幻想世界と現実世界


夜更かしが好きな妖精が
あるとき月を見に行った
水面みなもに広がる星屑が
皆の周りを取り囲み
夜の静寂しじまと溶け合うように
月の光が降り注ぐ

現実のような景色の中で
月の火だけが
幻想世界に戻る鍵

鍵を失くした妖精は
太陽の剣に貫かれ
虹色の空に
消えていく


早起きが好きな人間が
あるとき太陽見に行った
木の葉の上の朝露が
皆の体を包み込み
朝の光を吸い込むように
太陽の線が突き抜ける

幻のような景色の中で
太陽の火は
現実世界に戻る鍵

鍵を奪った人間は
光の剣を振りかざし
真っ青な海に
立ちすくむ