IPEN INC4 News 2024年4月19日
プラスチック条約代表団がカナダへ向かう中、
北極からの請願

チャールス・マーギュリス
情報源:IPEN INC4 News, April 19, 2024
As Plastic Treaty Delegates Head to Canada,
A Plea From the Arctic
By Charles Margulis
https://stoppoisonplastic.org/blog/as-plastic-treaty-delegates-head-to-canada/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
更新 2024年4月24日
このページへのリンク:
https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/plastic/INC4/IIPEN_240419_
As_Plastic_Treaty_Delegates_Head_to_Canada_A_Plea_From_the_Arctic.html


訳注:IPEN による本記事は Inside Climate News に掲載されたジェームズ・ブルガーズ(James Bruggers)よる記事 『As Plastic Treaty Delegates Head to Canada, A Plea From the Arctic: Don't Forget Vulnerable Indigenous Peoples』の前半部を引用したものであり、全文を読みたい方は元記事(英語)にアクセスしてください。

 北極地域の先住民族は、プラスチック汚染をなくすための世界条約の締結を目指す今月の交渉に向けて、環境保護を求めている。

 国連協議は 4月23日にオタワで再開され、プラスチックの”ライフサイクル全体”を包含する広義の問題を受け入れるという野心的な内容を掲げたプラスチック条約の推進を求める約 180か国からの代表がカナダに集まることが予想されている。

 会議では、アラスカ先住民とカナダ先住民族が、海流や気流を通って極北の緯度まで移動するマイクロプラスチックやナノプラスチックを含む産業化学汚染物質に焦点を当てるよう参加者に促すであろう。 彼らは、化学物質やプラスチックがセイウチやアザラシなどの伝統的な食料源に現在どのように含まれ、北極の人々の健康と環境を脅かしているのかについて最新の科学をレビューする新しい報告書を共有する予定である。

 ”これらのマイクロプラスチックが私たちの主要な食品だけでなく、私たちの体内にも最終的に到達していることを知ることは、意思決定者にとってさらなる警鐘でる”と、アンカレッジを拠点とする環境正義団体であるアラスカコミュニティ有害物質行動(Alaska Community Action on Toxics)の環境健康・正義ディレクターのヴィ・ワギイは語った。

 ワギイは、アラスカコミュニティ有害物質行動と、有害汚染物質の廃絶に取り組んでいる 128 か国の 600 以上の非政府組織からなる世界的なネットワークである国際汚染物質廃絶ネットワーク(IPEN)が火曜日に発表した報告書『北極のプラスチック危機:石油化学産業による健康、人権、先住民族の土地への有害な脅威』の共著者である。
(訳注:The Arctic's Plastic Crisis: Toxic Threats to Health, Human Rights and Indigenous Lands from the Petrochemical Industry: Summary, Report

 報告書によると、”北極は化学物質やプラスチックの半球状の吸収源であり、それらは地球規模の蒸留(Global distillation )またはバッタ効果(グラスホッパー効果)として知られるプロセスを通じて、低緯度から大気および海流に乗って運ばれてくる”という。 同報告書は、”北極における化学物質とプラスチックの複合的影響は、急速な気候温暖化によって悪化している。これらはすべて、化石燃料、化学物質、プラスチック産業による破壊的搾取の結果である”と指摘している。

(訳注:バッタ効果(グラスホッパー効果):POPsは低緯度地域では容易に気化The Arctic’s Plastic Crisis: Toxic Threats to Health, Human Rights and Indigenous Lands from the Petrochemical Industryし,大気の流れに乗ってより高緯度の地域へと輸送されます。そして高緯度地域では寒冷な気候により地表面への降下・堆積が進み,結果的にその地域の環境汚染を引き起こすと考えられています。一種の不可逆的な物質移動が高温域である低緯度地域から低温域である高緯度地域,高山地帯との間で成り立っており,それを繰り返すことによってPOPsの長距離移動が起きています。このような大気によるPOPsの拡散は,飛び跳ねて移動するバッタの動きに似ていることからバッタ効果(グラスホッパー効果)と呼ばれており,POPsの長距離移動性を端的に表しています。国立環境研究所

 カナダでの会合は、年末までにプラスチックに関する合意に達するための 2年間のプロセスにおいて、代表団にとって 4回目となる。 5か月前、ナイロビで化石燃料ロビイストが提案を弱めるために大挙して押しかけ、交渉は行き詰まった。 最終会合は11月下旬に予定されており、カナダ交渉によって取り組みが再設定されるのではないかとの期待もある。

 それでも、環境保護団体らは、米国を含む産油国が、気候変動、自然喪失、環境汚染という国連が「三重地球危機」と認定した事態に対処する取り組みを停滞させたり弱めたりする可能性があると懸念している。

 IPEN の国際調整担当のビョルン・ビーラー(Bjorn Beeler)は、”この会合はある程度、成否を左右する”と述べた。

 ビーラーは、参加者が”ケニアでの前回会合と同じ種類の不確実性を抱えてオタワから出てきた場合、スケジュールは危うくなるだろう”と述べた。 同氏は、この合意が”後に完成する骨組みの枠組み”なのか、それとも”プラスチック規制措置を講じ、プラスチック産業が引き起こした爆発的なプラスチック危機に対処する責任をプラスチック産業に負わせる”説明責任計画なのかを決定することになると同氏は述べた。

 Inside Climate News の全文記事(英文)をお読みください。

化学物質問題市民研究会
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