EHP 2006年4月 特別号 論文集
野生生物に化学的に引き起こされる内分泌かく乱の生態学的関連
内分泌かく乱物質と気候変動
北極の海洋哺乳動物と海鳥にとって最悪の組み合わせ

ブジョロン・ムンロ・ジェンセン(ノルウェー科学技術大学生物学部/ノルウェー)ら
(アブストラクトの紹介)
情報源:Environmental Health Perspectives Volume 114, Number S-1, April 2006
The Ecological Relevance of Chemically Induced Endocrine Disruption in Wildlife
Endocrine-Disrupting Chemicals and Climate Change:
A Worst-Case Combination for Arctic Marine Mammals and Seabirds?
http://www.ehponline.org/docs/2005/8057/abstract.html
Bjorn Munro Jenssen
Department of Biology, Norwegian University of Science and Technology, Trondheim, Norway

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2006年6月30日

  アブストラクト

 生物多様性と生態系作用への地球変動の影響は複合的複雑動的プロセスを含む。気候変動と内分泌かく乱化学物質(EDCs)は、生物多様性と生態系に対する人間の活動に由来する最も深刻な脅威の内の二つである。したがって我々は、気候変動によって引き起こされる環境的改変に順応するための北極の海洋哺乳動物及び海鳥の能力に与える内分泌かく乱物質の可能性ある影響について、特に懸念すべきである。
 ポリ塩化ビフェニル(PCB類)、ジクロロフェニルジクロロエチレン、ヘキサクロロベンゼン、オキシクロルデンなどの様々な有機塩素系化合物と、北極の海洋哺乳動物及び海鳥のホルモンとの間の関連は、これらの化学物質がこれらの動物の内分泌系に脅威を及ぼすということを暗示している。
 最も顕著な関連性は甲状腺ホルモン系に関して報告されているが、性ステロイドホルモン(訳注:解説)とコルチゾール(訳注:解説)に関しても影響が見られる。残留性有機汚染物質の行動学的及び形態学的影響は内分泌かく乱と矛盾しないが、そのような関連性のための直接的な証拠はない。
 動物が環境的ストレスに対して適切に対応できるようにするために異なる内分泌系が重要であるので、内分泌かく乱物質は増大するストレスに適応することを阻害するかもしれない。そのような相互作用は、甲状腺、性ステロイド、及びグルココルチコステロイド系によって制御される適応性のある反応のようである。

キーワード:シロカモメ、Haliocherus、Larus hyperboreus、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)、ホッキョククマ、残留性有機汚染物質(POPs)、アザラシ、 Ursus maritimus (glaucous gull, Haliocherus, Larus hyperboreus, PBDEs, PCB, polar bears, POPs, seal, Ursus maritimus)

Environ Health Perspect 114(suppl 1) :76-80 (2006) . doi:10.1289/ehp.8057 available via http://dx.doi.org/ [Online 21 October 2005]


訳注(参考資料):神経における核内レセプターの動態



化学物質問題市民研究会
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