03.18.追記 |
POの気分
友人が買ったキックボードに試乗して、私はすっかりこれが欲しくなってしまう。夜中の人気のないオフィス街をぐるぐると走って、なんだかとても気持ちが良かったのだ。
キックボードという名称すらごく最近知った私は、ちまたでこれがどんな風に流行っているのか全くわからないが、私にとっては、ポーのスクーターといった方が通りがいい。ポーはBBCの教育テレビ番組『テレタビーズ』の一員で、一番のお気に入りが赤いスクーターなのだ。もっとも彼女のスクーターは、後輪が二つついた三輪車なのだけれど。ポーは大きなお尻で器用にそれに乗り、FI-DIT、FI-DITと(広東語で「早く早く」という意味らしい)かけ声を掛けながら走る(※1)。私もポーを真似して、ファディとつぶやきながら走る。 ポーは一番小さくてやんちゃなテレタビーズである。時々、キレて、いたずらをしまくる。パンケーキを投げ、毛布を吹き飛ばし、スクーターで暴走する。ポーが何をしようが、最後には「なかよしー!」(※2)と抱き合って終わるテレタビーズの仲間たちの中では、時々キレるのも致し方ない気がする(※3)。 平和なテレタビーランドで、テレタビーズが実に馬鹿馬鹿しい暇つぶしをしているのを見ていると、私はふと、主人公がいつのまにか、互いを番号で呼び合う見知らぬ村に連れてこられていたという設定の昔のテレビドラマ、『プリズナーNo.6』を思い出す。そういえばあれもイギリス産だった。よく覚えていないけど、なぜかその(平和な)場所から出ることができなくて、風船みたいな物体が追いかけてきたり文句を言ったりするSFドラマだ。テレタビーランドは、ちょっぴりその風景と似ている。風船ではなくマイクが時々延びてきて、やれジャンプしろだとか歌えとか、バイバイしろとか命令するのも、「プリズナー」を思い出させる。 もし、あの平和な閉鎖空間を誰かが抜け出すとしたら、それはポーでしかありえない。だって彼女にはスクーターがある。ファ・ディ!(※4)
これを読んだ元香港在住の友人から、メールが来ました。「FIーDITは、ふぁいてぃ~(でぃ~)だよ」 中国語読みでもふぁなんだ。 |
●テレタビーズの公式サイトは www.bbc.co.uk/education/teletubbies/。かわいいカードをお友達に送ることもできるけど、3人に1人の割で着かないみたい。 |
(c) 2000 Shirokuma Seshiro, Hebon-shiki