EHP 2006年4月 特別号 論文集
野生生物に化学的に引き起こされる内分泌かく乱の生態学的関連
フロリダの8か所の泉のメスのカダヤシの生殖に
水質が影響を及ぼす

シーア・エドワーズ(フロリダ大学動物学部/アメリカ)ら
(アブストラクトの紹介)
情報源:Environmental Health Perspectives Volume 114, Number S-1, April 2006
The Ecological Relevance of Chemically Induced Endocrine Disruption in Wildlife
Water Quality Influences Reproduction in Female Mosquitofish (Gambusia holbrooki)
from Eight Florida Springs
http://www.ehponline.org/docs/2005/8056/abstract.html
Thea M. Edwards, Hilary D. Miller, and Louis J. Guillette Jr.
Department of Zoology, University of Florida, Gainesville, Florida, USA

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2006年6月30日

  アブストラクト
 淡水生態系の硝酸塩による汚染は世界中で懸念が増大している。硝酸塩による汚染は水系の富栄養化の原因として認識されているが、硝酸塩暴露の可能性ある生理学的影響を検証する研究はほとんどなされていなかった。
 本研究で我々は、フロリダ州の8ヶ所の泉で採取した胎生メスのカダヤシ(Gambusia holbrooki (Poeciliidae) 訳注:カダヤシ(蚊絶やし・Mosquito Killer))のいくつかの生殖変数を調査した。8ヶ所の泉は硝酸塩汚染の程度にばらつきがあった(1-5 mg/L 硝酸態窒素)。
 この研究には二つの目的があった。泉のメスのカダヤシの生殖的生物学を記述すること及び、水質、特に硝酸塩濃度の脈絡において生殖的変化を理解することである。
 我々のデータは、硝酸塩と、発達中の胎魚の乾燥重量及びメスの成魚の生殖行動の双方との間の関係は非常にネガティブであることを示している。さらに、カダヤシの状態指標と胎魚の数及び乾燥重量の変化は、温度変化に関連し、肝臓の重量は溶存酸素濃度とネガティブな関連であった。
 最後に、我々は測定された生殖変数の多くは懐胎中の段階に依存しつつ、相関関係があり変化するということを観察した。我々は、特に、胎魚の maternal support は少なくとも懐胎の3分の2の始めの時期に起こり、メスの生殖力は胎魚のサイズと数との明らかなトレードオフにより影響を受けるという証拠を示した。

キーワード:内分泌かく乱、魚、ガンブシア、成長、幼生、母体依存型、カダヤシ、硝酸塩、子孫、酸素、生殖、トレードオフ (endocrine disruption, fish, Gambusia, growth, larvae, matrotrophy, mosquitofish, nitrate, offspring, oxygen, reproduction, trade-off)

Environ Health Perspect 114(suppl 1) :69-75 (2006) . doi:10.1289/ehp.8056 available via http://dx.doi.org/ [Online 21 October 2005]


訳注1(参考)
水質に関する用語集/ビテロジェニン



化学物質問題市民研究会
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