IPEN 2023年11月28日
世界中で販売されているジャケットや衣料品中に 永遠の化学物質”PFAS”が発見された 調査した13か国のジャケットやその他の衣類には、がん、不妊症、 その他の深刻な健康状態に関連する有害化学物質が含まれていた 情報源:IPEN, 28 November 2023 PFAS “Forever Chemicals” Found in Outerwear and Clothing Sold Globally https://ipen.org/news/pfas-%E2%80%9Cforever-chemicals%E2%80%9D- found-outerwear-and-clothing-sold-globally 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2023年12月12日 このページへのリンク: https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/news/231128_IPEN_ PFAS_Forever_Chemicals_Found_in_Outerwear_and_Clothing_Sold_Globally.html アルニカ(Arnika)、IPEN、及び13のIPEN加盟団体及びパートナーにより本日発表された調査は、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、北米の13カ国から購入された屋外用ジャケットや衣類中に、世界的に禁止されている物質を含む有害なパーフルオロアルキル物質及びポリフルオロアルキル物質類(PFAS)を発見した。 屋外用ジャケットの多くは子ども向けに販売されており、直接肌に触れる製品が多くある。 環境中での残留性が非常に高いことから”永遠の化学物質(Forever Chemicals)”と呼ばれる PFAS は、防汚性や耐水性を与えるために衣類やその他の製品に使用されている。 しかしこの研究では、PFAS を使用せずに作られたジャケットや衣類も見つかり、有害物質のより安全な代替品が利用できることを示した。 ”PFAS は繊維製品に広く使用されており、ジャケットや衣類を着用すると、PFAS にさらされる可能性がある。 子どもたちは PFAS への暴露に対してより脆弱である可能性があるため、子ども向け製品に PFAS が含まれることは特に問題である”と、この研究の筆頭著者である IPEN の世界研究員ジトカ・ストラコバは述べた。 ”業界が PFAS を製造し続ける限り、我々の子どもたちや家族に対する健康への脅威は続く。 PFAS の環境への放出と人体への暴露を阻止するために、我々はひとつのグループとして PFAS を世界的に禁止する必要がある”。 本日発表された調査では、防水または防汚加工が施されたジャケットやその他の衣類が 13 か国から購入された。ドイツ、チェコ共和国、オランダ、ポーランド、イギリス、セルビア、モンテネグロ、ケニア、バングラデシュ、インド、スリランカ、タイ及び米国では、58 種類の特定の PFAS と抽出可能な有機フッ素 (extractable organic fluorine / EOF) の検査 (PFAS の使用と相関する測定) が実施された。 研究では次のことが判明した。
PFAS は非常に有害であり、研究では、PFAS への暴露と、がん、免疫、生殖、ホルモン系への影響、その他の深刻な状態を含む重度の健康への悪影響、が関連付けられている。 IPEN 研究のためにテストされた製品のほとんどは子ども向けに販売されているため、子どもへの暴露は特に有害である可能性があることに注意することが重要である。 米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)による 2022 年のレビューは、子どもは PFAS 暴露に対してより脆弱であり、”・・・子どもの慢性的な PFAS 暴露と、血中コレステロール値の上昇、脂質異常、出生体重のわずかな低下、そして特定のワクチン/感染症に対する抗体反応の減少、などの医学的懸念との間に関連がある可能性が高い”と述べている。 また、2017年から2022年までの 40件の査読済み研究で臍帯血の PFAS汚染が発見され、新生児が PFASに暴露されて生まれるのではないかという懸念が高まっていることも憂慮すべきことである。 この研究では、企業が PFASなしでも衣料品を製造できることも実証された。 21 点の防水または防汚ジャケットが PFAS を使用していないことが判明した。その中には、PFAS フリーを約束している 2 社である North Face と Black Diamond 製のジャケットも含まれる。 米国のグリーン科学政策研究所とノースイースタン大学の社会科学環境健康研究所が実施した調査によると、ドイター(Deuter)、ジャックウルフスキン(Jack Wolfskin)、マムート(Mammut)、オルトボックス(ORTOVOX)、ポーラテック(Polartec)、ファウデ(Vaude)など、他のいくつかの屋外用衣料品会社や小売業者も、この公約をしており、この取り組みは、これらの有害な化学物質を使用せずに衣類を製造できることを示している。(我々の研究ではこれらのブランドの製品をテストしていないため、その公約を確認することはできなかった。) アルニカ(Arnika)と IPEN は調査結果を衣料品会社と共有し、PFAS の使用に関する方針を求めたが、報告書の発表時点ではどの企業からも返答はなかった。 消費者に購入する製品の安全性に関する情報を提供するには、製品に含まれる化学物質の表示を義務付ける法律が必要である。 一部の PFAS は世界的または国家的に規制されている。 3つの PFAS とその関連物質は、既知の化学物質の中で最も有害であることが判明しており、世界的に禁止されている。 しかし、現在のアプローチのほとんどは、何千もの PFAS 化学物質をひとつずつ、または小グループに分けて調査しており、各グループのレビューには数年かかる。ただし、米国の一部の州では、一部の製品中で PFAS をひとつクラスとして規制している。 しかし、すべての PFAS から環境と人間の健康を保護するための包括的な世界的な規制はない。 IPEN とその加盟団体は、ポリマー PFAS を含んで、ひとつのクラスとして PFAS を禁止するための包括的な世界的な規則と、各国政府が PFAS の使用に対する即時制限を実施することを求めている。 さらに政府は、PFAS 汚染の影響を受ける地域社会の土壌と飲料水を除染するプロジェクトの計画を立て、資金を提供すべきである。 |