コリにも施術方式にも種類がある

私もいろんな治療法を実践していますが、筋肉が凝り固まった状態にも色んな種類があることが経験的に分かっています。
コリと表現すべきかどうかも微妙ですが、一応、筋肉が堅く凝り固まっている状態をひとくくりにコリと表現します。

ざっくりと大きく分けたら、二つに分かれます。

@緊張によるコリ(メカニズム的な張り)
A疲労によるコリ、張り、固まり


すごく大雑把な分け方で全く厳密ではないですが、とりあえずこう考えておくと理解しやすいと思います。セラピストが施術を進めるうえで、これがまずどっちなのか(あるいはどっちもなのか)、判別しておかないといけません。

@の緊張の理由は色々ありますが、例えば姿勢が悪くて負担がかかっているとか、骨格が少しずれているとか、気持ちが神経質すぎるとか、そんなことでも筋肉が緊張して固く張ったようになります。これは普通の筋肉疲労性のコリとは性質が違い、メカニズム的に緊張して、張りが生じているという感じ。
ほかにも有名な話として、肩こりの緊張が腕からきているとか内臓からきている場合があるとか聞いたことがあると思いますが、それらも筋膜や神経のつながりによって影響を受けているもので、非常にメカニズム的です。また、ひどいムチウチ事故などでも、強烈なショックによって脳からブロック信号が出て、首や背中の緊張が解けきらないケースがありますし、精神性のひどいトラウマなど持っている人も、脳緊張が続いてしまう場合があります。
この種の緊張の理由は幅は広いし奥が深く、すっきり解除するには、それに適した技法が必要です。
骨格調整、姿勢調整、呼吸調整、筋膜連関調整、筋出力バランス調整、身体操法矯正、脳神経調整、浅深層心理調整…etc。 
これをとことん追究していくと整体師の範疇だけにおさまらなくなります。ですが、9割の人は、そこまでややこしく、こじれきってるわけではなく、骨格、姿勢、筋膜連関が適度に調整されれば、通常は無用な緊張は消失することと思います。


Aのコリは疲労性。これは使い過ぎとか。疲労のためすぎとか。これは一般的には、もみほぐすような方法で解消する。単純なコリかた。メカニズム緊張の@の状態が長く続いていて、この疲労性のコリに変質している場合もある。その場合は、メカニズム緊張と疲労性コリが混ざった状態になっている。
こうした疲労性のコリは、初期のうちはまだいいのだが、それがあまりに長く強く続きすぎていると、段々とそのコリが凶悪化して、細胞組織が悪く酸化してサビついたような↓
B深層筋の根っこから固まりきってる特別な凶悪凝り固まり
へと進化をとげていきます。
これはもはやAの状態であってAでないというか、そういうレベル違いのコリ固まりが主に腱、靭帯組織に生じてくるのです。慢性状態の痛みやコリというのは、多くはこの状態になっています。よくみると@とBがからんだ状態で慢性化してしまっているケースも多いです。重度肩こりや重度腰痛などは、このケースが多い。





(備考)


Bのような患者を前にしての施術師の対応策あれこれ。

@痛みの出ている患部を無視して対応!
患部への負担に関連対応すると考えられる筋肉を全身的にゆるめて、緊張させている本来の原因を解除し、その上で、あとは自然治癒力によって患部が快癒していくのを見守る。施術の組み立ては、基本的に患部は直接さわらない。例としては、手や足の先っぽから調整したり、アナトミートレインと呼ばれる筋膜の関連を調節していく。あるいは姿勢や呼吸をコントロールして、全身の緊張を取り除く方式とか、脳に特殊技法で働きかけて緊張を除こうとする方法などもある。いずれも上手で熟練した施術師が正しく行うと、痛みもなく効果的にそれを行える。向上心が強くて賢い整体師はこの方向を目指して精進しているケースが多い。対応方式は多岐にわたっているが、ほぼ共通しているのは患部への施術は無駄で無理だから行わないということ。

A患部も施術の対象!
@のような、何らかの方法で緊張の解除を行った後、それで終わらず直接的に患部にも施術を仕掛ける。
実は患部の深層、もしくはそのすぐ周辺にしっかりと一番のコリが存在する場合が多いのだ。仮に本来の原因が別にあったとしても、長く負担がかかるうちに、患部の奥底に厳しい実体が出来てしまい、それが回復困難になっているわけだ。そこへの施術は常識としては無理筋と考えられている。しかし案外にも、工夫して施術をかけてみれば、やってやれないことはない。(一般的な、ぬるいマッサージでは本当に無理) 慢性的に凝り固まったコリ、深層筋の凶悪コリであっても直接的にほぐして、最速の治りを狙えるのだ。この場合の施術には痛みがどうしても生じるが、治りの精度は高く、驚くほどの成果があがる。
ただしそれをすると、患者からは嫌がられるケースが多い上に、治りも早すぎ、営業とは相いれないので注意が必要。

B治せなくても構わない!
これは番外編となる。やけくそみたいだが、意外に侮れない。身体を治すというよりも癒しを与え、口八丁、手八丁、気持ちの良いマッサージなど行いつつ元氣を与える。これも患者への救いとなる。精進を積んだセラピストは気功使いの達人でもあり、その種の知識や方向では、一般人よりはるかに高みに達していることが多い。患者に氣を送り込んで運命すら好転させて導くケースまであり、直接には治せなくても、結果として、それ以上に意義のある時間になっている場合もある。


ただ、ここに述べた3例はいずれも、相当に高度な施術家の話であって、ほとんどの場合はこういうわけにはいかないと思いますので注意。

以上、コリに関する大雑把な解説でした。参考になったらうれしい。



          
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