ピコ通信/第155号
発行日2011年7月25日
発行化学物質問題市民研究会
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URLhttp://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/

目次

  1. 水俣湾水銀へドロ埋立地と八幡残渣プール
    (訂正:記事の最初の部分で”2001年6月26日に水俣で開催された環境省主催の「水銀条約を考える会」に・・・”とあるのは、”2011年6月26日・・・”の誤りであり、訂正いたします。)
  2. 6月30日 避難促進・自主避難者支援を求める対政府交渉 国民の声を大きくして、避難支援を実現させよう
  3. クリス・バズビー博士講演会 (上) ICRPモデルは内部・低線量被ばくに無効
  4. 阪急バスの薬剤散布に困っています(匿名希望/大阪府在住)
  5. 調べてみよう家庭用品(45)食品添加物 (4)
  6. お知らせ・編集後記(加筆・修正版)


6月30日 避難促進・自主避難者支援を求める対政府交渉
国民の声を大きくして、避難支援を実現させよう



 福島原発事故の状況は、政府のステップ1達成との評価にもかかわらず、依然として不安定でいつ再爆発してもおかしくない危険な状態が継続しているとする見方が、海外専門家等から聞こえてきます。
 福島県の放射線空間線量は低下してきていると、福島県や国は言いますが、地域が汚染され続けている状況は好転していません。

 そうした中、6月30日(木)に「避難促進・自主避難者支援を求める対政府交渉」が行われました。本紙153号(本年5月23日発行)で紹介した「20ミリシーベルト撤回政府交渉」に続く交渉です。(主催:子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、国際環境NGO FoE Japan、グリーン・アクション、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO グリーンピース・ジャパン)
 会場の参議院議員会館講堂には、福島からの参加者を含めて250名が参加しました。当交渉の趣旨は以下です。
  • 福島の父母たちの訴えおよびそれを支える市民運動によって、文部科学省は5月27日、今年度の学校における被ばく量を「年1ミリシーベルト(以下mSv)を目指す」とした。しかしこれは、学校外の被ばく、事故直後の3月の被ばく、内部被ばくを考慮したものではない。
  • 既に、子どもたちの被ばく量は1mSvの数倍にも達しており、福島県内でも、早急に避難・疎開、夏休みの前倒し等の被ばくの低減を、行政が主導して行うべきだという声が高まっている。
  • 福島には、避難をしたくてもできない人たちがたくさんいるが、避難を阻んでいる大きな理由の一つが、「自主」避難のむずかしさや限界にある。住民の「避難の権利」、すなわち自らの被ばくのリスクを知る権利や、自主避難した場合に補償等が受けられる権利を確立させていくための措置が必要である。
 あらかじめ出していた質問に答える形で、交渉は進められました。
 政府側からは、経済産業省/原子力被災者生活支援チーム/放射線班(以降経産省)、内閣府/原子力安全委員会事務局(以降安全委員会)、文部科学省/科学技術・学術政策局/原子力災害対策支援本部/モニタリング班(以降文科省)等から13名です。

■質問と回答(概要)
  1. 福島原発事故に伴う住民の被ばく量の把握と避難区域の設定について
    (1)避難区域の設定の「年間積算線量20mSv」の基準については、国際放射線防護委員会(ICRP)と国際原子力機関(IAEA)の緊急時被ばく状況における放射線防護の基準値(20〜100mSv)を考慮したということだが、この基準値は、内部被ばくと外部被ばくの両方を考慮したものということで間違いないか。
    回答:(経産省)内部、外部含めてと考えている。

    (2)避難区域設定において、内部被ばくによる積算線量を除外し、外部被ばくのみを判断基準にしている理由は何か。
    回答:(経産省) 試算したところ、内部被ばくは外部被ばくの数パーセントになった。外部被曝を目安とすることで問題ないと考える。
    (編集注:小出裕章さんは、5/23参議院・行政監視委員会で、内部被ばく量は、外部被ばく量より10倍多かったと発言している。参議院行政監視委員会 動画:3時間3分50秒あたりの部分)
    回答:(原子力安全委員会)内部被ばくも考慮に入れるべき。

    (3)子どもを含め県民の中では内部被ばくに対する不安が高まっている。希望者すべてに対して、ホールボディーカウンター(WBC)の検査を実施すべきではないか。
    回答:(経産省) 福島県の健康調査で、基本調査は、202万人を対象とする。被ばく線量を推定する。先行して、3地区で開始する。内部被曝については同じ地域から120名を実施する。今週から放医研でWBC、尿検査、行動調査を実施中。

    (4)積算線量を算出するにあたり、屋外に8時間、屋内に16時間とした上で、屋内を屋外の0.4倍としている根拠は何か。
    回答:(文科省) 外と家屋にどれくらいいるかの仮定で試算。木造では、低減率を0.4とした。

    (5)チェルノブイリにおいては、強制避難レベルは約5mSv(土壌555,000ベクレル/平方メートル)、フランスの避難勧告レベルは10mSvであるが、日本政府として「20mSv」を選択した理由は何か。
    回答:(経産省) IAEA、ICRPの提言、緊急時における参考レベルの20-100mSvのうちの下限の20mSvを採用。4月10日の原子力安全委員会の提言を踏まえた。実際の適用では、内部被ばくは考慮に入れず、外部被ばく分としての20mSvを適用。
    回答:(安全委員会) 事故後は、1-20mSvが適用されるべきと考えている。外部だけでなく、内部被曝も含めるべき。

    (6)少なくとも放射線に対する感受性が高い妊婦・乳幼児・子どもに対しては、成人よりも避難の基準を厳しくすべきではないか。
    回答:(経産省、安全委員会) 緊急時避難準備区域では、子ども、妊婦の避難を勧めている。20mSvを超えると考えられるところは、特定避難勧奨地点に指定し、子ども、妊婦の避難を勧めている。

  2. 避難の権利の保障について
    (1)住民は自らの線量とリスクを知るために、どのような手段があるのか。どのような措置を講ずるつもりか。 回答: 1−(4)に同じ。

    (2)行政が指定した「避難区域」以外の区域の住民で、自らの判断で自主避難を行った場合、その費用は補償されるのか。その判断基準は何か。未定の場合、どのようなプロセスでいつ決定されるか。
    回答:(文科省) 原発事故の被害については、東電が賠償を行う。文科省としては、どういうものが賠償の対象となるのか指針として取りまとめて公表する。これまでは避難区域についての検討を行ってきた。7月末をめどに、避難区域以外についてもまとめる。

    (3)避難区域の周辺で比較的線量が高い地域において、避難を勧告し、避難の権利を保障するような区域を設定すべきではないか。
    回答:(経産省) 20kmを超える場所で20mSv累積する所は、計画的避難区域と指定されており、避難は完了している。スポット的に高いところは、特定避難勧奨地点で、自治体と相談し、住民とも話し合う。避難の支援もする。

  3. 子どもの避難・疎開・夏休みの前倒しについて
    (1)学童の避難・疎開について、学校ごとの疎開の受け入れを表明している自治体もあるが、国として受け入れを表明している自治体等の調査はしているのか。国が積極的にあっせんを進めるべきだと考えるがいかがか。
    回答:(文科省) 県と協力して継続的にモニタリングを行っているが、線量は低減している。

    (2)夏休みの前倒しについては学校長の判断で可能だが、国としても積極的に進めるよう助言・支援を行うべきではないか。
    回答:(文科省) 夏休みの前倒しについても同じ。新たな措置は考えていない。自治体で適切に判断してもらうことになる。

  4. 子どもたちの被ばくのトータルな管理について
    (1)文部科学省は、子どもたちの被ばく量に関して「今年度1mSvを目指す」としているが、これは、始業式以降の学校内(始業から終業まで)に限定され、給食による内部被ばくを除いた値である。子どもたちの被ばく量を最小化するためには、3月11日以降の被ばく量をカウントし、学校外における被ばくや内部被ばくも考慮にいれた「トータルで1mSv」を目指すべきではないか。

    (2)学校内のみならず、3月11日以降の学校外の被ばく量、内部被ばく量を入れた、現在の子どもたちのトータルな被ばく量の把握について、どのように行われているのか、行うつもりなのか。
    回答:(文科省) 学校においてまず低減するための方策を講じる。当面の対応を5月に示し、土壌の除去や線量計の配布を行った。最終的に1mSvを目指す。

    (3)学校給食による内部被ばくは「学校内」の問題であるのに、「今年度1mSv」という学校内被ばくの中に含めないのはなぜか。
    回答:(文科省) 学校給食の食材は、市場に出回っているものを使用しており、暫定基準値以下であり問題はない。大きな影響はない。

    (4)学校給食については、暫定基準値以内の食材を使用しているとのことだが、暫定基準値を守ったとしても、最大で年間17mSvもの被ばくを許すことになり、これだけでは全く不十分ではないか。食材中の放射能についてのより詳細なモニタリングと、産地の厳格な管理が必要だと考えるがいかがか。
    回答:(文科省) 出荷制限の措置がとられているもの以外は、不検出もしくは微量。現時点で措置は考えていない。 (5)内部被ばくについて、子どもに固有の計算方式(実効線量係数など)を考慮しているか。

    (6)1mSvを目指すために、モニタリングと校庭の表土除去に対する限定的な財政支援の他に国が行う具体的な措置は何か。
    回答:(文科省) 積算線量計の配布および財政支援を行っている。合理的に達成できる限り低くする。放射線防護専門家、医療などの専門家と相談しながら進めている。

    (7)福島県が行う県民健康調査について、国はどのように関与するのか。
    回答: 財政的支援と技術的支援を行っている。
■今回の交渉で明らかになった主なこと
  • 日本政府の避難区域設定基準の「20mSv/年」は、ICRP、IAEAの緊急時被ばく状況における放射線防護の参考基準(20〜100mSv)によるが、これには外部ひばくと内部被ばくの両方が含まれる。しかし、政府の「20ミリ」には内部被ばくは含まれない。理由は、試算で内部被ばくは外部被ばくに比べて、数%と微々たるものだからと主張。小出裕章さんの内部被ばくは外部被ばくの10倍とする説と大きく異なる。 一方、原子力安全委員会は「20ミリには内部被ばくを含めるべき」と回答し、両者は食い違っている。
  • 子どもたちの学校の内外を通したトータルの被ばく量管理については、政府内で担当している部署はない。(後に、福島県と回答)
  • 文科省の「今年度、学校内において1mSvを目指す」という方針に沿って取る対策は、校庭の土壌の除去と線量計の配布以外には考えていない。
  • 学校給食からの内部被ばくは、考慮していない。理由は、市場に流通している食材は暫定基準を下回るから問題はないと回答。しかし、それを確認する調査や給食による内部被ばく量調査は一切実施していない。
  • 被ばく低減のための、学童の避難・疎開についてのあっせんに関しては、線量が低減しているのでその必要はないと回答。
  • 内部被ばく調査を子ども達だけでもすぐにやってほしいとの要請には、住民120人対象の県の先行調査によると答えるのみで、実施する気はまったくない様子。

 住民(特に子どもや妊婦)の被ばくをできる限り減らすということへの国の対策は、無いも同然です。そのような意志すらも全く感じられないというのが、交渉の感想です。
 それどころか、国は、被ばくではなく、補償をできるだけ少なくするように、対策しているのではないか。そうでなければ、この段階で避難区域の縮小などを言い出すわけがありません。福島県は、一時避難や林間学校の費用支援も県内に限っているという情報があります。できるだけ、県内に留め置きたい。県外に避難している人たちも、戻らせたい・・、そのような意図が透けて見えてきます。
 続いて、7月19日に初めて福島現地で行った政府交渉では、原子力災害現地対策本部室長・佐藤暁氏は、住民の訴えを前に、「自らの判断で避難するのは結構だが、国が安全だと認める所については、留まって頂く」と発言したということです。許せません。
 福島の子ども達は即刻避難させるべきですが、個人では経済的、社会的に無理があります。国民の声を大きくして、避難・疎開をさせていかなくてはなりません。(安間節子)



クリス・バズビー博士講演会 (上)
ICRPモデルは内部・低線量被ばくに無効

 欧州放射線リスク委員会(ECRR)の低レベル曝露リスク評価モデルは内部被曝を重視しており、旧来の権威とされてきた国際放射線防護委員会(ICRP)のモデルよりはるかに厳しく、人の健康を守る上で安全の側に立っています。
 この度、ECRRの議長であるクリス・バズビー博士が「ふくしま集団疎開裁判の会」の招きで来日し、福島、千葉、東京で講演をされました。7月20日の東京での講演会に参加したので、講演内容の概要を紹介します。

■重要なのはDNAでの放射線の密度
 私は20年間、放射線被ばくに関する研究をしてきています。この40年間くらいの間に、放射線は低線量でもかなり深刻な健康被害をもたらすことが分かるようになりました。
 放射線の標的は、細胞の中のDNAです。染色体の中のDNAは、細胞に何をするか指令を出す情報の図書室のようなものです。電離放射線はDNAに変異をもたらします。
 健康被害は、がん、白血病、出産の異常など多数あります。
 放射線は吸収線量で測定されます。しかし、健康に関わる重要な量は、細胞内のDNAでの電離密度です。吸収線量はあまり大きな問題ではなく、直接DNAに出している電離放射線のエネルギーが問題なのです。だから、福島原発の事故について、飛行機に乗った時の放射線量と比較しても意味がありません。

■ICRPのモデル
 現在の放射線と健康被害についてのベースは、広島・長崎についてのICRPのモデルです。このモデルでは、広島・長崎で1回だけ受けた大量の被ばくでの、ガンマ線の吸収線量とがんの発症数が、線量ゼロから比例する直線となるグラフとなっています。この方法は、体のすべての細胞が同じ線量を受けるであろうという推測に基づいています。
 しかし、内部被ばくにおいては、そのような想定は有効ではありません。体の各部で放射線吸収密度が違うからです。火の前で体を温める時(外部被ばく)と、火の中から熱い石炭を口に入れる時(内部被ばく)、吸収線量は同じですが、明らかに大きな違いがあります。

下記日本語訳があります。
ECRR(欧州放射線リスク委員会)2010年勧告
翻訳:ECRR2010翻訳委員会
発行:美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
http://www.jca.apc.org/mihama/ecrr/ecrr2010_dl.htm
■ECRRのモデル
 ECRRが気がついたのは、内部被ばくは外部被ばくと同じ計算方式ではモデルができないということです。
 ラットの肺の中の写真ですが、ホットパーティクル(高放射性粒子)、プルトニウムの粒子です。粒子の近くは高い線量だが、少し離れると低いです。こういうことのために、ECRRは新しいモデルを開発したのです。
 私達は、ウェールズとイングランドについて核実験による「死の灰」(放射性降下物)の影響を調べました。死の灰は、チェルノブイリ事故や福島事故から放出された放射性物質と似ています。セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウムなどの核種が出てきています。ウェールズは海に近く雨が多いので、死の灰が多く降りました。それは、イギリス政府によって計測されています。
 核実験後、がんの発生率がウェールズでは、イングランドの3倍でした。(線量では1〜2mSv)。それは、ICRPモデルでの計算値の約350倍でした。つまり、350倍のエラーであったということです。これは大きな数字ですが、ホットパーティクルなどを考えると、理論的に説明できます。
 1980年代終わり頃には、チェルノブイリ事故の影響について調査をして、ICRPモデルは違うという証拠がたくさん出てきました。
 ECRRのモデルは2003年に発表しました。このモデルは、スウェーデンでチェルノブイリ事故による汚染によって癌がどれだけ増加したかという2004年の調査によって実証されました。
 原子力施設周辺における小児白血病についての我々の調査からも、ICRPモデルの誤りは証明されています。そのエラーは350倍〜1000倍であることがわかりました。小児白血病発症の線量は、1mSv〜0.1mSvしかありませんでした。
 今の日本になぜそれが重要かというと、福島第一原発から100キロ〜200キロの人たちがそのような線量を受けていて、内部被ばくにもなっているからです。
 ECRRモデルは、疫学的な調査、細胞生物学研究等で広範に支持されています。

■ICRPモデル編集者が間違い認める
 ICRPリスクモデルは1952年に基礎ができましたが、その当時、DNAはまだ構造が分かっていませんでした。このモデルは、科学者のコミュニティでは大きな恥となってきていると思います。なぜ世界のほとんどの政府がICRPモデルを採用しているかというと、軍事・原子力産業の力が強いからだと考えられます。一番新しい2007年の勧告において、チェルノブイリ事故についての言及はほとんどありません。また、モデルが間違っていると指摘するピアレビューを受け出版された多数の論文も無視しています。
 長年ICRPモデルの編集者でICRPの科学の長であったジャック・バレンティンに、彼が退職した2009年にストックホルムで会いました。
 そのときの話し合い(ビデオに撮られており、インターネットで見られる)において、彼はICRPモデルの内部被爆に関しては、エラーが最大900倍にもなる可能性があると認めました。このことから、福島事故による健康被害の予測には利用できないということがわかります。そして、チェルノブイリの証拠を見ずにモデルをつくったことは、間違いだったと公に言っています。

■低線量でがんや幼児死亡率増加
 ウェールズにおけるがんの発生率とストロンチウム90の増加のグラフです。線量そのものは0.2mSvと非常に低いです。 ウェールズとスコットランド地方における赤ちゃんの生後1年間に小児白血病にかかった数のグラフです。チェルノブイリ事故翌年の1988年に3-4倍に増えています。チェルノブイリからの死の灰が、0.8mSvと低線量でも乳児達に与えた影響から、ICRPのモデルが間違っている何よりの証拠です。
 放射線はがんの発生だけでなく、幼児死亡率も上げます。それは、大気圏核実験が行われた52-63年の幼児死亡率や、ウェールズのストロンチウム90と幼児死亡率の関係で証明されています。自然放射線に近い非常に小さな線量で被害が出ているのです。

■トンデル博士の研究
 スウェーデンのマーティン・トンデルという若い先生が、1988-2004年の北スウェーデン市町村での、人口調査をしました。その結果、セシウム137の濃度とがん発生率の間に重要な相関関係があることを見出しました。セシウム137だけでがんが起きているわけではありませんが、セシウム137は簡単に測定できて、他の核種が同時にあるということが分かるので放射線量の指標となります。
 トンデルは研究成果をジャーナルに発表しました。彼が発見したのは、100キロベクレル/平方メートルの汚染で、がんの発生率は11%上昇するということです。これはICRPモデル予測の600倍ぐらいです。ECRRモデルによる予測とほぼ一致しています。線量は低いです。
 その結果、トンデルは当局によって研究からはずされました。彼の上司ラーズ・ホルムは最近までICRPの議長だった人物で、スウェーデンの国民健康管理の長に就任しました。
 チェルノブイリからの汚染は、様々なガス(放射性ヨウ素、テルリウムなど)とセシウム137のような核分裂生成物を多量に伴うウラニウム燃料粒子からのものです。
 事故1か月後にキエフを訪れたイギリス女性のスカートからの放射線の写真です(右)。X線フィルムを直接スカートに接写したものです。同じような粒子が、東京と福島から送られてきた車のエアフィルターから検出されています。
(次号につづく) (まとめ 安間節子)


化学物質問題市民研究会
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