それは、俺がまだ何も知らない子供の頃だっだ。季節は夏で、学生にのみ与えられている夏休みと言う特権を、小学4年生の俺達は楽しんでいた。だが、夏休みも後半になると、やりたかった事は全てやり尽くしており、有り余る時間をどうやってつぶそうか?と近所のダチどもが集まってくだらない事をしているだけだった。俺達は何かに飢えていた、何かを見つけたかった。そんな風に過ごしてきた俺達に、あの日がやってきた。そう、その後の俺達を変えたあの日が…。 第1話 恐怖のカルピ酢 8月中旬 午前10:00頃 I家にて
ついに、死の晩餐が始まろうとしていた。Uが、I家の台所を使って カルピ酢を作って、おぼん上でシャッフルして、俺達のいる居間に持ってきた。 Uは、何かすごく嬉しそうだった。無理もない、彼はこう言った事があると、何故か犠牲になってしまう性質なので、今回のようなはずれのない役は奇跡、としか言い様のない幸運だったからだ。この時、俺はあとで、必ずUを何かにはめてやろうと思った。たぶん、他の奴も同じことを考えていただろう。そしたら、Uが、 と、のたまいがった。俺達は、殺すぞUと思ったが、仕方なく始めることにした。 じゃんけんによってコップを取る順番が決定された。一番に取るのはK、続いて俺(S)、R、I、Aの順番となった。それぞれが、 などの適当なことをほざいて取っていった。みんな、一斉に飲めるように、Uがカウントをし始めた。 開始前に臭いを嗅ぐことは禁止されていた為、誰もが、どれがカルピ酢かわからないまま、風呂上がりに牛乳を飲むように、胃の中に液体を注ぎ込んだ。変化は起こった。俺は自分のやつは違ったので、 とそんな顔をして飲んでいる奴を捜してみた。俺の見た所では、十中八九、K、Iはコップの色から見て違うので安全だと思い、R、Aの方を見た。そうしたら、 Rはともかく、恐る恐る飲んでいたAでさえも普通に飲んでいるではないか。まさか、大口たたいていたKか?そう思い、Kの方を見ると、 みたいな顔して飲んでいた。まさに俺の予想どおりのKらしさだった。 と、言うことは、いや、まさか、しかしもう奴しかいない。そうか、奴だったのか。自分の家で不幸な事になぁー。そう、みごとにカルピ酢をヒットさせたのは、他ならぬこの家の人間、Iだった。Iは、 ってー感じの顔でコップの中にある液体を飲んでいた。そして、50%くらい飲んだところでついに、Iの口がコップから離れた、その瞬間、 と言いだした。しかし、俺達は無情にも、叫ぶIに向かって、 と優しい言葉をかけ、ついでに見えない圧力(プレッシャー)を与えて上げた。Iは絶望感と悲壮感をあらわにした顔をして再び、人類の作りだした魔界を、悪魔すら超越し、神々さえも震撼させる、ヘルズゲートの鍵を自らの命を持って封印しようと試みるのであった。 とかなんとか言いながら彼は一応、封印に成功した。しかし、圧倒的とも思える負荷は、確実に彼の体を蝕んでいった。そして、ついには負荷に耐えきれなくなり、彼は、 と言って、みずからの体を浄化しに逝ってしまった。結構、口調がしっかりしていたので大丈夫かな、と思って安心していたら、トイレから謎の音が聞こえてくるではないか。まさか、すでにIはあいつに殺られていたのか?そう、時すでに遅く、Iの内部は奴に浸食されていたのだ!Iはトイレで未知なる戦闘を繰り広げていた。音は止まず、Iが心配になった俺達はIの健闘を祈りつつ、戦闘の邪魔にならないようにIに帰りの挨拶をして退散するのであった。俺はこんな事になったので、もうこんな事を行なうことはないだろうと思った。しかし、I家を出るときにKが、 と言ってたのを聞いて、少しその方向に心が傾いたのであった。 次回 地獄からの使者 君の後ろに何かが・・・ |