ES&T 2008年4月2日
ナノチューブの全てが同じに造られているわけではない
単層カーボンナノチューブの著しい相異は環境リスク評価のためのモデル化を難しくする

情報源:ES&T Science News, April 2, 2008
All nanotubes are not created equal
Significant differences among different single-walled carbon nanotubes
make it difficult to model their environmental risk.
http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2008/apr/science/kb_nanotubes.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年4月8日

 『ナノテクノロジー』4月号に発表された新たな研究によれば、異なる10製造者による単層カーボンナノチューブのテストで、その構造が極端に異なることがあることが判明した。この結果はナノ物質の環境リスク評価に対し重要な意味を持つ。

 研究チームは、マアチューセッツ技術研究所のフィリップ・グシュウェンド、ウッズホール海洋学研究所、及び両研究所兼務のデズリー・プラタらを含む。研究者らは2005年9月から2006年3月までの間に単層カーボンナノチューブを製造したことが知られているアメリカの全ての製造者から単層カーボンナノチューブを購入し、分析した。しかし、この産業分野の急速な成長のために現在市場に出ているナノ物質の数はもっと多いであろうと彼らは述べている。

 著者らは、これらのナノチューブは、”炭素質及び金属不純物を大きな割合で含んでおり、それらはバルク〔ナノチューブ〕物質の最高70%までを占めることが知られていると指摘している。不純物を無視しては、科学者らは物質の電気的特性、環境的移動、変換、環境毒性を十分には理解できない。

 新たな分析は、ナノチューブは合成に使用される触媒を高いレベル(パーセント)で含むことがあることを確認している。研究者らはまた、テストされたナノチューブが銅、クロム、鉛などの予期しない物質を含んでいたことを見出した。

これらの不純物はナノチューブの表面特性と反応性に影響を与えるので、それらはナノチューブの環境的運命に影響を与えるであろう。例えば、金属はハロゲン汚染物質と反応してラジカル(radical species)及び有毒物を生成する。

 個々のナノチューブ・メタルの”指紋”とカーボン同位体の”署名”は最終的には、環境中で見つけたときに科学者がをれらを特定することができるかもしれないと研究者らは結論付けている。

ケリン・ベッツ(KELLYN BETTS)



化学物質問題市民研究会
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