EHN 2006年4月10日による紹介
メキシコ男性のDDTへの環境暴露による精子能力の低下

情報源:Environmental Health News, April 12, 2006
Science Byte: Reduced Seminal Parameters Associated With Environmental DDT Exposure and p,p'-DDE Concentrations in Men in Chiapas, Mexico: A Cross-Sectional Study
http://www.environmentalhealthnews.org/

オリジナル:
Journal of Andrology, Vol. 27, No. 1, January/February 2006
http://www.andrologyjournal.org/cgi/content/abstract/27/1/16
Reduced Seminal Parameters Associated With Environmental DDT Exposure and p,p'-DDE Concentrations in Men in Chiapas, Mexico: A Cross-Sectional Study
http://toxsci.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/89/1/93

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2006年4月13日


 カナダ、南アフリカ、メキシコの研究者らによれば、マラリヤ防除のためにDDTが使用されているメキシコで、一般人の暴露と精子の質の低下が関連することが判明した。DDTの主要な代謝物DDEのレベルが高い男性は精子の運動能力が低く、精子の尾が奇形である割合が高い。精子クロマチン凝縮もまた有害影響を受けた。この研究結果で特に重要なことは、暴露対象者がDDT散布を職業とする人ではなく、周辺に住む一般住民であるということである。
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訳注:  オリジナル論文のアブストラクトでの結論として次のように述べている。

 したがって、血漿中のp,p'-DDEの評価による非職業人のDDTへの暴露は、精巣機能及び/又は生殖ホルモンの制御機能の有害影響を示す男性の精液パラメータの劣化と関連する。従来、男性の不妊における環境有毒物質の原因としての役割についてはほとんど確認されていなかったが、その理由は従来観察された影響は職業上あるいは産業事故による異常に高い暴露であったためであり、空前の議論をもたらした(reviewed by Cheek & McLachlan, Environmental hormones and the male reproductive system. J Androl. 1998;19:5)。
 これは最初の疫学的研究調査であり、非職業人のDDTへの暴露の影響を示している。これらの研究結果に基づけば、DDTが男性の生殖機能に与える影響は無視できない。

Key words: Pesticide, organochlorine, spermatozoa, sperm motility, sperm morphology, chromatin



化学物質問題市民研究会
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