Chemical & Engineering News 2017年9月4日
感熱紙レシートへの接触は
BPA の体内滞留を引き延ばす

内分泌かく乱物質ビスフェノールAの痕跡は、
皮膚接触後、1週間後に排泄される。

情報源:C&EN: September 4, 2017
Touching thermal-paper receipts could extend BPA retention in the body
Traces of endocrine disruptor bisphenol A excreted for a week after dermal contact
By Deirdre Lockwood
http://cen.acs.org/articles/95/i35/Touching-thermal-paper-receipts-extend.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2017年9月10日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/c&en/
170904_Touching_thermal-paper_receipts_extend.html

 人々が、内分泌かく乱物質ビスフェノールA(BPA)を含有する感熱紙上に印字されたレシートに手で触れると、その化学物質は1週間以上体内に残留する(Environ. Sci. Technol. 2017, DOI: 10.1021/acs.est.7b03093)。
 ストックホルム大学のジョナサン W. マーチンと、アルバータ大学の刻家瑛(Jiaying Liu)は、6人の男性ボランティアに、同位体標識(訳注1) BPA を含む紙を5分間手に触れてもらった。それからボランティアはニトリル製手袋を2時間はめてもらい、それから手袋を外して、石けんで手を洗ってもらった。
 その後、研究者らは、ボランティアの尿中の標識 BPA とその代謝物を2日間、定期的に測定し、それから1週間後に再び同様に測定した。
 尿中の総 BPA は最初の2日間は線形的に増大し、1週間後にはボランティアのうち3人は尿中にまだ BPA が存在していた。
 対照的に、ボランティアがそれぞれ、標識 BPA を含有するクッキーを食べた後、彼らの尿中の総 BPA は5時間以内に跳ね上がったが1日以内に消滅した。
 摂取された BPA は肝臓中で急速に代謝され、すぐに排泄されると、マーチンは言う。しかし、皮膚から吸収された BPA は、もっと非効率的に代謝され、より長い、そしてより多くの毒性暴露をもたらす可能性がある。


訳注1:同位体標識化合物



化学物質問題市民研究会
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