ネオニコチノイド系農薬に関する
日本の研究者の報告書紹介


紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
更新日:2012年3月13日
このページへのリンク
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/Japan/Neonicotinoids_Reports_from_Japan.html


■Wiley Online Library, 2012年2月6日
 農薬クロチアニジンのマウスへの給餌投与による生殖系及び神経行動系への影響
 田中豊人博士(東京都健康安全研究センター)
(12/03/13)

Wiley Online Library, 6 FEB 2012
Reproductive and Neurobehavioral Effects of Clothianidin Administered to Mice in the Diet
Toyohito Tanaka
DOI: 10.1002/bdrb.20349
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/bdrb.20349/abstract

 Wiley Online Library, 2012年2月6日に発表された田中豊人博士(東京都健康安全研究センター)の論文「農薬クロチアニジンのマウスへの給餌投与による生殖系及び神経行動系への影響」にリンクを張りました。また木村−黒田純子さんによる要旨とコメントを紹介しました。

論文の要旨
 ネオニコチノイド系農薬クロチアニジンを給餌に混ぜ、母マウス妊娠時から生後11週まで投与した後、子マウスの生育や行動を調べた。0.003%、0.006%濃度のクロチアニジンを混ぜた給餌を投与された群では、体重の増加や複数の行動試験において、対象群と有意な差が生じた。これらの結果から、筆者は考察で一日摂取許容量(ADI 0.097 mg/kg体重/day)を再検討しなおす必要があるとしながらも、2008年の食品安全委員会による摂取推定量が低いことから考えると現状では悪影響を及ぼしていないだろうと考察している。

コメント
 2012年度の食品安全委員会のクロチアニジン農薬評価書の推定摂取量では2008年度版を約4倍も上回る数値となっている。国内のクロチアニジンなどの農薬残留基準はヨーロッパ、アメリカに比べ緩く、摂取する食材によってはADIを超過する可能性もあることから、ADIや残留基準は再検討すべきではないかと考える。


■PLoS one, 2012年2月29日
ネオニコチノイド系農薬アセタミプリド(ACE)とイミダクロプリド(IMI)の新生ラットの小脳神経細胞へのニコチン様影響
木村−黒田 純子 博士ら(財団法人東京都医学総合研究所)
(12/03/05)

PLoS one, February 29, 2012
Nicotine-Like Effects of the Neonicotinoid Insecticides Acetamiprid and Imidacloprid on Cerebellar Neurons from Neonatal Rats
Junko Kimura-Kuroda*, Yukari Komuta, Yoichiro Kuroda, Masaharu Hayashi, Hitoshi Kawano
Department of Brain Development and Neural Regeneration, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, Setagaya-city, Tokyo, Japan
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0032432

 最近広く使われるようになったネオニコチノイド系農薬の哺乳類への影響に関する木村−黒田 純子 博士(財団法人東京都医学総合研究所)らの論文(英文)が PLoS one に発表されたのでリンクを張りました。
 ネオニコチノイド系農薬に属するアセタミプリド(ACE)、イミダクロプリド(IMI)が、ラットの培養細胞で1マイクロモル(μM)以上の濃度において、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)にニコチンに極めて類似した興奮性影響を及ぼし、ヒト健康、特に脳の発達に有害影響を及ぼすかもしれないことを初めて示した研究ということです。



化学物質問題市民研究会
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