ABC サイエンス オンライン 2007年7月19日
ナノ農薬 特定の規制が必要

情報源:ABC Sience Online, Thursday, 19 July 2007
Nanopesticides 'need specific regulation'
Anna Salleh
http://www.abc.net.au/science/news/stories/2007/1982313.htm

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年7月28日


 食品及び農業におけるナノ技術は適切に規制されていないとオーストラリアの研究者は述べている。

 農業社会学者、グリフィス大学のクリスティン・リヨン博士と同僚らは、今週キャンベラで開催される”田舎の将来”会議で、農業と食品中のナノ適用の研究を発表する。

リヨン博士は次のように述べている。

 ”農業食品産業分野からのナノ技術への著しい投資にも関わらず、この分野におけるナノ規制の必要性は連邦政府によって優先度の高いものとして認められてこなかった。”

 ”ナノ農業食品産業は、いくつかの国際的な企業からの大きな投資により、2010年までに200億ドル(2兆4,000億円)の市場になる。”

 ”主張されるナノ技術から得られる農業の利益のひとつは、農薬をもっと効率的に適用する方法の開発である。”

 ”例えば、ナノサイズの農薬分子は、もっと安定で、害虫にもっと有毒で、植物にもっと良く吸収されるナノ農薬乳剤になる。”

 ”しかし、ナノ農薬を望ましいものにする同じ特性はまた新たなリスクを人又は環境にもたらすことがありえる。”

 ”例えば、植物の表面に浸透するナノ粒子の能力により、ナノ粒子が農産物の食用部分に浸透するかもしれない。”

 ”あるいは、それらの溶解能力は、ナノ農薬が土壌、水路、あるいは食物連鎖中に新たな種類の汚染を作り出すことを意味するかもしれない。”

 ”ナノ技術は農薬毒素を含むカプセルを作るために用いることができる。”

 ”そのカプセルは、例えば昆虫の胃の中のような特定の状況でカプセルの内容物を放出するように設計することもできる。”

 ”これらはもっと管理され効果的な農薬の適用をもたらすことができるが、カプセルは流されて他の生物の胃など意図しない他の環境中に毒素を放出するかもしれない。”

 ”オーストラリア農薬獣医学当局はナノ農薬の申請を受けたことはないと述べている。”

 ”しかし、ナノ特定の規制はないので、製造者らはすでに承認されている農薬のナノ版を登録することを法的には求められない。”

 ”世界の主要な化学会社はすでにナノ粒子を含んだ多くの農薬乳剤を販売している。”

 "我々が知らないことはそれがオーストラリアで売られているかどうかということである。”

 ”ナノセンサーもまた畑の害虫やウィルスと共に、栄養、pH、湿度などのリアルタイム・モニタリングを提供するために開発されている。”

 ”ある場合にはこれらは、GPSシステムとつながったリモート・コンピュータによって放出される農薬を組み込んだナノ種子類を作ることがありえる。”

 ”これらのナノセンサーは農場一面に広くばら撒かれ新たな農場”ナノ汚染”を引き起こす。”

食品への適用

 ”ナノ技術は食品産業、例えばカプセル入り栄養剤なとでも使用されている。あるナノ構造は、カルシウムや鉄分など人の栄養要求を感知して、これらの栄養素を利用可能にすることで対応することができる。”

 ”国際市場に300種のナノ食品が存在し、ナノ食品と容器の売り上げは2005年には53億ドルであったとの報告がある。”

 食品基準オーストラリア・ニュージランド”のウェブサイトは現在は有害影響を示す証拠は入手できないが、食品へのナノ技術の潜在的適用は健康と環境に対する懸念であると述べている。

 同機関は食品産業のナノ技術の使用に関して監視していると述べている。

 産業観光資源省は、ナノ技術の規制に与える影響についての準備的研究を実施しており、今後2ヶ月で完成することが期待されると述べている。



化学物質問題市民研究会
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