ピコ通信/第111号
発行日2007年11月26日
発行化学物質問題市民研究会
e-mailsyasuma@tc4.so-net.ne.jp
URLhttp://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/

目次

  1. ハイテク廃棄物を考える市民セミナー報告/テレビやパソコンはどこへ行く
  2. 環境省/小児環境保健疫学調査に関する検討会:子ども疫学調査が始まる
  3. 東京都教育委員会へシックスクールマニュアル再提案
  4. 調べてみよう家庭用品(9)−薬用ハンドソープ
  5. 海外情報/EHN 2007年11月8日論文解説
    アメリカ国民のビスフェノールA及びオクチルフェノールへの曝露
  6. 化学物質問題の動き(07.10.22〜07.11.25)
  7. お知らせ・編集後記


ハイテク廃棄物を考える市民セミナー報告
テレビやパソコンはどこへ行く


 パソコンやテレビなどE-wasteとよばれるハイテク機器廃棄物が、日本を含む先進国から途上国へ輸出されています。これらの廃棄物は、有害物質を含む一方、希少金属やその他の再利用可能な物質も含んでいて、途上国で環境や働くひとや地域の子ども達の健康を損ないながら、リサイクルされているケースも報告されています。また、消費者がリサイクル業者や中古品回収業者に出したパソコンやテレビの多くが「中古品」として輸出されていますが、その行方はあまり知られていません。
 そこで、10月27日(土)、E-wasteの行方について、最新の状況を知り、市民(廃棄物を出す側であり製品を買う側でもある)の立場から今後の課題を見つけるために、この問題に詳しい寺園 淳さんを講師に迎えてお話を聞きました。
 また、廃棄物の国際貿易と環境・人権問題について活動しているNGOバーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)が、中国のハイテク廃棄物解体現場を取材したビデオ(日本語版・末尾に紹介)も上映しました。
 講演の概要を紹介します。
(文責 化学物質問題市民研究会)

テレビやパソコンはどこへ行くのか
寺園 淳さん(国立環境研究所・循環型社会・廃棄物研究センター)

 はじめに、私の意見は環境研や環境省を代表していないということと、私もすべての状況は把握していないことをお断りしておきたい。

■簡単なまとめ
○中古電気電子機器の輸出には功罪がある(りえる)。
 確かに、中国広東省汕頭市貴嶼(Guiyu 以下 グイユ)などで問題を起こしている例があることは、私自身見てきている。一方、アジア諸国では中古電気電子機器の需要があるという現状がある。バーゼル条約も含めてそれぞれの国の法律に則って、市場経済が行われていて、それによって潤っている人たち(業者だけでなく労働者も)がいるのも事実である。これをどのようにコントロール(禁止・改善)したらいいのか、悩みながら現地調査を行ってきている。

○現地(本日紹介は主に中国・ベトナム)では、輸入物のほかに現地発生の廃電気電子機器も発生している。
 輸出はコントロールされなくてはならないが、輸出を止めたからといって、問題が解決するわけではない。経済成長によって短寿命で電気電子製品が更新されていて、それもグイユなどに集まっている。

○零細のリサイクル現場では、労働安全衛生上の問題は明らか、環境汚染も発生、健康被害については最近になって研究発表が行われている。
 今年になって、グイユなどでの鉛の血中濃度が高いとの報告が出てきている。国立環境研究所ではこれらの問題については調査研究する体制がなく、サンプリング調査は主に香港の大学や愛媛大学が実施している。

○修理・リユースの技術は見習うべきものがある。
 日本も昔は修理して使っていたが、今ではその技術がかなり失われてしまった。一方、中国、ベトナムなどではひじょうに優れた技術がある。

○輸出国と当該国双方での対応が必要である。また、問題をよく整理する必要がある。
 日本の家電リサイクル法改正への期待がひじょうに大きいが、それだけでは、品目の違うパソコンや携帯電話などの不法輸出入は止まらない。改正は必要なことだが、我々の側の対応の他に現地で発生するものへの対応も含めて考えていく必要がある。

■廃プラスチックの輸出量急増
 我々は、廃プラスチックの状況についても調査している。2001年と2005年を比較すると、日本からの輸出量が急増している。香港経由で入る中国の輸入量が、日本からだけではなく欧米からのものも含めて急増している。結果として、容器包装リサイクル法による容リ協(日本容器包装リサイクル協会)の引き取り量が減少し、容リ協危うしの状況となっている。

■無料回収業者に流れる廃家電
 家電の廃棄に対する排出者負担を、日本と中国のテレビを例としてみる。
 中国では、インフォーマルセクター(多くは 制御不可能なフロー)である伝統的な回収業者 (国内のリユース/リサイクル目的)は、80元(約1000円)くらいで引き取る。それに対して、法的なリサイクル施設 (制御可能なフロー)である新規計画・稼働中のリサイクル施設では、156元で引き取るということで始めた。しかし、リサイクル施設は赤字に陥いってしまってうまく機能していない。今、中国では国家的モデル事業として家電のリサイクルプラント事業が各地で始まっているが、建屋は立派でも物が集まらないという状況で、問題をかかえている。
 日本では、近年都市で見られる回収業者(輸出目的)は無料で引き取ってくれる。これに対して、家電リサイクル法に基づいて、小売店に戻そうとするとリサイクル料2835円と輸送費が500円〜2,000円、合わせるとテレビ1台につき4,000円〜5,000円かかる。その結果、排出者が制御可能なフローに引渡すのには負のインセンティブが働く。この点が、家電リサイクル法で排出者負担を変えなくてはならないと多くの方が言われてきたことだと思う。



■中古家電の輸出量は年500万〜600万台
 日本からの主な循環資源の輸出を見ると、鉄くず、銅くず、プラスチックはともに輸出量・輸出額ともここ数年で急増している。特に輸出額の伸びが大きい。中国と韓国は鉄スクラップを多く輸入している。銅・アルミスクラップは、中国が圧倒的に多く輸入している。
 使用済み家電の国内フローの経産省・環境省による推定結果(2006年12月)が出された(上図参照)。家庭または事業所からの排出2,287万台(4品目)中、製造業者等による再商品化は約半分である。スクラップ国内向け150万台、同海外向け160万台、国内リユース(中古)向けは103万台、同海外向けは594万台、不法投棄は16万台等となっている。 私の推定では、中古家電の輸出量は460万台で、594万台より少し少なくなっている。
 使用済み家電の国内フローについては、中古品取扱い業者の動きが不明(ほとんどブラックボックス)、大手輸出業者は輸出量を発表するが、個人輸出業者の把握はほとんど不可能など、ブラックボックスの部分が大きい。 日本・中国・香港の間におけるCRT(ブラウン管)テレビの輸出入の、2001年と2005年の変化を見る。2001年には日本への中国からの輸入は300万台強あるが、2005年には新品CRT・TVは減少している。日本から中国への輸出は、2005年には新品CRT・TVは実質ゼロへと変化している。日本から香港への輸出については、中古CRT・TVの輸出量はほぼ変わらないが、中古CRT・TVの低価格化が目立つ。
 当研究所での"国内の使用済みPC(パソコン)フロー分析"を紹介する。デスクトップ(本体)と ノートパソコンの2001年と2004年のフロー推定である。
 ・排出台数:488万台→747万台
 ・国内処理:263万台→269万台
 ・輸出台数:29万台→243万台
 排出増加分が、ほとんどそのまま輸出に回っている。

 中古家電輸出業者のヒアリング事例を紹介する。
 ・エアコン輸出業者:「フロンのないもののみ回収している」
 ・冷蔵庫輸出業者:破砕し、「断熱材フロンは処分業者に出している」  ・パソコン、モニター、テレビ輸出業者:リユース目的である(しかし、雨ざらしになっている)
 ・テレビ輸出業者:「HS(輸出入品目)コードは(スクラップでなく)中古テレビとしている」
 ・中国での中古家電輸入(禁止されているが):「保税地域で再輸出目的であれば可能」

 中古家電輸出後の海外での残渣発生割合に対しては、よく分からないが様々な見解がある。
 ・中古家電等輸出業者A:「中国ではすべてリサイクルできる」「残渣はほとんど出ない」(しかし、バイヤーに引き渡した後のことは知らない。)
 ・中古家電等輸出業者B:「フィリピンでも残渣は少ない」
 ・国内金属スクラップ加工業者B:「タイではリユース目的輸入品のうち、半分以上不可(残渣)の場合もあった」
 ・化学物質問題市民研究会:「海外(中国)でリサイクルできるものは1割くらい」
 ゼロから9割までと、見解にはひじょうに幅がある。

■中国・グイユ/建物は変わったが状況変わらず
 2006年2月に、グイユを訪れた。パソコン以外に、テレビのブラウン管、オーディオ機器、プリンタローラ、パチンコなどのE-wasteが山積みされているのを目にした。E-wasteは作業場で分別されて、ICチップなど有価のパーツはショップで販売、鉄くずは金属スクラップ業者へ、基板は分別作業場へ運ばれていた。
日本語DVD新発売
危害の輸出−アジアで処分されるハイテクごみ
先進国から中国へ送られたパソコン、テレビ等の電子廃棄物が、リサイクルの過程で人や環境を汚染している−深刻な現状を世界で初めてリポートした衝撃的ドキュメンタリー
日本語ナレーション入り 23分
制作:バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)
販売:化学物質問題市民研究会
定価(送料込み):個人・NGO 2,000円
企業・公共機関・教育機関 4,000円
申し込み: e-mail、FAX、電話等で当研究会へ
 建屋内部は見せてもらえなかったが、基板をストーブで加熱、鉛ハンダを落とし、ICチップなどを外している写真を入手した。外では、ICチップなどを外した加工後の基板の山が道端のあちこちに積まれていた。
 -wasteの残渣と生活ごみが混合されて放置されている川岸の現場を見学。自然発火で常に煙が出ていて、ダイオキシン等が多く発生していると思われた。同様の場所は周辺に数箇所ある。グイユでは、白血病、呼吸器・皮膚・消化器の疾患が増加しているといわれているが、詳しくは調べられていない(今年、初めて血中鉛の報告が出たが)。バーゼルアクション・ネットワーク(BAN)が調べた2002年当時と比べて、ビルは立派になっているが、状況は基本的には変わっていない。


東京都教育委員会へシックスクールマニュアル再提案


 ピコ通信98号(2006年10月23日発行)で報告したように、東京都教育委員会に対してシックスクールマニュアルの作成を求めて、当会とCSの子どもの保護者たちは協同してこれまで活動してきました。06年9月の後も、同年12月マニュアル提案の提出、07年2月話し合い、8月話し合いと働きかけを続けてきました。
 そして、8月の話し合いの時に、2学期か3学期に、現行の「都立学校における室内化学物質対策の手引」の増補改訂版の形で、対応する予定ということを聞きました。そこで、10月10日、以前に出したマニュアル提案のエッセンスをまとめた再提案書を出しました。

2007年10月10日
東京都シックスクール対応マニュアルに関する保護者及び支援団体からの提案(「手引き」改訂用)

T 学校での配慮事項

1 学校施設・教室環境について
(1) 換気に関すること
 日常的に窓を開放し、自然換気を積極的に行い、「学校環境衛生の基準」の換気回数を最低限確保する。
ア 普通教室
 休み時間も窓、欄間、廊下側の窓を開け、教室全体に外気が流れるよう換気に努める。換気扇がある場合は運転する。

イ 特別教室
 パソコン室、理科室、音楽室など特別教室は、使用開始前に通風を考慮して窓の開放を行うなど十分な換気を行い、授業中も換気に留意する。常に換気設備を活用して換気を行う。
ウ 保健室
 アレルギー・化学物質敏感体質や体調が悪い児童・生徒が保健室に入室することを考慮して、備蓄薬品類からの揮発・揮散のないように保管に留意し、必要に応じて通風を考慮して窓の開放を行うなど十分な換気を行う。
 また、布団類は、よく乾燥させるなどして、ダニアレルギーの予防に努める。空気質の改善が難しい場合は、空気清浄機の設置も検討し、設置の場合は運転状況を常に確認しメンテナンスに留意する。

(2) 床ワックス、洗剤、消臭・芳香剤、殺虫剤等の使用に関すること
ア 床ワックス
(ア)床材に対して、床ワックスの塗布が本当に必要かどうかを検討する。
 床ワックスの必要性を認めた場合は、下記の点に注意し行う。
 (イ)床ワックス関連の購入にあたっては、製品安全性データシート(MSDS)や成分表を確認し、有機リンや有害化学物質が含まれるものは使用しない。また、できる限りVOCを含まない、あるいはVOCの少ないものを選定する。
 (ウ)床のワックスがけは、長期休業中の早い時期に行うものとし、十分な養生及び乾燥のための期間が確保されるように、適切な作業の日程を設定するよう配慮する。また、児童生徒の登校日までの間に十分な換気を行う。

イ 殺虫剤等
 病害虫等が発生していない状況での、予防を目的とした定期散布は行わない。病害虫が発生した場合は、剪定や焼却等発生源除去などの環境改善や防虫網・粘着トラップ等物理的な方法による防除を検討し、殺虫剤等の使用は原則として避ける。やむを得ず殺虫剤等を使用する場合、より安全性の高い薬剤を選択し、以下に留意する。
 なお、殺虫剤等で有機リンを含むものは使用しない。

<殺虫剤等を使用する場合の留意事項>
@事前に、使用目的、日時、薬剤の種類、使用方法等を教育委員会に報告し、児童・生徒、保護者、近隣住民にも、事前に、使用目的、日時、薬剤の種類、使用方法等を周知する。
Aやむを得ず散布せざるを得ない場合は、必要最小限の範囲、量とし、長期休業中に行うなど、児童・生徒や近隣住民に健康影響を与えてはならない。
B散布後しばらくの間、児童・生徒が散布場所に立ち入らないような措置を講じる。
C農薬使用にあたっては、農水省通知「住宅地等における農薬使用について」を遵守する。

(ア)樹木の防除、除草等
 樹木の病害虫防除、除草等については、原則として農薬散布を行わない。日頃から、樹木の剪定により風通しをよくすることや土壌の管理・虫の付きにくい植栽の選択などして、病害虫の発生予防および早期発見に努める。病害虫が発生した場合は、部分的な剪定や捕殺等、物理的な防除を行うようにする。
 除草剤については使用しないことを基本とする。雑草は日頃から刈り取りに努め、手取りのほか刈り払い機を利用する。
 やむを得ず農薬を使用する場合、誘殺、塗布など散布以外の方法を検討し、散布せざるを得ない場合は、必要最小限の範囲、量とし、上記留意事項を守る。

(イ)校舎内の害虫駆除
 給食室等、校舎内の害虫駆除については、薬剤散布を行わない。
 日頃から、ごみ、残滓の処理、清掃の徹底等、発生予防に努め、必要に応じ、防虫網等の整備を行う。害虫の発生を見た場合、害虫の種類の特定や生息状況、被害を調査把握した上で、発生源の除去、トラップ配置等物理的な防除を実施する。やむを得ず薬剤を使用する場合、まず毒餌配置等、散布以外の方法を選択し、散布せざるを得ない場合は、必要最小限の範囲、量とし、上記留意事項を守る。
 薬剤使用後は残留物質の測定を行い、害虫駆除の結果とともに公表する。

ウ 外部業者への委託
 (ア)樹木の防除、校舎内の害虫駆除、トイレ清掃など、外部業者へ委託する場合は、可能な限り安全性の高い方法で実施させる。
 (イ)薬剤使用時の生息調査や周知、公表についても委託業務の一環とし、徹底させる。この場合、生息調査を行う業者と薬剤散布業者を同一にしない。
 (ウ)学校は業者任せとせず、管理監督する。

(3) 壁、床等の修理に関すること
ア 学校等で実施する軽微な修理及び学校職員等が行う小規模な塗装等については、塗料や接着剤等で厚生労働省が室内濃度指針値を設定している13の化学物質を含むものは使用しない。

イ 臨時環境衛生検査
 (ア) 机、椅子、コンピュータ等、新たな学校用備品の搬入等に当たっては、搬入前後に文部科学省の「学校環境衛生の基準」および文部科学省通知「学校における室内空気汚染対策について」(15ス学健第11号、平成15.7.4)に基づき、文部科学省発行の「学校環境衛生管理マニュアル」に沿って、ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物について測定をする。当該物質が基準値を超えた場合は、新規購入した物品を返品・交換、または換気を行うなど汚染物質の発生を低くするための適切な措置を講じる。なお、施設の使用再開に当たっては、当該物質の濃度が基準値以下であることを確認してから開始すること。
 (イ) 新築・改築・改修等を行った際には、厚生労働省が室内濃度指針値を設定している13物質の濃度が基準値以下であることを確認した上で引渡しを受けるものとする。
 (ウ)すべての備品の購入・机の天板の交換はできるだけ夏期の休みに行い、購入もしくは交換が終わったら速やかに包装を解き、通風を図ること。その際、十分な換気を行う。

(4)その他
 学校敷地内は、全面禁煙とする。

2 教育活動について

(1) 図画工作(美術)、技術、理科(科学・化学)、水泳指導等の教科指導に関すること
ア 図画工作等では有害化学物質を含んだ合板や接着剤等の教材は使用しない。
 特に、理科の実験や図画工作等を行う場合は換気に十分留意する。

(2) 使用教材・教具・教科書等に関すること
ア 学校で使用するサインペン・マーカー、のり、接着剤、絵の具、クレヨン、墨汁、ニス、化学実験、プリントや教科書等各種印刷物に含まれる揮発性成分により具合が悪くなる場合があるので、換気を励行し、児童・生徒の健康管理に十分注意する。

イ 学校内の印刷物は、大豆油インクを採用するなど、化学物質放散を極力抑えるようにする。

U 化学物質の影響を受けやすい児童・生徒への配慮事項

 化学物質の影響は個人差があり、また症状も多様なことから、工事などの計画段階から当該児童・生徒の保護者との十分な話し合いや連絡を密にし、子どもの教育を受ける権利を保障し、当該児童・生徒が支障なく学校生活を送れるよう最大限の配慮を図る。

1 学校での対応について
(1) 施設の修理に関すること
ア 学校等で実施する修理及び学校職員等が行う小規模な塗装等については、実施する前に当該児童・生徒の保護者へ連絡し、使用する材料についてのサンプル確認を行い、当該児童生徒に健康被害が出ないことを確認の上、当該児童生徒が登校しない長期休業中、土、日、祝祭日などを利用して行う。修理後の健康観察や万が一症状が出た場合の対応を協議しておく。

イ 工事材料に強く反応する当該児童・生徒が在籍中は、修理や塗装は、極力行わない。

(2) カーペットのクリーニング、ワックス、清掃に関すること
ア 当該児童・生徒が在籍する学校では、パソコン室や図書室などのカーペットを清掃する場合は、当該児童生徒の使える洗剤で行うか、使える洗剤がない場合には水洗いにするなどの配慮を行う。

イ 床にはワックスは使わず、水拭きとする。

ウ 清掃には化学薬品添加の雑巾やモップを使わず、水拭きとする。

(3) 個別支援計画の作成に関すること
ア 当該児童・生徒について個別支援計画を作成する。各学年始めに計画立案し、保護者と面談した後に完成させる。子どもの状態を見ながら、学級担任と保護者が随時話し合って適宜計画の変更を行う。なお、学年末に支援の成果・課題等について保護者と共に話し合い、次年度の個別支援計画の作成に引き継ぐ。

個別支援計画の内容
 (ア)過敏に反応する物質
 (イ)授業で使えない教材及び代替教材
 (ウ)受けることのできない授業及び代替措置
 (エ)既往症の有無
 (オ)緊急を要する症状が出た場合の処置
 (カ)保護者の要望
 (キ)行事参加のための事前準備
 (ク)体調不良による不安や周囲の理解・受入れに対する不安等への精神的支援
 (ケ)ア〜クを考慮した授業の進めかた
 (コ)その他必要な事項

イ 受けることができない授業については、レポート、課題などによる代替措置を取ることを原則とする。

ウ 読むことのできない印刷物(テスト用紙も含む)と代替措置についても、個別支援計画に含める。

(4) 宿泊先、コンサートホール等校外活動の環境に関すること
ア 校外活動を実施する際には、活動先の施設や活動内容等における化学物質の有無等について十分確認する。特に、施設のメンテナンスの時期を確認し、計画段階から計画案を当該児童・生徒の保護者に周知し、配慮すべき事項を協議する。保護者からの申し出があれば、保護者の同伴を妨げないなどの配慮を行う。

イ 宿泊先の環境のみならず、利用する交通機関についても事前に調査し、旅行会社、バス・鉄道会社等と連携し協力を得ながら、必要な対策を講じる。

(5) 整髪料や制汗剤やシャンプー、化粧品等に関すること
ア 整髪料、化粧品、タバコ、防虫剤の臭いのついた衣服など、揮発性のあるものや臭いのあるものを避けるよう特に配慮が必要である。

イ 教職員はもとより、当該児童・生徒の同級生や、行事等へ出席する保護者に対しても、整髪料、化粧品、制汗剤、香水、クリーニング臭、タバコ臭、防虫剤臭などに配慮するよう理解と協力を求める。

(6) 周囲の児童・生徒や保護者に関すること
当該児童・生徒の同級生や、その保護者に対して説明する機会を設け、当該児童・生徒が周囲の理解と協力を得られるようにする。

以上


化学物質問題市民研究会
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