IPEN 2024年3月
IPEN INC-4 クイックビュー:
プラスチック汚染に関する国際的な法的拘束力のある
文書を開発するための政府間交渉委員会第4回会合(INC-4)

情報源:IPEN, March 2024
IPEN INC-4 Quick Views:
Fourth Session of The Intergovernmental Negotiating
Committee (INC-4) to Develop An International
Legally Binding Instrument on Plastic Pollution
https://ipen.org/documents/text-ipen-quick-views-inc-4

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
更新 2024年4月4日
このページへのリンク:
https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/plastic/INC4/
IPEN_240300_IPEN_INC-4_QUICK_VIEWS.html

背景

 オタワで2024年4月23日〜29日に開催されるINC-4では、参加者らは将来のプラスチック条約をどのように形成するかについての議論と交渉を継続するための基礎としてrevised draft text(改訂ゼロドラフト/たたき台)を検討する予定である。

 文書に関する詳細な交渉にあたり、人間の健康と環境を保護するための強力で法的拘束力のある管理条項を含むプラスチック条約を INC が協議することが重要である。 そのためには、INC は次のことを行うことが重要である。

  1. プラスチック生産量の管理と監視の措置を含め、プラスチックのライフサイクル全体に取り組むことで、決議 5/14 の 2022 年の UNEA 義務を果たすこと。(訳注:UNEA Resolution 5/14 entitled “End plastic pollution: Towards an international legallybinding instrument” UNEP, 10 May 2022
  2. 機械的リサイクルや化学的リサイクル(mechanical and chemical recycling)などの誤った解決策を回避すること。(訳注 参考情報: 報告書:プラスチックと石油業界は 50年以上リサイクル利用で国民を騙していた DeSmog 2024年2月15日
  3. 有害化学物質の排除、ライフサイクル全体にわたる透明性とトレーサビリティの向上など、人間の健康と環境への悪影響を防ぐ解決を優先すること。
  4. 十分かつ予測可能な資金を有し、汚染者負担原則を実施する多国間基金の創設を義務付けることにより、条約の実施を可能にする資金調達と管理措置のシステムを確保すること。
改訂”ゼロドラフト”(改訂たたき台)

 INC-4 では、加盟国は改訂されたゼロドラフト1]を交渉の基礎として使用する。 この草案は 6 つの部分 (ここでは次の見出しで参照) と附属のプレースホルダーに分かれている。(訳注:プレースホルダー:後になって実際の文字や数字などが表れる場所を示すもの。例えば、開発途中に作る中身が何もないサブルーティンや、プレゼンテーション・ソフトの点線で表される、ユーザーの入力すべきテキスト・ボックスなど、さまざまなものがある。
  • パート I 導入要素
  • パート II 実質的な条項
  • パート III 実施手段
  • パート IV 実施措置
  • パート V 制度上の取り決め
  • パート VI 最終条項
  • 附属
 改訂されたゼロドラフトテキストには現在、加盟国が共有したすべての見解が反映されている。 したがって、交渉されると、内容と構造の両方が変更される。 以下に、各セクションで保持することが重要なテキストに関するコメントと、プラスチックのライフサイクル全体を通じて人間の健康と環境を有害な影響から確実に保護するために追加する必要がある項目に関するメモを示す。 概要は、改訂されたゼロドラフトの構造と番号付けに従っている。

パート I - 導入要素

 この部分には、序文、目的、原則、範囲などの導入要素のドラフトが含まれている。 定義のプレースホルダーも含まれている。

序文

 国際文書の前文は、文書の文脈を設定するのに役立つ。 これには、その文書が必要な理由と、他の関連する文書への参照が含まれている必要がある。 また、実施条項 (管理措置) を解釈するのに役立つ原則やアプローチを指す場合もある。

 改訂されたゼロドラフトは次のことが含まれる必要がある。
  • 人権に関して国家が負う義務を尊重し、推進し、考慮することへの言及と取り組みを強化する。 これには、健康に対する人権と、情報への権利、意思決定への参加、救済へのアクセスを含む、清潔で健康的で持続可能な環境に対する人権が含まれるべきである。
 国際労働機関 (ILO) による関連基準を含む、安全で健康的な労働環境に関する基本原則を想起してほしい。

目的

 条約の目的は、その解釈を導く上で非常に重要である。 改訂ゼロドラフトには条約の目的について 2 つの選択肢が含まれており、どちらの選択肢にもいくつかの括弧が含まれている。 INC が人間の健康と環境への言及と、プラスチックのライフサイクル全体にわたる包括的なアプローチへの言及を維持することが重要である。  ストックホルム条約の場合と同様に、目的には予防原則への言及も含めるべきである。予防原則は INC 及び条約の管理機関による決定を導く重要な要素であるからである。

原則

 UNEA 決議 5/14 に記載されているように、原則にはリオ原則を組み込む必要がある。 また、原則は、健康な環境に対する権利を実現し、その他の関連する人権を保護し、労働における基本原則と権利を擁護することによって労働者の保護を促進することを目指すものでなければならない。 最後に、各国は、最近合意された化学物質に関する世界的枠組み[2]も文脈において原則とアプローチに合意する必要がある。それは知識と情報、透明性、人権、脆弱な状況にあるグループ、ジェンダー平等、予防的アプローチ、 公正な移行(just transition)、 協力、及び参加を含む。

範囲

 改訂されたゼロ ドラフトでは、ス範囲の代替案がいくつかある。 しかしながら、この条約の範囲はプラスチックの全ライフサイクルを包含するものとして、すでに UNEA決議5/14で定義されており、それ自体はさらなる議論の必要はなく、修正ドラフト中でリストされたいくつかの選択肢にも反映されていることに留意することが重要である。 この範囲は、条約の管理措置を通じてさらに定義され、ライフサイクルの関連するすべての段階における化学物質の管理が含まれる必要がある。

パート II - 実質的な条項

 この部分には、管理措置に関する実質的な条項が含まれている。 決議 5/14 の義務を果たすには、プラスチックのライフサイクル全体に対処する管理措置が必要である。 考えられる規制措置は現在 13 の条項に分割されており、それぞれの条項には条項を削除するゼロオプションを含むオプションのサブセット(部分集合)が含まれている。 条項は次のとおりである。
  1. 一次プラスチックポリマー
  2. 懸念される化学物質とポリマー
  3. 問題があり回避できるプラスチック製品、それらには寿命が短く使い捨てのプラスチック製品や意図的に添加されたマイクロプラスチックが含まれる。/3 bis. マイクロ及びナノプラスチック
    (訳注:bis とは:(条文番号の一部として)「の二」 条文番号付きで箇条書きされた文書(法律、条約、契約書、等)の途中に条文を追加し、かつ以降の条文番号を繰り下げたくない場合に、直前の条文番号に “bis” を後置したものを、追加した条文の条文番号として用いる。ウィキペディア
  4. 要求に応じて当事者が受けることができる免除。/4 bis. 専用の作業プログラム
  5. 製品の設計、構成、性能
  6. 非プラスチック代替品
  7. 拡大生産者責任
  8. ライフサイクル全体にわたるプラスチックの排出と放出
  9. 廃棄物管理
  10. リストされた[学物質[、ポリマー]及び製品、及びプラスチック廃棄物]の取引[関連措置]
  11. 海洋環境を含む既存のプラスチック汚染
  12. 公正な移行
  13. 透明性、追跡、監視、及び表示。/13 bis. パート II に関連する包括的な条項
(訳注:公正な移行(英語: Just Transition)は、経済が気候変動との戦いと生物多様性の保護を主とする持続可能な生産に移行する際に、労働者の権利と生計を確保するために必要なさまざまな社会的介入を網羅するために労働組合運動によって開発された枠組みである。ウィキペディア

 プラスチック汚染から人間の健康と環境を守るには、上流から取り組みを始める必要がある。 現在の生産レベルと、有害なプラスチック化学物質類の未公開かつ無規制の使用は、人間の健康と環境に広範な被害を引き起こし、トリプル惑星危機をさらに悪化させている。訳注:triple planetary crisis:トリプル惑星危機とは、汚染、気候危機、生物多様性の損失、及び/又は生態学的危機という、交差する 3 つの地球規模の環境危機を表すために国連によって採用された用語及び枠組みである。ウィキペディア(英語版の翻訳)

 したがって、INC は次のことを行うことが重要である。
  • プラスチック生産量全体の管理と削減に関する管理措置を協議する。

  • 条約において懸念のある化学物質に関する条項と、排出、貿易、透明性に関する関連条項を保持する。
 懸念化学物質の初期リストと基準を含む附属書を保持する。このことにより、進化する科学的知識とニーズに合わせて将来のプラスチック条約を柔軟に保つことができるため、この条約は条約の統治機関によって更新される可能性がある。

 さまざまな管理措置に関する具体的なコメントについては、以下を参照のこと。

1. 一次プラスチックポリマー

 この条項には、プラスチックの生産量を管理する方法に関する選択肢が含まれている。 現在生産されているプラスチックの量は、人間の健康と環境に悪影響を及ぼしていることが認識されている。 それらは気候変動の増大に寄与し、マイクロプラスチック及びナノプラスチックの大量排出につながる。 大量のプラスチックを生産するということは、プラスチックのライフサイクルを通じてより多くの有害化学物質を放出することも意味する。

 規制介入がなければ、プラスチックの生産は増加し、その結果、気候、汚染、及び健康の問題が増大することになる[3]。 人間の健康と環境を保護するために、INC はこの条項を維持し、生産量を管理するための管理措置を協議すべきである。

 この条項は、一次ポリマーと二次ポリマー(バージンプラスチックと再生プラスチック)の両方に言及する必要がある。どちらも有害であり、生産されるプラスチックの全体量を減らす必要があるためである。 循環経済アプローチとプラスチック生産量の削減を組み合わせることも重要である。

2. 懸念される化学物質とポリマー

 この条項は、締約国に対し、将来の附属書に含まれるプラスチック化学物質、化学物質群、及びポリマーの使用を許可しないこと、排除すること、最小化すること、又は(検討されている選択肢に応じて)規制することを要求する。

 プラスチックは化学物質であるため、この条項を維持することが重要である。プラスチック化学物質には、モノマー、ポリマー、添加剤、非意図的に添加された物質が含まれており、その多くは有害である。 数千のプラスチック化学物質が人間の健康や環境への悪影響により有害(「懸念化学物質」)として特定されており、16,000を超えるプラスチック化学物質のうち[4]、1%未満(128)がライフサイクル全体を通じて既存の世界的な多国間規制で規制されている[5]。

 この条項には、複数の括弧を含むテキストを含む 5 つの選択肢が含まれている。 懸念される化学物質の有害な影響から人間の健康を守るために、INC が次のような文言を保持することが重要である。

  • 法的拘束力のあるグローバルな管理: プラスチックは貿易やゴミとして国境を越えて移動し、有害化学物質を運ぶ。 プラスチックの有害な影響は、国の管理措置だけでは防ぐことができない。

  • 化学物質グループ:過去の経験からの科学的証拠と推奨事項は、化学物質を 1 つずつ管理するのに数十年かかるアプローチではなく、化学物質のクラス全体又は関連するグループの管理を開発することの重要性を示している[6]、[7]。ストックホルム条約には、ポリ塩化ビフェニル、短鎖塩素化パラフィン、パーフルオロヘキサンスルホン酸 (PFHxS) とその塩、及び PFHxS 関連化合物が化学物質がグループとしてリストされたという前例がある。

  • 意図的に添加されていない物質(例:他のプラスチック化学物質の分解中に形成される化学物質やリサイクルプラスチック中の化学物質など)が確実に含まれるようにするため、プラスチック中の化学物質の「使用」と「存在」の両方への明示的な言及。

  • モノマー、ポリマー、加工剤/助剤、添加剤、及び非意図的に添加された物質を含む、さまざまな種類のプラスチック化学薬品[8]への明示的な言及。
  • 将来のプラスチック条約が進化する科学的知識とニーズに柔軟に対応できるようにするための附属書。 どの化学物質を排除し段階的に廃止するかを決定し、化学物質とポリマーの初期リストを作成するための適切な基準<[A href="#9">9]が附属書に含まれていることが不可欠である。

 この条項に基づいて考慮すべきその他の重要な点は次のとおりである。

 この条項には、”ノーデータ・ノーマーケット原則(データなければ上市なし)”条項を含めるべきである。これは、安全性が試験され、公的に入手可能な毒性データを持つ化学物質のみがプラスチックへの配合を許可され、締約国と非締約国との間で取引されることが許可されるべきであることを意味する。
  • 現在、プラスチックに使用されている化学物質を安全であると分類することはできない[10]。化学物質のポジティブリスト又は許容リスト制度では(訳注:使用を認める物質のリスト(ポジティブリスト)を作成し,使用を認める物質以外は使用を原則として禁止する規制の仕組み)、いくつかの理由により十分なレベルの保護が提供されない[12]。その中には、最近のインベントリー(目録)に”低懸念”と特定された化学物質が含まれていることが含まれる。 そのように識別されたのは、それらが安全だからではなく、危険データが欠如しているためである。 最近の目録で”低懸念”と特定された化学物質の大部分 (97%) については、研究のレベルは報告されていない[11]。 高懸念化学物質については、すべての化学物質が”高レベル”の毒性データを持つと報告された。
 プラスチックの骨格を構成するモノマーとポリマーも化学物質である。 したがって、一部のポリマーは次のとおりであるため、懸念されるモノマー及びポリマーも、この条項に基づいて対処する必要がある。
  • 有害である;[12

  • 有害なモノマーが浸出する可能性がある。 たとえば、発がん性物質として知られているスチレン[13]はポリスチレンから浸出する可能性がある。

  • ライフサイクルの特定の段階で有害な副産物の形成につながる可能性がある。 たとえば、塩ビ(PVC )が燃焼すると、ダイオキシンが生成される。[14

 さらに、多くのプラスチックポリマーは、化学的有害性性以外にも次のような他の懸念と関連している。

  • 残留性 - プラスチックポリマーは多くの場合、長期間の残留性を伴うため、それだけでも懸念の原因となる。[15

  • 粒子毒性 - 粒子が閉塞を引き起こす可能性がある場合。 たとえば、プラスチック粒子は心停止のリスク増加と関連している[16]。

  • ライフサイクルの特定の段階、たとえばフッ素ポリマーの燃焼中などで、非常に残留性の高い温室効果ガスが生成される。[17

 INCは、UNEP、 BRS 条約(訳注:ストックホルム条約、バーゼル条約、及びロッテルダム条約、)及び独立系科学者らによる既存の仕事並びにプラスチック化学物質の規制に関する国内の既存の経験を見直し、プラスチック条約の下で規制されるべき、モノマー、ポリマー、添加物、及び NIAS(訳注:NIAS:非意図的添加物質) を含んで、基準リスト、及び化学物質類と化学物質グループの最初のリストを開発することを期間外作業に委託すべきである。 含めることが適切と考えられる基準及び条項の詳細については、IPEN のTroubling Toxics Briefを参照していただきたい。[18

3. 問題があり避けることのできるプラスチック製品:寿命が短く使い捨てのプラスチック製品や意図的に添加されたマイクロプラスチック。3 bis. マイクロ及びナノプラスチックを含む

 この条項は、附属書に記載されている、寿命が短い使い捨てプラスチック製品を含んで”問題のある”プラスチック製品の生産、販売、流通、輸入、輸出を禁止することを目的としている。

 この条項には、括弧で囲まれたテキストを含むいくつかの選択肢が含まれており、その中には、意図的に添加されたマイクロプラスチックに関するテキストを分離するオプションも含まれている (3.bis)。 懸念される化学物質の有害な影響から人間の健康を守るために、INC が以下の文言を参照することが重要であることに留意する。
  • 輸入と輸出
  • 意図せずに放出されたマイクロプラスチックと意図的に添加されたマイクロプラスチックの両方
 この条項に基づいて考慮すべきその他の重要な点は次のとおりである。
  •  有毒化学物質を含むプラスチック製品(再生プラスチックを含む)もこの附属書にリストされることが検討されている。
4. 当事者の要求に応じて免除が可能

 この条項は免除に重点を置いている。 現在、この文書には、このテキストが全体的に免除対象となるのか、それとも短寿命で使い捨てのプラスチック製品や意図的に添加されたマイクロプラスチックを含む、問題があり回避可能なプラスチック製品のみを対象とするのかを指定する複数の括弧が含まれている。

 また、附属書ドラフトには、リストに掲載された製品及び化学物質の免除/除外/許可される用途を含める可能性に関する文言が含まれていることにも注意する必要がありる。 ただし、免除に関する条項を設けるには、抜け穴がないこと、また免除が有害性のないより安全なプラスチックへの革新に悪影響を及ぼさないことを保証する厳格な条項の確立が必要となる。 したがって、ここで、それぞれの管理措置に基づいて、又は附属書で免除に関する条項を考慮する場合、重要な側面は次のとおりである。
  • 提案された免除は審査プロセスを経るべきであり、その免除は、社会の機能に必要な、範囲が狭く、期間が限定され、明確に定義された申請にのみ認められるべきである。

  • 免除が登録されているプラスチック製品、ポリマー、化学物質は、国内目的にのみ使用されるか、そのような免除が認められている国間でのみ取引される必要がある。

  • 業界は、完全な正当性、代替不可能であることの証明、市場からの撤去期限を伴うデータを提供するよう求められるべきである。

  • 5 年を超える製造及び/又は使用の免除を認めるべきではない。

  • 免除の登録簿は事務局によって作成され、一般にアクセスできるようにすべきである。

  • 将来の統治機関は、認められた免除を 5 年を超えて延長する必要性の評価プロセスを計画するために、明確な決定を採用する必要がある。
4 bis. 専用の作業プログラム

 専用の作業プログラムに関する条文は、新たに提案された条項である。 例外条項と同様に、この条項を他の条項の下に統合するか、将来の COP 決定を通じて必要に応じて専用の作業グループの創設を可能にする制度的取り決めを設けることがより適切かもしれない。 ただし、専用の作業プログラムに関する条項が含まれる場合は、関連セクターを特定するためにより包括的なアプローチを採用することが重要になる。 現在、この条項には 4 つのセクターのみが含まれていますが、エレクトロニクス、建設、運輸などの他の関連セクターを含めることが重要であろう。

5. 製品の設計、構成、性能

 ドラフト文書では、この条項は、容器包装を含むプラスチック製品の設計の改善、及びプラスチックとプラスチック製品の組成の改善を目的としている。 目標は、プラスチックの安全性、耐久性、再利用性、詰め替え可能性、修理可能性、再生可能性を向上させながら、プラスチックの需要を削減し、プラスチックが廃棄物になったときに安全かつ環境に配慮した方法で再利用、リサイクル、及び処分できる能力を高めることである。

 この条項を実現するには、耐久性と修理可能性も重要な設計基準として考慮することが重要である。 さらに:
  • 有害な化学物質を含まないプラスチックのみが、再利用、詰め替え、別目的再利用、及びリサイクルの対象として考慮されるべきである。 代表者らは、残留性有機汚染物質を含む廃棄物のリサイクルに関するストックホルム条約の禁止と同様に、この管理措置に有害化学物質を含むプラスチックのあらゆる形態のリサイクルの禁止を含めるべきである[19]。

  • バイオプラスチックを含む代替プラスチック類は、従来のプラスチック類と同じ安全基準を持つ必要がある。

  • プラスチック業界がこれらの条項を順守し、製品に関する主張(例えば、リサイクル含有物、循環性など)について責任を負うことを保証するために、ラベル、報告書、プロダクトパスポートなどの透明性要件を含めるべきです。(訳注:プロダクトパスポートとは、EUが整備を進めている、個別の製品にひも付けられた部品ごとの詳細な環境関連情報(使用原材料やその含有割合、製造方法や環境負荷など)に関するデータ群の総称です。製品に係るCO2排出量の他リサイクル性や分解性が定量化され、完成品メーカーとサプライヤーの間で共有されます。日立総合計画研究所
 プラスチックのリサイクルは何十年も失敗してきた。 プラスチックは、管理、透明性、トレーサビリティがほとんど又はまったくない状態でプラスチックに使用されているので、ライフサイクル全体を通じて管理や追跡が不可能な有害化学物質の放出を引き起こし、本質的に非効率的である。 リサイクルプラスチックには有害な化学物質が含まれ、放出されることが多くの研究で示されているため、プラスチック中のリサイクル含有量の増加を義務付けると、プラスチック中の有害化学物質への暴露と排出が増加することになる。 実際、すでに世界的に禁止されているものも含め、多くの有害化学物質が再生プラスチック中に存在することが示されている[20]。 安全で環境的に適切な再生プラスチックとは、有害な化学物質を含んでいないこと、及び製造に使用されるプラスチックの化学物質含有量を追跡できることとして定義されるべきである。

6. 非プラスチック代替品

 この条項は、非プラスチック代替品の革新を促進することを目的としている。 この条項には括弧書きで 6 つのオプションが含まれている。 最後のオプションは、製品設計に関して、第 6 条と第 5 条を統合する可能性について言及している。 それが単独の条項であるか、他の管理措置に含まれているかに関係なく、INC は、革新が人間の健康と環境に同様に悪影響を与える可能性のある非プラスチック製品によるプラスチック製品の代替(プラスチック容器包装の代わりに PFAS を含む紙の容器包装を使用するなど)につながらないことを保証する必要がある。 2 番目の段落では、”安全”への言及は、”有害な化学物質を含まない”又は同様の文章で補完又は置き換えられる必要がある。

7. 拡大生産者責任

 現状では、拡大生産者責任 (Extended Producers Responsibility (EPR)) に関する条項は、リサイクル率の向上を目的としている。 プラスチック廃棄物の収集と分別は引き続き重要である。 しかし、IPEN は、プラスチックのリサイクルには固有の課題があり[21]、有害化学物質の循環増加、マイクロプラスチックの排出、リサイクル現場近くの廃棄物労働者やコミュニティの有害物質への暴露につながることがわかっているため、リサイクル率の向上に焦点を当てることを支持していない。 条約における EPR の目標は、代わりに、マイクロプラスチックや有害化学物質を含む将来のプラスチック汚染の費用と汚染跡地の修復を、汚染を引き起こした事業者、つまりプラスチックとプラスチック化学物質の生産者が負担することを確実にすべきであり、したがって(polluter-pays principle)汚染者負担の原則を実施することになる。

(訳注:拡大生産者責任とは、生産者が、その生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適切なリユース・リサイクルや処分に一定の責任(物理的又は財政的責任)を負うという考え方 環境省

(訳注:汚染者負担原則(Polluter-Pays Principle):公害防止のために必要な対策を取ったり、汚された環境を元に戻すための費用は、汚染物質を出している者が負担すべきという考え方。経済協力開発機構(OECD)が1972年に提唱し、世界各国で環境政策における責任分担の考え方の基礎となった。EIC ネット

 INC のメンバーは、EPR スキームの確立と実施には慎重であるべきである。EPR スキームは負担がかかる可能性があり、非常に特定の分野での回収率とリサイクル率の向上には限定的な成功しか収めていない。 さらに、既存の EPR 政策は、生産者の責任を国境を越えて拡大するものではないが、これはプラスチック条約の文脈において極めて重要である。

 INC がグローバル EPR システムの開発を進めることを決定した場合、INC が既存の EPR スキームの限界を考慮することが重要でる。 IPEN は、その目標の達成方法を義務付けるのではなく、プラスチック生産量の削減と有害なプラスチック化学物質の排除に関する厳しい目標を条約が設定することを保証することに焦点を当てることを支持する。

 さらに、EPR は通常、生産者の責任を国境を越えて拡大するものではない。 したがって、プラスチック条約に基づく EPR が、国際的に取引される製品に特に対処することが重要である。 したがって、あらゆる EPR スキームには、製品に関連する情報が国境を越えてバリューチェーン内で伝達されることを保証するためのトレーサビリティ メカニズムを含める必要がある。

8. ライフサイクル全体にわたるプラスチックの排出と放出

 この条項は、ライフサイクル全体を通じてプラスチックの排出と放出を防止し、排除することを目的としている。 現在、括弧とサブオプションを含む 5 つのテキスト オプションがある。 この条項に関しては、次のことが重要である。
  • これには、有害化学物質やマイクロプラスチックの放出を含む、ライフサイクル全体にわたるあらゆる種類の排出と放出が含まれる。

    INC は、将来の技術革新やニーズに柔軟に対応できるよう、今後開発される附属書を参照するテキストを保持する。
9. 廃棄物管理

 この条項の焦点は、廃棄物の階層を考慮して、プラスチック廃棄物がそのさまざまな段階を通じて安全かつ環境に配慮した方法で管理されることを保証することである。 IPENは、廃棄物の階層に沿って、廃棄物管理に関する条項の焦点を、生産削減によるプラスチック廃棄物の発生削減と、レガシープラスチック汚染への対処に置くべきであると推奨している。

 さらに、この条項が有害化学物質の排出やさらなる拡散につながる技術の固定化を引き起こしたり、ストックホルム条約やバーゼル条約などの他の協定に基づいて定められた条項を弱めたりすることがないようにすることが重要である。 代表者らは、この管理措置に、残留性有機汚染物質を含む廃棄物のリサイクルに関するストックホルム条約の禁止と同様に、有害な化学物質を含むプラスチックのあらゆる形態の再利用及びリサイクルの禁止を含めるべきである[22]。これらの条項は、有害化学物質を含むプラスチックが特に低所得国及び中所得国に合法的に輸出されることがないことを確実にすべきである。 プラスチック廃棄物の管理からの有害物質の生成と放出を防ぐために、政策は次の危険な行為を防止する必要がある:野焼き、焼却、石炭火力発電所及び廃棄物エネルギープロセスでの混焼、セメント窯での混、及びケミカルリサイクル。

10. [登録化学物質[、ポリマー]及び製品、及びプラスチック廃棄物]の取引[関連措置]

 この条項は、ポリマー、製品、プラスチック廃棄物などの規制対象化学物質の国境を越えた移動を禁止することを目的としている。

 この条項は 2 つのオプションに分かれており、1 つは詳細なサブオプションがあり、もう 1 つは世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(訳注:通称・略称 WTO設立協定、WTO協定:1994年4月にモロッコのマラケシュで作成され、1995年1月1日に発効した条約で、世界貿易機関(WTO)の設立などについて定めている。ウィキペディア)のみに言及している。 条約の実施には、国境を越えた移動を厳格に規制し、透明性を確保することが重要であるため、詳細な条項を設けた前者の選択肢の方が適している。

 最初のオプションにはいくつかのサブオプションが含まれており、”リストされた化学物質、ポリマー及び製品の取引”に関する 1 つのセクションと”[非有害] プラスチック廃棄物の国境を越えた移動”に関する 1 つのセクションに分かれている。

 最初のセクションには 3 つのサブオプションがある。 IPEN は、貿易のライフサイクル全体を通じて、輸出許可の要求、事前のインフォームド・コンセント手順、透明性要件に関する文書を保持し、化学物質、ポリマー、製品、及び廃棄物の輸出の種類、量、目的地に関する情報を提供することが重要であると考えている。

 さらに、条約内の条約条項の順守を確保するためには、非締約国条項に関する文章を保持することが重要となる。 非締約国の貿易条項は、締約国間で適用される内容が非締約国との関係にも適用されることを保証する。この条項は、より効率的な条約につながる、より多くの国による署名と批准をサポートする重要な要素でもある。

11. 海洋環境を含む既存のプラスチック汚染

 代表者には、負の遺産汚染(legacy pollution)を構成する物質を生産した部門からの寄付でなる「プラスチック汚染遺産基金」など、遺産汚染に対処するための資金を動員し集める仕組みを含めるべきである。 プラスチック条約は、廃止農薬備蓄に対処するためのストックホルム条約のアプローチの例に基づいて構築することができ、農薬で汚染された場所やホットスポットを修復する活動に関連部門を参加させる[23]。 プラスチック廃棄物で汚染された場所に対処する技術は、非燃焼技術など、利用可能な最良の技術(BAT)及び環境の ための最良の慣行(BEP)に従う必要がある。

12. 公正な移行

 これらの条項は、条約の履行において女性と子どもや若者、先住民族を含む弱い立場にある人々に特別な配慮をしながら、”影響を受ける人々のための平等で公平かつ包括的な移行”を促進することを目的としている。 これらのグループは、健康の権利に関する特別報告者の例に倣い、”脆弱で疎外された状況にあるグループ”と呼ぶ方が適切だろう[24]。

 労働者らは、新条約に基づく活動によって特に影響を受ける可能性がある。 IPENは、公正な移行を促進するには、決議 ILC.110.25 により認められた[25]ように安全で健康的な労働環境に対する基本的権利を確保する労働関連基準を適用するなど、(非公式部門と公式部門の両方の)すべての労働者の保護を確保することが重要であると考えている。 労働者は、廃棄物を含むプラスチックのライフサイクル全体を通じて、たとえば、加工中の有害化学物質類、マイクロプラスチック類、粉塵、騒音への暴露などによる影響を受ける可能性がある。

 労働者らの健康と権利を保護するアプローチでは、労働者らが暴露するる可能性のあるプラスチック及び製品の化学組成に関する完全な情報が労働者に提供され、ILO 労働安全衛生条約 26] 及び管理階層に従って適切な保護措置を提供することが保証されるべきである。 これは、廃絶、代替、最小化を通じて予防を優先しし、最終的な選択肢として個人用保護具を使用する。

13. 透明性、追跡、監視及び表示/13.bis パート II に関連する包括的な条項

 透明性と追跡可能性に関するこの条項は、条約の実施を可能にするために極めて重要である。 現在、透明性、跡可能性、利用可能なデータが欠如しているということは、いつプラスチックに有害な化学物質が含まれたかを知ることができないため、「安全」とみなせるプラスチックは存在しないことを意味する。 これらのギャップは、より安全な循環経済に向けた重要な障害でもあり、リサイクルされたプラスチックが管理不能な方法で有害化学物質を拡散させ、プラスチックのライフサイクル全体を通じて消費者や労働者を危険にさらすという現在の状況の一因となっている。

パート III - 実施手段

 改訂されたゼロドラフトのこの部分では、資金調達や能力開発などの実施手段が取り上げられている。

1. 資金調達[メカニズム[及びリソース]]

 IPENは、加盟国やその他の資金源が条約の実施を支援するために資金を拠出する、新しい協定を通じて専用のプラスチック多国間基金を設立することが重要であると考えている。

 汚染は地球の危機として認識されていますが、必要な制御措置を実施するための独自の資金を持っていません。 化学物質及び廃棄物管理クラスターはすでに深刻な資金不足に陥っており、2022年から2026年にかけて地球環境ファシリティ(GEF)が大幅に補充されるにもかかわらず、資金は既存の(多国間環境協定)の実施をカバーするには不十分である。

 プラスチック条約の実施に十分な資金を確実に提供するためには、十分かつ予測可能で持続可能な資金を備えた多国間基金の創設が極めて重要である。 これらを可能にする活動には、たとえば能力の強化や意識向上のための財政的支援が必要である。 これらの活動が実行されれば、プラスチックの生産、使用、破壊による有害化学物質への暴露に関連する疾病の治療にこれまで必要とされていた支出が削減されるであろう。

 さらに、この条約は、汚染者負担原則の実施を通じて、プラスチック生産者がその活動に伴う環境コストと健康コストを負担することを保証すべきである。 これは、過去の汚染とプラスチックによって引き起こされる将来の損害のコストの両方に当てはまるはずである。 拡大されたゼロドラフトには、汚染者負担原則を実施するために、管轄内のプラスチックポリマー生産者が支払う世界的なプラスチック汚染手数料のオプションが含まれている。条約は、手数料を通じて集められた資金が 条約の実施に使用されることを保証すべきである。

 IPENは、各国がINC-4とINC-5の間で汚染者負担原則の運用方法について合意し、条約の実施のために十分で透明性があり、持続可能でアクセス可能で予測可能な資金を動員する方法について合意するための努力を注ぐべきであると考えている。

2. 能力構築、技術支援、技術移転

 十分な資金に加えて、条約は開発途上国締約国、特に後発開発途上国又は小島嶼開発途上国に対する適時適切な能力構築と技術援助を提供すべきである。 技術移転に関連して、この条約は開発途上国に対する環境に配慮した最新技術の普及と利用を確保すべきである。 しかし、技術移転は常に条約の目的に沿ったものでなければならず、廃棄物からエネルギーへのプロセスや化学物質のリサイクルなど、人間の健康や環境に害を及ぼす技術を許可すべきではない。

パート IV - 実施措置

 改訂されたゼロドラフトのこの部分は、実施、順守、報告、監視を含む実施措置で構成されている。

1. 国家[行動][実施]計画

 国家計画では、各国がプラスチックの生産と使用、懸念される化学物質の使用と排出の削減、既存の備蓄と過去の汚染の健全な管理を優先して、条約に基づいて確立された管理措置の順守を確実に達成する必要がある。 国家行動計画 (National Action Plans / NAPs) や国家実施計画 (National Implementation Plans /NIPs) などの国家計画は、同じ意味で使用できる概念である。 ただし、NIPs は通常、多国間環境協定(MEA)に関連する義務の履行をより正確に詳述するため、IPEN は、各締約国がプラスチック条約で確立された管理措置の順守をどのように達成するかを明確に概説するため、NIPs をプラスチック条約に含めることを優先することを推奨する。 NIPs の創設を促進するために、低・中所得国は、NIPs を完成させるために適切な資金を受け取るべきである。 また、報告、有効性評価、監視を含む、文書の順守に関連するすべての取り組みには、適切な資金が提供される必要がある。

 NAPs と NIPs に関する条項は、その監視と評価を含めて、とりわけ若者、先住民、女性、農民、そして地域社会などのリスクにさらされている人々との協議を含め、さまざまな利害関係者からの適切な参加と情報へのアクセスを確保する必要がある。

3. 報告

 報告は、進捗状況を追跡し、プラスチック汚染の傾向を明確に理解するための重要な手段である。 報告は重要なツールではあるが、締約国にとって負担になりすぎてはならず、他の多国間協定(MEA)からの報告義務と合わせて合理化されるべきである。 可能な場合、報告は関連省庁の国家監視報告又は通知システムに統合されるべきである。 条約では、報告に以下を含めることを義務付けるべきである。
  • 種類別及び用途別のプラスチック生産量

  • プラスチックの製造に使用される製造、輸入、及び輸出される化学物質の量と種類、及びその機能

  • 製造、輸入、輸出されたプラスチック材料及び製品

  • 生成、輸入、輸出されたプラスチック廃棄物と、埋め立て、リサイクル、輸出を含むプラスチック廃棄物の目的地

  • 汚染物質の排出及び移動の記録に関するキエフ議定書に準拠したプラスチック汚染の排出及び移動の記録を含む、ライフサイクル全体にわたるプラスチックの排出
    (訳注:「戦略的環境アセスメントに関するキエフ議定書(Kyiv Protocol on Strategic Environmental Assessment)、2003年」は、計画案やプログラム案の環境上の影響を評価するよう加入国に要請している。国連広報センター
5. 国際協力

 環境と健康の保護を強化するために、この条約は、特にポリマーと化学物質による危険性とリスクのデータに関する国際協力と情報交換を確保する必要がある。 ビジネス上の機密情報が、化学物質の危険性と、成形品や製品中の化学物質の存在に関するデータを提供する際の障害となってはならない。

8. Bis 健康面

 この条項は新たに追加されたものであるが、健康の側面は完全に条約の目的の一部である。 したがって、それらは分離されるべきではなく、管理措置に関する他の条項全体で対処されるべきである。 情報交換や教育・医療プログラムに焦点を当てた健康面に関する条文は追加的なものとなる可能性があるが、条約全体を通じて人間の健康を守るために必要な緊急措置に代わるものではない。 これらの措置は、条約の他の条項(国際協力、情報交換など)に組み込まれるべきである。 この条項は、ドラフト文書のパート II に含まれる有害化学物質の排出防止を目的とした条項の監視を確実にするものでなければならない。

パート V - 制度上の取り決め

 改訂されたゼロドラフトのこの部分は、条約に基づく将来の統治機関及び補助機関の構造を検討している。 補助機関、委員会、及びパートナーとして関与するすべての人に対して、強力な利益相反ポリシーを導入することが重要である。 この文書によって設立されたすべての団体は、関連文書への最大限の広範な配布とアクセスを保証するとともに、すべての関連する利害関係者の公的参加を保証する必要がある。

パート VI - 最終条項

 この部分は、法律起草委員会によって策定される最終条項のプレースホルダーとして機能する。 プラスチック条約に関する将来の決定に関連するメカニズムが多数決を通じて確実に採用されるようにすることが重要である。 コンセンサスが条約に基づくデフォルトの投票メカニズムとなるならば、有意義な進展に反対する国に事実上の拒否権を与えることになる。

条約に附属する可能性のあるもの

 条約に基づく規制措置を補完するには、いくつかの附属書が必要となる。 IPEN は、規制対象となる懸念化学物質のリストを含む附属書を予見することが重要であり、どの化学物質がこのリストに該当するかを決定するための基準も策定されることが重要であると考えている。

NOTE

1.UNEP/PP/INC.4/3

2.UNEP (2023) UNEP Welcomes new Global Framework on Chemicals

3. Bergmann, M. et al. (2022). A global plastic treaty must cap production. Science, 376(6592), 469-470.

4.Wagner, M. et al. (2024) State of the science on plastic chemicals - Identifying and addressing chemicalsand polymers of concern, NTNU OPEN

5. BRS (2023). Global governance of plastics and associated chemicals. Secretariat of the Basel, Rotterdam and Stockholm Conventions, United Nations Environment Programme, Geneva. Karen Raubenheimer, Niko Urho

6. United Nations Environment Programme and Secretariat of the Basel, Rotterdam and Stockholm Conventions (2023). Chemicals in plastics: a technical report. Geneva

7. BRS (2023). Global governance of plastics and associated chemicals. Secretariat of the Basel, Rotterdam andStockholm Conventions, United Nations Environment Programme, Geneva. Karen Raubenheimer, Niko Urho.

8. IPEN (2024) Frequently Asked Questions on Chemicals and Plastics.

9. IPEN (2023) Troubling Toxics. Eliminating Harmful Plastic Chemicals Through the Plastics Treaty.

10. Wagner, M. et al. (2024) State of the science on plastic chemicals - Identifying and addressing chemicalsand polymers of concern, NTNU OPEN

11. United Nations Environment Programme and Secretariat of the Basel, Rotterdam and Stockholm Conventions (2023). Chemicals in plastics: a technical report. Geneva. Supporting information.

12. Groh et al. (2023) Assessing and managing environmental hazards of polymers: historical develoment, science advances and policy options. Environmental science: Processes and Impact.

13. NIH Styrene Cas No. 100-42-5

14. Zhang et al. (2015) Dioxins and Polyvinylchloride in fires. Waste Management & Research, 33(7), 630-643.

15. Cousins et al. (2019) Why is high persistence alone a major cause of concern?. Environmental Science: Processes & Impacts, 21(5), 781-792.

16. Marfella, R. et al. (2024). Microplastics and nanoplastics in atheromas and cardiovascular events. New England Journal of Medicine, 390(10), 900-910.

17. Huber et al. (2009) Emissions from incineration of fluoropolymer materials. NILU

18. IPEN (2023) Troubling Toxics. Eliminating Harmful Plastic Chemicals Through the Plastics Treaty.

19. Article 6(d)(iii) of the Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants (POPS)

20. Brosche et al. (2021) Widespread chemical contamination of recycled plastic pellets globally. IPEN

21. IPEN (2024) Frequently Asked Questions on Plastics and Chemicals

22. Article 6(d)(iii) of the Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants (POPS)

23. E.g.:The Africa Stockpile Project, Eliminating Africa’s 50 000 tonnes obsolete pesticide stockpile

24. OHCHR Non-discrimination: groups in vulnerable situations.

25. ILO (2022) ILC.110/Resolution I

26. ILO (2023) The Fundamental Conventions on Occupational Safety and Health.


化学物質問題市民研究会
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