私が集めた、お気に入りの浮世絵版画の数々です。 画像が重くてすまんの〜。 |
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優雅ですねえ。昔はこんなふうにしてお花見を楽しんでいたのですね。 三人とも桜の花柄で着物をコーディネイトしてて、とってもおしゃれ。 この作品は、「ひまわり」で有名な印象派の画家、ゴッホも持っていました。 ゴッホの集めた浮世絵は、現在、オランダ国立ゴッホ美術館に収蔵されています。浮世絵は版画なので、現存する同じ絵がいくつかあり、おかげでこのような美術館に納まっている立派な作品と同じものを、私のような一般人でも手にすることができるのがうれしいです。 そして、「この絵をゴッホも同じようにしてながめてたのかあ〜」って考えると、なんだか偉大なゴッホがとても身近に感じられます。 作者の国貞は、後の三代目歌川豊国。くわしい説明は次(↓)の絵で。 |
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三代歌川豊国(1786〜1864)は、江戸の当時、「歌川派にあらずば浮世絵師にあらず」という評判を決定付けた、江戸最大の浮世絵師です。歌麿・北斎は知らなくても豊国の名を知らないものはいない、とまで言われ、膨大な数の作品を遺しています。 これほど偉大な浮世絵師なのに、なぜか現代では豊国はあまり高く評価されていません。理由はいろいろあるのですが・・・ま、それについてはまたいずれ。 それにしても・・・カッコイイー!! 江戸時代の高度なデザインセンス、改めて見直してしまいますね。 |
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これも三代豊国の作品。 豊国のすばらしい点は、こういうデザイン性に富む作品を数多く遺していることです。 現代人のわれわれが見ても古臭さを感じないばかりか、上の作品などもそうですが、そのまま現代のポスター画にしてもおかしくないほどの完成度です。 ところで、絵の右側の人、八代目市川団十郎というのですが、当時の歌舞伎界では人気ナンバーワンのスーパースターでした。 「児雷也豪傑譚話」は彼の当たり役だったのですが、残念ながら若くして自殺してしまい、江戸のファン達を大いに悲しませたそうです。 |
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この手のものを、「鏡絵」といいます。 鏡のフレームの中に役者絵をはめ込むという、デザインに長けた豊国らしいアイディアが光る晩年の傑作シリーズです。 中でもこの作品は、その芸術性において、シリーズ中の最高傑作と言えるのではないかと思います。 水しぶきがなぜか黒っぽくなっているのは、もとは「胡粉(貝殻を焼いて粉にしたもの)」という白い粉を散らしていたのが、経年の化学変化で黒く変色したためです。 140年前の当時は、ちゃんと白い水しぶきだったのですよ。 |
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「忠臣蔵」大序で高師直に恥辱を与えられた桃井若狭之助は、その遺恨を晴らして自らも死ぬ覚悟をしますが、忠臣
加古川本蔵の働きによって事無きを得ます。 若狭之助の胸に遺書が見えるのは、死の決意を打ち明ける二段目の若狭之助を描いたもので、初代河原崎権十郎が安政六年九月二十三日より、市村座上演の「仮名手本忠臣蔵」で演じたもの。 ちなみに権十郎は、後の明治の名優、九代目市川団十郎です。 背景の句は、「若鷹や 短気はおのか 生れ付 紫扇」 短気は若狭之助の短気のこと。紫扇は権十郎の俳名。 ゴッホが終生大事にしていた3枚の鏡絵のなかのひとつでもあり、オランダのゴッホ美術館をはじめ、イギリスの大英博物館、ビクトリア・アルバート美術館など、多くの美術館に収蔵されています。 |
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妖艶といいましょうか、美しいようなコワいような、不思議な魅力がありますねえ。 演じるのは四代目尾上菊五郎。 ちなみにこれは、私が初めて手にした浮世絵で、この1枚がきっかけで、浮世絵の世界にのめり込むことになってしまいました。 でも、とっても気に入っている1枚なので、ほんと、「いい出会い」をしたと思っています。 この作品はビクトリア・アルバート美術館にも収蔵されています。 |
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歌舞伎の顔見世で、祝儀として演じられるものを三番叟といいますが、これはその中でも「舌出し三番叟」といわれるタイプのものです。 この手の刷り物は、当時は縁起ものとしても使われていたようです。 出久根達郎の時代小説「波のり舟の」の中で、小さく折りたたんだ舌出し三番叟の版画を手渡す、という場面が描かれていますが、私が持っているこの浮世絵も、もしかしたら同じような使われ方をしたのか、小さく折りたたまれていたことを伺わせる折り目が残っています。縁起ものとして、懐に入れてあったのかな? どおくまんのマンガのようなユーモラスな表情と、デザインのおもしろさが気に入っています。 |
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東海道五十三次といえば広重の保永堂版のものが有名ですが、実はそれ以外にも世間に知られていない東海道ものはた〜くさんあるのです。 豊国のこのシリーズも、そうした埋もれた傑作のひとつで、別名「役者東海道」ともいわれ、役者絵の背景に東海道の各宿場風景が描かれているシリーズです。 うーん、カッコいい!! 多色刷りも美しいし、構図もキマってますねー。 他にも、摺りの段階でちょっと凝った工夫が施してあるのですが、それについてはまた別の機会でご紹介します。 |
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これも役者東海道もの。「宮」は名古屋の熱田神宮のことで、背景には広重の保永堂版東海道五十三次と同じ「走馬神事」の風景が描かれています。 描かれている人物は、平家の残党として源頼朝の命を狙いつづけた平家一の荒武者、平景清で、別名「悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)」。 景清の正妻が熱田大宮司の娘、安芸姫だったという関係から、この宮の場面に配されたのでしょう。 景清を演じるのは、前にも登場しました、当代人気役者の八代目市川団十郎です。 これもなかなかよい作品だと思います。 |
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豪華な多色刷りで上流階級の優雅な生活を描いたこういう絵を、「源氏絵」といいます。 三代豊国が挿絵を描いた、柳亭種彦原作の「偐紫田舎源氏」がベストセラーとなったことがシリーズ展開のきっかけとなりました。 源氏物語の主人公、源氏の君になぞらえて、室町時代の足利将軍の生活を描写したものとされていますが、実は暗に江戸・徳川将軍の私生活を映し出したものでもあったようです。 今でいうところの皇室報道のようなものですね。 ゴッホが収集した浮世絵の中に、この作品も含まれています。ただし、ゴッホが所有していたのは、左端の1枚だけです。 |
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なんてことない役者絵なんですけど、威勢のいい町火消し若衆のハデな着物のガラと、鮮やかな藍色の色調が気に入ってます。 この藍色は、ベルリンから輸入されたベロ藍(ベロリン藍)と呼ばれる化学染料で、伊万里の染付にも用いられたものです。 |
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平清盛に狙われる源義朝の三人の遺児を連れて、大和へと逃亡する常盤を描いたものです。 凍えるような雪の中を、八歳の今若、六歳の乙若、二歳の牛若を連れての壮絶な逃避行。 牛若(後の源義経)は、懐に抱えられているので見づらいですが、ちょこっとだけ頭が見えています。わかりますかねー? 作者の国芳は、豊国、広重とならんで、江戸末期浮世絵界のベスト3に評価される浮世絵師。武者絵や戯画を得意としました。 で、この絵もやっぱりゴッホのコレクションに含まれています。なんだかゴッホと好みがかぶるなあ。(笑) |
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