
| エンジンはどこまで回せるか。 |
|---|
|
タイトルを見て「NSXのリミッターは 8,000 rpm でしょう?」と思った人は正解です。 でも、7,000 rpm にもちゃんと意味があるんです(^_^) 30.0 kg・m / 5,400 rpm NSXに搭載される C30A 型エンジン(MT仕様)のスペックです。 実はこのエンジン、ベースはレジェンド用 V6 エンジンなのです。 このエンジンを高回転・高出力化する技術は多くの紙面で語られているので、 ここでは別な事を書こうと思います。 |
|
C30A に限らず、高回転・高出力な VTEC エンジンは、
その高性能ゆえにトラブルに見舞われる可能性、リスクもまた大きいといえます。 今回はそのリスクを抑える「保護機能」について書こうと思います。 高回転型ゆえに、VTEC エンジンには様々な保護機能(インターロック)が付けられています。 (基本であるパーツの強度や冷却系の性能向上は省きます) |
| 8,000 rpm まで回る条件は、、、。 |
|
【車速が 5km/h 以上であること】 空吹かしでは7,000rpmでリミッターが作動します。 無負荷での高回転は油圧が追いつかない場合があるそうです。 【油圧が適正であること】 VTEC機構は油圧で作動するので当然ですね。 他メーカーでは油圧低下でリミッターが働くのでしょうか? 【水温が 60℃以上であること】 (オーバーヒート状態除く) 水温が低いとVTECが高速側に切り替わりません。 エンジンの冷却水は、冷えればいいというわけではありません。 金属は熱で膨張するので、エンジンは熱膨張も計算して設計・製造されています。 水温が低ければ熱膨張も小さく、クリアランスは大きくなり、設計通りの精度が得られず、 そのまま高回転まで回せばエンジンを傷める事になります。 この設定によって、エンジンは冷却水が適正な温度に達していない場合 及びオーバーヒート状態では、高回転まで回らないようになっています。 その場合も7,000rpmでリミッターが作動します。 【オーバーヒート状態ではないこと】 NSXの水温管理は非常にシビアで、フロントナンバープレートを下げてラジエーターへの 風当たりを変えただけで、全開走行(プロドライバーの場合)でオーバーヒートに陥ります。 その場合、7,000rpmでリミッターが作動します。 【VTECが高速側に切り替わっていること】 水温が低く、VTECが低速側のままだと7,000rpmでリミッターが作動 します。 【その他】 上に挙げた以外にも、給排気系のセンサーが異常を感知すると、 保護機能が働いてエンジン出力を抑えるようになっています。 レヴリミッター解除について、NSXチーフエンジニアである尾崎俊三郎氏は、 「C30A、このエンジンは6,000rpm以下ではほとんど傷みません。 ですが、全開8,000rpmでは数分で破壊されます。 レッドゾーンはエンジンにとって過酷な本当に危険な領域だと思ってください。 空吹かしもいけません。一気に高回転まで回すと油圧が追いつかず、 油膜がきれてエンジンが傷みます。」 と言っていました。 |
|
おまけ(^^: 【VTEC切替】 回転数が 5,800〜6,000rpm であること。 低速・高速、それぞれのドライバリティの向上を考えてのVTECですから、 切り替えポイント範囲をあまり大きく変えてはいません。 【燃料カット】 180km/h以上(4,000rpm以上) 省燃費 1,050rpm以下(5MT) 過回転防止 8,300 rpm以上(5MT) |
| 7,000 rpm のリミッター |
|
「7,000 rpm のリミッター」の意味はわかってもらえたと思います(^_^) エンジンが暖まっている状態なら気にすることもありませんが、 頭の片隅にエンジン保護の事も置いておいて下さいね。 人伝に聞いた話ですが、驚くべき事にこのエンジン、 5万キロで本来の性能が出るように設計されているそうです(^^: 言われてみると、今まで試乗した3万キロ走行のエンジンは、 私のNSXより軽く回っているような気がします。 ボディは30年、ダンパーは5万キロ以上はもつといわれるNSX。 消耗品を除いて一番最初に問題が出そうなのは、意外と電装系かもしれませんね(^_^: |