EWG/PEER プレスリリース 2006年2月27月
3M社の化学物質 ミネソタ州を広範に汚染
新たな報告書:全米最悪の過フッ素化合物(PFC)汚染を発見

情報源:EWG / PEER Press Release, February 27, 2006
3M Chemical Contamination Widespread in Minnesota
New Report Finds Worst PFC Pollution in Nation around Twin Cities
http://www.ewg.org/issues/pfcs/20060227/index.php
http://www.peer.org/news/news_id.php?row_id=652

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年3月10日


 【ワシントン2月27日】 本日、”環境に責任を持つ公務員(PEER)”とエンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)によって発表された新たな報告書によれば、ミネソタ州の土壌、空気、地下水は、スコッチガードなどの製品の製造に使われた3M社の化学物質によって著しく汚染されている。新たなデータは、過フッ素化合物(PFCs)が3M社のセントポール工場周辺の12の現場で広く分布していることを示している。それらの化合物には3M社が3年前に廃止した2つの化学物質もある。ミネソタ州汚染管理局首脳と元3M社重役シェリー・コリガンによって繰り返し妨害されたこの研究調査は、かつて世界のどこでも記録されたことのない過フッ素化合物(PFCs)の最高濃度のいくつかを示している。

 ミネソタ州汚染管理局(MPCA)の新規出現汚染物質に関するプログラムのコーディネータを2月初旬に辞職したファーディン・オリアイ博士によるこの報告書は、ミネソタ州環境天然資源委員会で本日、発表された。ミネソタ州汚染管理局(MPCA)は、スコッチガード、テフロン、ステインマスター、及びゴアテックスなどの製品のために3M社が製造した過フッ素化合物(PFCs)による汚染の範囲まで踏み込んだ同博士の調査研究を完成させないことを明確にしたので、同博士は辞職した。

 オリアイ博士の報告書は、3M社工場近くの湖、水処理プラント、及び3M社が毎年50,000ポンド(約23トン)の化学物質を排出していたミシシッピー川はいうに及ばず、過フッ素化合物(PFCs)が廃棄されたいくつかの現場で土壌と地下水の著しい汚染を見出している。さらに、過フッ素化合物(PFCs)はミネソタ州の水中の魚の肝臓、血液、及び肉に存在していることがはっきりし、それらのあるものはかつてない高いレベルの濃度を記録している。

 そのデータはまた、3M社は、過フッ素化合物 PFOA と PFOS の製造をやめたにもかかわらず、これら2つの非常に残留性の高い有害物質が広く環境中に存在していることを示している。3M社の排水処理プラントで採取したサンプルは、排水は環境に放出するために処理されているにもかかわらず、PFOS や”発がん性があるらしい”PFOA、及び関連化学物質を測定可能なレベルで含んでいるということを示している。

 ”これらの調査結果は、会社の”自主的廃止”に対し注意深い監視と厳格な管理がなければ、これらの有害化学物質は人々、食物、そして環境を汚染し続けるであろうという事実を明らかにしている”−とワシントンにあるエンバイロンメンタル・ワーキング・グループの毒物学者ティモシー・クロップ博士は述べた。”この報告書は、州及び連邦政府機関は、今年の1月にEPAとデュポン社及び3M社、及びその他の会社との間で結ばれた PFOA 廃止協定を厳格に監視する必要があることを示している。”

 過フッ素化合物(PFCs)はアメリカ人の95%以上の体内から検出される非常に有害で残留性のある化学物質類である。それらは発達障害、高コレストロール、及び免疫系障害に関係がある。パーフルオロオクタン酸((PFOA)は最近、”発がん性があるらしい(likely carcinogen)”との分類が EPA 科学諮問委員会によって勧告された。過フッ素化合物(PFCs)は生物の組織中に様々な程度で生体蓄積し、環境中では分解しないので、それらの影響は食物連鎖中で濃縮され、汚染された魚は、鳥や人を含む動物によって摂取されている。

 ”これらの調査結果は少なくとも今後の捜査の対象となるべき事件であるが、それは今回名指しで指弾されたミネソタ汚染管理局が望まないことであろう”−と”環境に責任を持つ公務員(PEER)”の代表ジェフ・ラッチは述べた。オリアイ博士は PEER の所属である。”3M社はその拠点州で化学物質のパンドラの箱を開けてしまった。そして今、束縛を解かれた災厄(化学物質)を再び箱に戻すことはできないと言うことを知った。”

 一方、ミネソタ汚染管理局(MPCA)委員で、元3M社の重役シェリー・コリガンは恐らく PFCs にかかわる決定を忌避したであろうが、法律で定められた証言はネソタ汚染管理局(MPCA)が、PFC 汚染の公衆健康への影響に光を与えるさらなるテストを引き受けることに関し消極的であるということを示している。

 現在、オリアイ博士は州への役務は離れており、彼女はPFCs及びその他の新規出現の汚染物質の調査を民間機関で継続することを望んでいる。


資料

Dr. Oliaei's new report on PFC Contamination in Minnesota (pdf)

New data on record levels of PFC contamination of Mississippi River fish

EWG's PFC research


化学物質問題市民研究会
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