予防原則の適用事例
サンフランシスコ 統合有害生物管理(IPM)プログラム
有害性のより低い有害生物管理


情報源:SF Environment - Less-toxic Pest Management
http://www.sfenvironment.com/aboutus/innovative/ipm/index.htm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2005年11月1日



市の園芸担当者は、除草には化学物質よりも火炎を使用する。
雑草と有害生物の管理のためのより良い方法

 数百等のお腹をすかした羊と数トンのトウモロコシの敷藁(マルチ)が市の公園と水系の雑草を防ぎ、巨大なヒーターがビルの壁奥深くのシロアリの巣を退治し、市の池に浮かぶドーナツ状の装置が蚊を食べる微生物を排出する。サンフランシスコは都市の有害生物を管理するための環境的に健全な方法を開拓しており、他の市政府も注目している。

 サンフランシスコ市は統合有害生物管理(IPM)方針を1996年に出したが、それは市の敷地内では有害化学物質の使用を最小にし、公衆と環境の健康リスクが少ない方法で有害生物を駆除する有害生物管理アプローチを取ることを市に約束させるものであった。

 サンフランシスコ環境局は、市のIPMプログラム−それはこの種のものでは世界で最良のひとつである−を運用している。条例が施行されて以来、我々は殺虫剤及び除草剤の使用を全体で50%以上削減しており、最も危険な成分を含む製品の使用は廃止した。

問題

 サンフランシスコ市は、昆虫、げっ歯類やその他の動物、植物の病気、雑草、そして細菌を含む様々な広い範囲の有害生物を管理する。最近数十年間、これらの有害生物の管理の最も普通のやり方は、様々な毒性を持ち公衆の健康に有害な農薬を使用することであった。

我々はそれをどのようにしているか

 サンフランシスコ環境局は、敷藁(マルチ)を敷いたり、手で除草したり、化学的な方法より火炎での焼却や自然の捕食動物を使用するなど機械的な方法で除草したり、害虫の発生に耐性を持たせるためにサンフランシスコの気候に適した植物を植えるなどして、有害化学物質に替わる有害性のより低い方法を教育し開発することに重点を置いている。

 最も危険な農薬の全ては、市による使用は1997年の初めから、市の敷地内でのテナントの使用は1998年の初めから、禁止された。2000年1月1日までに、”リスクを削減”し、IPMプログラムと整合すると考えられる化学物質だけが、市の敷地内で使用できることになる。

 35,000人の職員と80近い部局を持つサンフランシスコ市で、IPMに移行するということは実に見事なチャレンジであった。市の園芸担当、施設管理者、守衛、有害生物管理担当者、そして事務所の職員ですら、農薬について全く新たな考え方の洗礼を受けた。事務所の職員とビル管理担当者には衛生管理と施設の保守について十分な説明がなされた。造園管理にかかわる人々にとって、IPMの中での選択肢は無数にある。


サンフランシスコ環境局 IPM 関連ウェブサイト

IPM Key Components
Less-toxic alternatives
Chemical Info
Getting PastPesticides / Integrated Pest Management in San Francisco
IPM Resources
IPM Ordinance / IPM Program Chapter 3
Integrated Pest Management (IPM) Training Manual
IPM fact sheet
Integrated Pest Management Program / 2003 Program Report
Mosquitos and West Nile
2005 Reduced-Risk Pesticide List
Healthy Lawns: Resources on reducing or eliminating pesticide use in turf


化学物質問題市民研究会
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