米国立環境健康科学研究所ジャーナル
EHP 2003年9月号 環境医学レビュー
多種化学物質過敏症(MCS) 2段階集団調査の検証
情報源:Environmental Health Perspectives Volume 111, Number 12, September 2003
Environmental Medicine Review
A Review of a Two-Phase Population Study of Multiple Chemical Sensitivities
Stanley M. Caress 1 and Anne C. Steinemann 2
1 State University of West Georgia, Carrollton, Georgia, USA
2 Georgia Institute of Technology, Atlanta, Georgia, USA
http://ehpnet1.niehs.nih.gov/members/2003/5940/5940.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2003年9月 9日(抄訳)
更新日:2005年5月28日(全訳)

内 容
 概 要
 はじめに
 MCSの有病率
 第1段階の調査
 第2段階の調査
 References


概 要

 この報告書で、我々は多種化学物質過敏症(MCS)の有病率(prevalence)、症状、及び原因に関する2段階の調査で判明したことを述べる。また、MCSを起こす引き金、MCSと他の障害との関係、そしてMCSによって変更を余儀なくされる個人の生活様式についても考察する。第1段階の調査では、通常の化学物質に対する過敏性(hypersensitivity)の有病率を報告に基づいて決定するために、ジョージア州アトランタ市の都市部から任意に選出した1,582人を対象にした。その結果、全対象者の12.6%が過敏性を有していると報告した。さらに、その過敏性を有する人々に対する問診により、13.5%(全対象者の1.8%)の人々が、その過敏性のために職を失っていた。第2段階の調査では、過敏性を有すると報告した人々に更なる問診を行った。この調査で、過敏症の人々には様々な症状とそれを起こす引き金があることが分かった。かなりの人々(27.5%)が殺虫剤が引き金で過敏症となったが、同等の人々(27.5%)が溶剤によって引き起こされた。1.4%の人だけが症状が出る前に感情的な障害を経験しているが、37.7%の人は肉体的な症状が出た後に感情的な障害を経験している。このことは、MCSは生理学的原因によるものであり、心理的な原因によるものではないことを示している。
キーワード
化学傷害(chemical injury)、環境病(environmental illness)、多種化学物質過敏症(MCS)、毒物誘因耐性消失(TILT、toxicant-induced loss of tolerance)


はじめに
 数多くの政府機関、医学団体、そして研究者達が多種化学物質過敏症(MCS)に関する更なる疫学的調査を行う必要性について強調してきた(Ashford and Miller 1998)。連邦政府のMCSに関する出版物ではミッチェル(1998)が、”後々の作業のために症例を特性付けるため”、及び”集団におけるMCS現象によって引き起こされる問題の程度をはっきりさせるため”に疫学的調査の必要性を概説した。さらに、連邦政府の報告書は、MCSの病因、ダイナミックス、そして症状を取り巻く不確実性は、研究調査を劇的に増加することによってのみ解決することができるとしている(Interagency Workgroup on Multiple Chemical Sensitivity 1998)。

 この調査は、多種化学物質過敏症(MCS)の有病率、症状、及び原因に関する2段階の調査からなっている。第1段階では、ジョージア州アトランタ市の都市部でのMCSの有病率に目を向けている。第2段階では、第1段階の調査で過敏性を有すると報告した人々に対するより広範な問診により、症状、原因、及び過敏症の他の側面に焦点を当てている。


MCSの有病率

 MCSは一般に、個人が、家庭用洗浄剤、殺虫剤、塗りたてのペンキ、新しいカーペット、合成建材、新聞紙、香水、その他多くの石油化学に由来する製品などの日用品に含まれる微量の化学物質に急性的に過敏反応する状態として認識されている(Davidoff et al. 2000)。MCSは様々な症状を生み出し、過敏性を持つ人々は普通に働くこと及びその環境に住むことができなくなる(Lax and Henneberger 1995)。

 MSCの人々の推定数には非常に広い範囲のばらつきがある。国立科学アカデミー(NAS)報告書は当初、アメリカ国民の15%が通常の化学物質製品に強い反応を経験していると推測した(NAS 1981)。しかし、その後の様々な手法を用いた調査では、異なった有病率を推定した。

これまでの有病率調査

 MCSの有病率に関する既存の研究は、対象とする個人の特性に基づき、二つのカテゴリーに分類される傾向がある。第一のカテゴリーは、本人が自己選択したか又はいくつかの特定のサブグループに分類できる共通の特性を持つ対象者である。サブグループは病院で治療を求めたか又は以前に医療を必要とした人々からなる。他のサブグループは、例えば年齢のような統計的特性に基づいたものである。第二のカテゴリーは一般公衆の中から任意に選択された個人からなる。このカテゴリーの調査は、誰でもがこの調査の対象となる機会を平等に得ることができるよう、確率に基づく対象者選択の手法を採用した。

 初期のMCS有病率調査は自己選択したか又は特定の特性を持つ人々を調査対象としたので、第一のカテゴリーに分類される。しかし、MCSに関するもっと最近の疫学的研究は第二のカテゴリーに分類される。

 アメリカ人口におけるMCSの有病率を評価する試みとして1990年以来多くの調査が実施された。初期の調査は、もっぱら医療従事者との会話を通じた逸話風な証拠(anecdotal evidence)に基づいており、ムーサー(Mooser (1987) )は化学物質への過敏性のために人口の2〜10%が破壊的な影響(disruptive effects)を被っていると示唆した。しかし、その後の調査で、逸話風な証拠の有効性が疑問視され、この有病率の推定は低すぎると示唆された。ひとつのサブグループのMCSの有病率を予測した最初の調査のひとつでは、705人の医療患者からなるサンプルを使用した(Kipen et al. 1995)。引き続く二つの調査もまた特定のサブグループからの対象を用いた。ひとつのサンプル・グループは809人の若い成人大学生からなり(Bell et al. 1993)、もうひとつのグループは160人の老人からなり(Bell et al. 1997)、両方ともアリゾナ州のグループである。これらの調査で(Bell et al. 1993, 1997)、若い人々のグループの約15%と老人のグループの37%以上が過敏性を持っていたと報告されている。

 ノースカロライナ州の田舎の住民1,027人に実施した任意電話調査でメグス等(Meggs et al. (1996))は、回答者の33%が化学的な匂い(例えば、香水、農薬、塗りたてのペンキ、車の排気ガス、新聞紙インク)を嗅いだ後に具合が悪くなったと報告した。この調査は一般公衆の代表とみなせる任意サンプルを使用しているが、主要な質問の言葉使い(wording)が、いやな化学物質の匂いに対する嫌悪感なのか、低レベルでの共通の物質に対する真の過敏性なのかの区別をつけ難いものにした。

 カルフォルニア保健省(CDHS)は、MCSに関する最大規模の疫学的研究を実施した(Kreutzer et al. 1999)。連邦政府から資金提供を受けたカルフォルニア保健省(CDHS)はMCSに詳しい専門家らに、州が実施する医学調査で使用する質問票での最適な言葉使い(wording)を提案するよう依頼した。1998年に実されたこの調査では、州内の異なる地域からサンプルとして4,000人以上の人々を選出した。クラウザーら(Kreutzer et al. (1999) )は回答者の15.9%が通常の化学物質に異常な過敏性を示すと報告したが、これは 当初のアメリカ科学アカデミーの推定を裏付けるものであった(NAS 1981)。カルフォルニア保健省(CDHS)の調査(Kreutzer et al. 1999)はまた、性別、教育レベル、結婚状況、及び人種/民族とMCSとの関連性を含んでいる。初期の逸話風な証拠(anecdotal evidence)は、高学歴の白人女性にMCSが多いと示唆していた(Cullen 1992)。しかし、カルフォルニア保健省(CDHS)の調査(Kreutzer et al. 1999)では、性、人種、及び教育レベルを横断する異なる分布を見出した。


第1段階の調査

 第1段階の調査は、1999年〜2000年にかけて実施された集団における有病率調査であり(Caress and Steinemann. In press)、通常の化学物質製品に対する過敏性の有病率とMCSの医学的症状の調査をジョージア州アトランタ市の都市部で実施した。また、この段階の調査で過敏性の程度と潜在的な原因(引き金)の予備的調査も行った。さらに、生活様式の変化、発症年齢、及びMCSと性別、年齢、学歴などの統計変数との潜在的な関係を検証した。

調査方法

 この段階の研究設計の構築では、測定ツールの開発、目標集団の選定、及びサンプリング技術及びサイズの決定が必要であった。さらに、信頼性の懸念、及び操作上の有効性と外部有効性にも配慮する必要があった。

 多種化学物質過敏症に関する機関横断ワーキング・グループ(1998)は、”質問票は疫学的調査において最も有用なツールのひとつである”と結論付けた。我々の調査で使用した質問票は、医療診断とMCSの症状を主に、その他の化学物質への過敏性に関わる細かいことを含めて調査するために構築された。質問票の外部有効性(この調査の結果は他の集団に対しても有効であるという仮定)を確保するために、我々はカルフォルニア保健省(CDHS)の調査(Kreutzer et al. 1999)で使用された質問と全く同じ言葉使い(wording)使用した。この質問の模写は我々の調査とクラウザーらの調査との分析比較を行うにあたっても有用であった。

 操作上の有効性を確保するためのサンプルサイズの決定手順は、測定に関連するランダム誤差の程度次第である。したがって、十分に大きなサンプルが求められる。有効性を確保するために必要な症例の数は、期待する信頼レベル及び信頼区間に基づくが、この種の研究では、95%の信頼レベルが受け入れられている。疫学的調査において、結果の精度(信頼区間)は通常は3%が期待される(O'Sullivan and Rassel 1995)。

 我々は、サンプルサイズを決定するために、信頼レベルと精度に関する標準確率公式を使用した。標準公式は下記のように表される。

n2 = proportion2 * (1 - proportion) * z

 ここで、n はサンプルサイズであり、z は z スコア(適切な信頼レベルに対応する標準スコア)である(O'Sullivan and Rassel 1995)。この公式は、ある調査が3%の精度で95%の信頼レベルを実現するためには少なくとも1,067の症例がなくてはならないということを示している。したがって、十分大きいサンプルを確保すために2,000の電話番号リストが生成された。最終的に1,582人の回答者が質問票に記入したので、この調査におけるサンプルサイズは期待する信頼レベルと精度を得るために必要なサイズを超えた。この調査におけるデータ収集手順のために、我々は、データ中のシステム的なバイアスを防ぐために任意サンプリング手法を採用した。地方の電話会社によって作成されたリストから任意に選択(くじ引き方式)された電話番号がサンプル構築に使用された。ジョージア州アトランタ市都市部の目標母集団は地域コード770と404の電話番号を使って得た。

 我々は、質問票のデータが安定性を示していることを確認することで、質問票の信頼性を上げた。データは3つの異なるコホートから収集された。我々は1999年の夏に496人への質問票を処理した。我々は1999年の秋に322人の第2コホートを、2000年の冬と春に764人の第3コホートを調査した。冬と春のコホートは、データ収集期間が長かったので他よりも大きい。それぞれのコホートの結果は、顕著な偏差がないかどうかの検証がなされた。3つの全てのコホート結果は僅かな偏差(本質的には3%信頼区間に同等)なので、我々はデータは安定しており、3つのコホートのデータは統合できると判断した。したがって本調査の全ての結果は3つのコホートの集合である。

 データ収集に先立って、我々は質問票の妥当性評価(face validity evaluation)のためにプレテストを実施した(回答者に向けられた質問は調査されていることを正確に反映しているかどうか)。テストグループとして253人を当初の質問票で評価したが、その質問票は最終版よりも長々としたものであった。予期せぬことであったが、回答者の多くが、質問票は時間がかかり過ぎ退屈であるという理由で面接が完了する前に面接を中断してしまった。妥当性評価とそれに続く項目分析は質問票を短く簡潔にすることに役立った。不適切な質問は取り除き、最終版は12の健康関連の質問と3つの人口統計的質問となった。

 最終版の質問票は最初に、回答者がMCS又は環境病と診断されたことがあるかどうかを訊ねた。それに続く質問は、カルフォルニア保健省(CDHS)と同様な言い方で:

 他の人々に比べて、あなたは、家庭洗浄用品、香水、洗剤、殺虫剤スプレーなどのような日常の化学物質に異常に過敏に反応すると思いますか?

 この質問に肯定的に答えた回答者に対しては、さらに追加の質問により、症状の深刻さ、引き金、発症年齢、及び行動の変化を調査した。人口統計的事項として、年齢、性別、教育レベルを全ての回答者に質問した。

調査結果

Table-1
Table-2
Table-3
Table-4
 調査集計データによれば、回答者の12.6%(199人)が通常の化学物質に対して異常な反応を示すと答えた(Table 1)。1.4%(22人)は自身が過敏性を有するかどうか不確かであった。回答者のうち、3.1%(49人)は医学的に環境病あるいはMCSと診断されていた。

 通常の化学物質に対して異常な反応を示す、あるいはその疑いがある人々のうち、42.7%(93人)については彼等の過敏性の発症原因(引き金)が特定できた。その内訳は、化学物質への曝露12.4%(27人)、殺虫剤5%(11人)、その他の曝露11.5%(25人)、他の原因13.8%(30人)であった。

 過敏性があると回答した人々(肯定的回答者)のうち、45.1%(106人)は医学的治療を受けていた(Table 1)。回答者の多く(61.5%、142人)は自分の過敏性に対して家で何らかの予防措置をとっていた。3分の1弱(29.9%、64人)は過敏性のために通常の方法では店での買い物ができなかった。さらに、13.5%(29人)は、過敏性のために職場で適切に働くことができず職を失っていた。この過敏性で職を失った人々は全調査対象者の約1.8%を占める。
 我々はまた、過敏性があると答えた人々に対しその発症年齢を質問したが、それによると、20歳以前が32.4%(70人)、21〜35歳が35.2%(76人)、36〜50歳が14.8%(32人)、51歳以上が9.7%(21人)であった(Table 2)。

 全調査対象者の教育レベルは平均的に分布していた。高校未満が10.1%(152人)、高校卒が24.7%(374人)、専門学校が25.7%(389人)、大学卒が31.5%(477人)、大学院以上が7.9%(120人)であった(Table 3)。
 性別では、59.8%が女性、38.8%が男性であった(Table 3)。

 過敏症と教育レベルのクロス集計によれば、過敏性があると回答した人々(肯定的回答者)は、全ての教育レベルでおおむね平均的に分布しているが、若干、高学歴の方にバイアスがある(Table 4)。高校卒又はそれ以下は、全肯定的回答者の36%(69人)であり、大学卒及び大学院卒は33%(64人)、専門学校卒が31%(60人)であった(Table 4)。
 肯定的回答者の教育レベル分布は、全体サンプルの教育レベル分布に匹敵する。このクロス集計はまた、性別分布が女性の方に幾分傾いていることを示しており、化学物質に異常に過敏性を示すと報告した回答者は、女性が71.7、男性が28.3%であった(Table 4)。

第1段階の調査結果についての考察

 過敏性が12.6%という数値はカルフォルニア保健省(CDHS)の調査結果15.9%(Kreutzer et al. 1999)よりも低いが、3%のサンプリング・エラーを考慮すれば、統計的には本質的に同等である。これらの調査結果は、アメリカ国民の15%が通常の化学物質に対し過敏性を持つと推測した国立科学アカデミー(NAS)の調査結果とよく一致する。性別との関連性については、初期の病院ベースの調査によれば、MCSは主に女性がかかり易いことが示されている。カルフォルニア保健省(CDHS)の調査結果(Kreutzer et al. 1999)によれば、全調査対象の中での女性の罹患率が高い(女性16%に対し男性6.9%)。我々の調査では異常な過敏性があると回答した人の中での女性の割合は71.7%であった。このことは、女性は男性に比べて不均衡にMCSの症状が現れやすいことを示している。しかし、この割合は、サンプル中の女性のバイアスを考慮するとそれほど劇的なものではなくなる。我々の調査の全サンプルにおける女性の割合は59.8%であり、少し高いが、統計的にはジョージア州北西部の女性人口(51.3%)と一致する。カルフォルニア保健省(CDHS)の調査もまたカルフォルニアの人口構成に比べて女性の回答者が多いが(59%)、これもまた許容パラメータの範囲内にある。我々の調査の中でMCSを経験した男性の実際のパーセンテージは、サンプル・バイアスを調整すれば、約3分の1であり、このことは、女性はより高い過敏症の罹患率を報告しているにもかかわらず、それは男女双方に影響するということを示唆している。

 初期の病院ベースの調査は、過敏症は教育レベルが高い人に多いと示唆していた(Cullen et al. 1992)。この結論に対する批判は、高学歴の人の方が治療にきてMCSであると診断を受け、学歴の高くない人はMCSであるとの診断を受けていない傾向があるというだけのことであるとしている。我々の調査は後者の見解を支持するものである。そのデータはカルフォルニア保健省(CDHS)の調査結果(Kreutzer et al. 1999)と同等であり、それは化学物質への過敏性は教育の各レベルに一様に分布しているということを示しており(Table 4)、そのことはCDHS調査で述べられている通り、普遍的な病因であることを示唆している。


第2段階の調査

 第2段階の調査の調査は、第1段階の調査で化学物質に対して過敏性があると回答した人々に対する追跡調査として2000年の春に実施された。症状、原因、及び過敏症の他の側面に焦点を当てている。また、この第2段階の調査では反応の発症と特定の化学物質との関係、及び過敏症の人々が余儀なくされた生活様式の変更についての調査も行った。

病因とダイナミックスの理論

 現在の研究は、MCSは発病(原因)と引き金(結果反応)の2段階のプロセスがあると示唆している(Ashford and Miller 1998)。過敏症は、ある特定の有毒物質への大量暴露(Rea et al. 1978)、又は、ひとつあるいはそれ以上の有毒物質への低レベルであっても慢性的な暴露(Miller et al. 1997)によって引き起こされる発病(initiation)の後に現れる。発病の後に引き金が起こり、広い範囲の物質に反応するようになる。

 発病(initiation)の機序についての理論は、神経学、免疫学、内分泌、及び心理学のシステムのうち、ひとつ又はそれ以上に基づいている(Interagency Workgroup on Multiple Chemical Sensitivity 1998)。フィードラーら(Fiedler et al. (1992) )は神経系障害がMCSに関連していると示唆しており、他の研究ではMCSは免疫機能不全に関連しているとしている。しかし、ある研究者たちは、MCSは免疫機能不全と同じパターンは示さないと主張しており(Ziem 1992)、その結果、他の研究者たちはMCSと、神経内分泌系に関連する免疫機能不全との間の関連性を検証した(Meggs 1992)。それはまた、呼吸気道の炎症(Meggs 1995)及びポルフィリン症のような障害が潜在的な原因要素であると示唆されている(Ellefson and Ford 1996)。他の研究者たちはMCSにおける大脳辺縁系(Bell et al. 1995)と代謝機序の役割を検証した(Byers et al. 1988)。MCSと他の条件、例えば全身(性)エリテマトーデス(systemic lupus)、慢性疲労症候群、線維筋痛症などとの関連性の検証も実施された(Ashford and Miller 1998; Interagency Workgroup on Multiple Chemical Sensitivity 1998)。さらに心理学的要素に着目した研究も行われた。これらの心理学的ベースの研究は、低レベルの化学物質への過敏性は身体化症候群(Black et al. 1990)又は条件反射(Siegel and Kreutzer 1997)かもしれないとしている。しかし、心因性理論は、バイアスのかかった患者の選定や兆候データの欠如のような方法論的な弱点がある(Davidoff and Fogarty 1994)。

 ミラーとミッツェル(Miller and Mitzel (1995))は、化学物質過敏症の発生と他の側面を調査する実験を実施した。彼らは、化学物質過敏症であるとかつて報告していた112人からの質問票を過敏症の発生原因に基づき二つのサブグループに分割した。ひとつのサブグループは有機リン系殺虫剤に大量に暴露した後に過敏症になった人々の質問票からなり、他のサブグループは、建材への暴露で過敏症になった人々の質問票からなる。著者らは神経毒性の程度は建材中に使用されている化学物質への暴露よりも殺虫剤への暴露の方が大きいと仮定した。二つのサブグループの比較は、暴露起源に関係なく両方のサブグループの人々は同じような症状を経験した。しかし、症状の程度に関してはサブグループの間でかなりの相違があり、農薬起源のサブグループは建材起源のサブグループよりひどい症状を経験していた。サブグループ間のこの症状の程度の相違により、著者らは、化学物質過敏症は身体表現性障害(somatoform disorders)とは一致しない特定の身体的ダイナミックスを持つという結論に達した。したがってミラーとミッツェル(Miller and Mitzel (1995))の結果は化学物質過敏症は生理学的な発生であり、心因性ではないということを示唆している。

調査方法

 我々の調査の第2段階の研究設計では、拡張された測定ツールの構築と管理、及び、信頼性と有効性を評価するためのと統計的測定の実施を必要とした。さらに、我々は、データの外部有効性を評価するために、我々の結果とミラーとミッツェル(Miller and Mitzel (1995))の結果とを比較した。

 第2段階の質問票は71項目の質問からなっており、第1段階で通常の化学物質に過敏性があると報告していた個人に対してのみ実施された。第2段階で使用したサンプルは任意調査からの派生であり、したがってそれは目標母集団を代表している。最初の段階で化学物質に対し過敏性があると報告していた199人の個人を突き止めていた。これらの個人は第2段階での追跡調査の潜在的な対象者として確保されていた。対象者には最初の調査が完了してから数ヶ月後に電話をかけ、もっと長くもっと詳細な質問票に答えるかどうか訊ねた。第1段階と第2段階の間に、多くの潜在的な対象者は引越しをしたり、病気がひどくて調査に参加できなかったり、又は拒否する人もいた。これら潜在的な対象者の減少のために最終的には第2段階のサンプルは69、すなわち過敏症であると報告していた199人の約3分の1に減少した。

 任意生成ではあるがサンプルは任意性を確保するためには小さすぎる。さらに、サンプルが小さいので、季節ごとのコホート(seasonal cohorts)に分割することができなかった。しかし、我々は内部一貫性を検証する統計ツールを用いて第2段階の結果の信頼性を評価した。回答の一貫性のレベルを決定するためにクロンバッハ係数αの測定及び、項目間の関連性の測定が実施された。更なる結果の評価と本研究の完全性を確保するために、二次項目分析が行われた。クロンバッハ(Cronbach)とその他の項目間分析のために、症状のタイプとともに反応の引き金についての質問も分類された。我々はまた、行動の変化についての質問も新たに分類した。

 表面有効性(face validity)を確実にするために、我々は拡張した質問票の事前テストを行った。事前テストでは特に顕著な問題は発見されず、測定ツールは満足なものであると判定された。連邦政府の多種化学物質過敏症に関する機関横断ワーキング・グループ(1998)によってなされた質問票を構築し、今後実施される研究との比較を可能とするようにして、外部有効性の促進を図った

調査結果

Table-5
Table-6
Table-7
Table-8
Table-9
Table-10
Table-11
Table-12
Table-13
■症状の程度と反応期間

 最初の質問である通常の化学物質に対する対象者の過敏性の程度についは、”深刻”、”やや深刻”、”中程度”、”少し問題”の4つのカテゴリーを用意した。深刻及びやや深刻(52.2%、36人)と中程度及び少し問題(47.8%、34人)はそれぞれ約半分づつを占めた。その内訳は、深刻 23.2%(16人)、やや深刻 29%(20人)、中程度 42%(29人)、少し問題 5.8%(4人)であった(Table 5)。

 引き続く質問は、反応が現れた時期についてである。一番多いのは曝露直後 42%(29人)、続いて曝露後1時間以内 24.6%(17人)、多くの時間が経過した後 5.8%(4人)であった。”曝露の種類によって発症時期が異なる” としたのは26.1%(18人)、不明が1.4%(1人)であった。反応が持続する期間についての質問に対しては、数時間 47.8%(33人)、数日間 40.6%(28人)、数週間 11.6%(8人)であった。さらに、その反応は常に同じ 68.1%(47人)、大体同じ 18.8%(13人)、時には同じ 8.7%(6人)、同じではない 2.9%(2人)、分からない 1.4%(1人)であった。

■症状の種類

 反応物質に曝露した後に経験する症状は(Table 6)、頭痛 88.4%(61人)、目がチカチカする 76.8%(53人)、胃の不調/吐き気 55.1%(38人)、めまい 46.4%(32人)、集中力の欠如 31.9%(22人)、筋肉痛 30.4%(21人)であった。発熱はあまり一般的ではなく(17.4%、12人)、意識喪失は回答者の 7.2%(5人)にあった。回答者の 59.4%(41人)が刺激性の物質に曝露した後にぜん息のような呼吸困難の症状を経験しており、50.7%(35人)がその他の様々な症状にみまわれていた。

■引き金となる機序と原因

 反応を引き起こす引き金を特定しその程度を知るためにいくつかの質問を行った(Table 7)。事前に物質と製品のリストを回答者に見せた後、面接者はどの物質で体調が崩れるか、それはどの程度かを質問した。多くの回答者が体調を崩すとした物質はクリーニング剤(88.4%、61人)、殺虫剤(81.2%、56人)、香水(81.2%、56人)であった。続いて、車の排気ガス(72.5%、50人)、理容/美容院(60.9%、42人)、新しいカーペット(53.6%、37人)、新しい家具(39.1%、27人)、家庭用飲料水の塩素(39.1%、27人)、塗りたてペンキ(26.1%、18人)などがよくある引き金であった。

 他人が使用する製品、叉は行為が反応の引き金機序となるかどうか知るためにいくつかの質問を行った。最もよく引き金となる他人の行為は近隣の家の暖炉、薪ストーブ、バーベキュー・グリルからの煙であり(39.1%、27人)、タバコの副流煙(33.3%、23人)、近隣の殺虫剤・除草剤の使用(31.9%、22人)、ランドリー製品(18.8%、13人)であった。

 この第2段階目の調査で、過敏症になった最初の原因(発端)を調査した(Table 8)。過敏症の発端となった原因が何かについて確信があるとした回答者は14.5%(10人)、ほとんど分かる26.1%(18人)であった。その原因物質が何であるか分かればMCSの原因解明に役立つので、そのことについて質問を行った。過敏症の起源となった曝露物質は、殺虫剤27.5%(19人)、洗剤(harsh cleaners)または溶剤27.5%(19人)、新建材17.4%(12人)、ガソリン他石油製品15.9%(11人)であった。

 症状の程度と原因(発端)のクロス集計は、自身の症状の原因を特定できる回答者は、症状が”深刻”で(50%、5人)であり、症状が”深刻”で、原因を特定できない回答者は(16人、6人)であった(Table 9)。

■他の病気との関連性

 いくつかの調査では、MCSは他の病気の産物、あるいは他の病気に関連していると推測しているものがある。そこで他の病気についての質問を行った(Table 10)。最初の質問は化学物質に対する過敏症に加えてさらに何か病気があるかどうかについての質問である。”ある”と答えた人々には、胃腸障害、線維筋痛症、慢性疲労、その他の障害があるかどうか質問した。さらに全員に、花粉、動物の毛、ホコリ/ダニ、カビ、その他の天然のアレルギー物質にアレルギーを起すかどうか質問した。

 多くの回答者(53.6%、37人)が彼等の過敏症に関連しているかもしれない他の病気を持っており、7.2%(5人)は確信がなかった。胃腸障害は26.1%(18人)が経験しており、線維筋痛症が21.7%(15人)であった。さらに慢性疲労叉は免疫系の障害18.8%(13人)、他の病気27.5%(19人)であった。

 多く(73.9%、51人)が天然の物質にアレルギー反応を示すとした。花粉が刺激となるが65.2%(45人)、動物の毛やフケにアレルギーを起こすが52.2%(36人)、ホコリ/ダニにアレルギーを起こすが55.1.2%(38人)、49.3%(31人)がカビに反応するとした。さらに44.9% (31人)がその他の天然のアレルギー物質などにアレルギーを起すとした。複数回答があるので、合計数はアレルギーに反応すると回答した人の総数を上回る

■精神的な病気との関連性

 ある研究者達はMCSは心因性であると主張しているので(Gots 1995)、我々は精神的な病気との関連性について質問した。しかし、その質問は、精神的なものが先か、症状として後から現れるものなのかを調査するためのものであった(Table 11)。

 過敏症の発症前に、うつ、不安、その他の感情的問題があったとの回答者はわずか1.4%(1人)であった。さらに5.8%(4人)は発症前にそのような感情的な症状があったかどうか分からないとした。回答者の4.3%(3人)が発症前に感情的問題のために薬物療法を受けたことがあった。対照的に37.7%I(26人)が過敏症の発症後に、定常的に、うつ、不安、その他感情的問題を経験しており、27.5%(19人)が発症後に感情的問題のための何らかの薬物療法を受けていた。

■生活様式の変更

 過敏症の人々は、反応物質を避けるために、生活様式の多くの点に変更を余儀なくされているので、それらの変更の程度を知るためにいくつかの質問を行った。質問は、住む場所、叉は家を変えなくてはならなかったかどうか、もしそうなら、それはどのようなものであったかである(Table 12)。13%(9人)が過敏症のために引っ越しをした。もっと多くの人々は住環境に大きな変更を加えた。34.8%(24人)がカーペット、叉は家具を取り除いた。47.8%(33人)が空気叉は水のろ過装置を設置した。約4分の3の回答者(76.8%、53人)がクリーニングと個人衛生用品を替えた。15.9%(11人)がガス器具を電気器具に替えた。さらに33.3%(23人)が住居にその他の変更を加えた。

■人口統計学的傾向

 最後の質問は、回答者の人種/民族、家族収入、結婚、及び性別に関するものであった(Table 13)。過敏性を持つ人々のうち、白人が66.7%(46人)、黒人27.5%(19人)、ヒスパニック2.9%(2人)であった。さらに2.9%(2人)がその他と答えるか、人種/民族を明らかにすることを拒否した。

 過敏性を持つ人々の年間家族所得は各階層に均等に分布していた。所得10万ドル以上(10500万円以上)が11.6%(8人)、5万ドル〜10万ドル(525万円〜1050万円)が23.2%(16人)、2万ドル〜5万ドル(210万円〜525万円)が26.1%(18人)、2万ドル(210万円)以下が27.5%(19人)であった。

 結婚の情況に関しては、52.2%(36人)が結婚しているかカップルで暮らしており、13%(9人)が離婚したか離別しており、14.5%(10人が)連れ合いを亡くしており、18.8%(13人)が結婚したことがなかった。さらに1.4%(1人)が回答を拒否した。年齢構成は若干高い年齢への偏向はあるものの、合理的に分布していた。60歳以上33.3%(23人)、40〜59歳39.1%(27人)、20〜39歳23.2%(16人)、20歳以下4.3%(3人)であった。性別構成は、女性79.5%(55人)、男性18.8%(13人)でいくつかのデータは紛失していた。

第2段階の調査結果についての考察

 変数の3つのクラスターに関するクロンバッハのα係数は同様な質問間の内部一貫性について程度が異なることを示している。最も高いα係数(0.7028)は引き金に関する質問であり、続いて振舞いの変化に関するα係数(0.6882)である。症状に関する質問のα係数は0.5054で最低であった。(補足説明は http://ehpnet1.niehs.nih.gov/members/2003/5940/supplemental.pdf を参照のこと)

 これらの全ては内部一貫性に関しては少なくとも中庸であることを示している。我々の分析結果は、過敏性のある人々は曝露の後に経験した症状のタイプに関してよりも何が反応の引き金になったかについての方が内部一貫性があることを示した。二次項目分析(subsequent item analysis)が引き金クラスター係数は電子機器を含めることによって著しく影響を受けることを示した。もしこの潜在的な引き金が分析から除外すると、引き金クラスターの内部一貫性はもっと大きくなった。項目分析はまた、これらの結果は測定ツールの適切性に対してよりも条件としてのMCSに対してより関連性があるということを示唆した。この第2段階で使用した質問票はMCS患者らの症状、引き金、及び行動に関する多くの逸話風調査から派生しているので、係数はMCSのある人々は様々な症状と行動調整を表すことを示した。分析もまた、過敏性のある人全てが、引き金物質に暴露した時に同じ様に反応するわけではなく、各人は自身の過敏性に適応するよう異なる行動をとることができるということを示唆した。

 我々は、ミラーとミッツェルの調査結果(Miller and Mitzel 1995)に関連してデータの外部有効性を評価するために、本研究の第2段階でデータのクロス集計を行った。病因、症状、及び程度に関するデータは症状の程度によりクロス集計されたが、本研究におけるデータ収集方法はミラーとミッツェルの方法とはかなり異なるということに留意することが重要である。彼らのサンプルは自身の過敏性の起源(原因)を明確に特定できた回答者からなっていたが、我々の研究では対象者69人中55.9%(38人)は自身のの過敏性の起源(原因)を特定することができなかった。我々の研究の対象者のうち、自分の過敏症が何によって引き起こされたのかを知っているのはわずか14.7%(10人)であり、それ以外に、いくらか分かっている人は26.5%(18人)である。したがって、本研究では適切な症例の数は限定されており、ミラーとミッツェルの結果と比較分析する妨げとなる。

 最も注目に値するクロス集計は、症状の程度と、過敏症の起源を知っていた又は知らなかった対象者との関係である。過敏症の起源を特定できた人々は、起源を特定できなかった人々に比べて深刻な症状を報告する傾向がある。起源を特定できた回答者10人のうち、50%(5人)が症状が深刻であると述べた。起源を知らなかった38人の回答者のうち、わずか16%(6人)が症状が深刻であるとし、原因が大体分かっている18人の回答者のうち22%(4人)が深刻な症状であった。これらの結果は、ミラーとミッツェルのデータ(Miller and Mitzel 1995)を強固にするものである。症状の程度と原因(殺虫剤、石油化学製品、及び建材)のクロス集計に関する症例数は非常に限られているが、しかし、有意な分析である。第2段階での結果は、回答者のうち相当な数の人々にとって、彼らの過敏性は破壊的で生活スタイルの変更を強いるものであり、症状のある人々の大部分が”深刻”又は”やや深刻”であると述べていることを示している。

 過敏症の発症後に何らかの感情的な疾患を経験した人は3分の1を超える37.7%であったが、過敏症の発症前に感情的な病歴を持っていた人は非常にわずか(1.4%)であった。これらの結果は原因に関する疑問に関連しており、MCSは生理学的なものに起因し、心因性ではないとするミラーとミッツェルの結論(Miller and Mitzel 1995)をサポートするものである。
 事前症状と事後症状の違いの発見はMCSが心因性である、叉は感情的障害の産物であるとする考えを弱めるものである。これらの発見は、身体的問題が先ず最初に発現し、その後に感情的問題が伴うということを示している。
 過敏症は非常に破壊的なので、各人がその重圧に打ち勝とうと試みる時に精神的なストレスが生じるというのがもっともらしい説明である。その他の説明としては、有毒物質への曝露が気分と感情に関する脳の機能に影響を与えるためというものがある(Bell et al. 1997)。この分野についてはさらなる研究が必要である(Ashford 1999)。

 過敏性をもった人々の人口統計的特性はその地域の一般的集団の特性を反映する傾向がある。調査対象の白人、黒人、ヒスパニックの分布はアトランタ市の都心部の人種構成にほぼ比例している。過敏症は女性に多いが、各学歴レベルや所得レベルの中に広く分布している。これらのことは、カルフォルニア保健省(CDHS)の調査結果(Kreutzer et al. 1999)が人種/民族、教育、所得に関係ないとすることとよく一致する。従って、この調査は、MCSが広く蔓延しており深刻であるということ、及び、本質的にさらなる調査研究が必要であるということ示す証拠をより強固なものにすることに貢献するものである。


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Last Updated: August 12, 2003

(訳: 安間 武)


化学物質問題市民研究会
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