米化学会 ES&T 2006年6月21日
生きた微生物中のナノ粒子
消化器外の組織に容易に移動すること示す初めての画像


情報源:Environmental Science & Technology: Science News, June 21, 2006
Still life with nanoparticles
Researchers captured the first images of nanoparticles inside whole living organisms,
with evidence that the tiny particles move readily into body tissues outside the gut.
http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2006/jun/tech/lt_nanoparticles.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年6月22日


 研究者らはナノ粒子が消化器の外の体内組織に容易に移動するという証拠となる生きた微生物中のナノ粒子を初めて画像にとることに成功した。
 初めて、研究者らは、ナノ粒子が入り込んだ微生物の全体画像を撮影することに成功した。ナノ粒子は、今までに試験管中の細胞中で撮影されたことはあるが、今回の画像はミジンコ(daphnid or water flea (Daphnia magna))中の微粒子を撮影したもので、5月に開催された環境毒物学化学学会欧州会議でイギリスのナピエール大学のテレサ・フェルナンデスによって発表されたものである。

 フェルナンデスと彼女の研究チームは二酸化チタン(TiO2)とカーボンブラックのナノ粒子を含む環境中で泳いでいる幼若(新生)及び大人のミジンコを研究対象とした。幼若及び大人のミジンコの双方は即座に粒子を摂取した。大学院生フィリップ・ローゼンクランツは、大人のミジンコの消化器内及び脂肪滴(fatty lipid storage droplets)内にカルボキシル化・蛍光化により印をつけられた粒子を画像に撮ることに成功した。同研究チームが今年の後半に発表予定の画像の中に示されているように、生後1日以内の新生ミジンコもまた、この微粒子を摂取していた。

 研究者らは、粒子は成ミジンコの消化器中で容易に見られることは予測していたが、彼らは、ミジンコがそれらの粒子を直ぐに排泄するのか、あるいは体内のどこかに貯めておくのか明確にすることを望んだ。”摂取後、1時間以内に、写真の一枚がナノ粒子が体の他の部分に移動したことを示した。ミジンコは最終的にはこれら排泄物貯留を利用しようとしているが、このことはナノ粒子の安全についての関連性を明確にするためにさらなる研究が必要であることを示している”−と彼女は述べた。

ナオミ・ルービック(NAOMI LUBICK



化学物質問題市民研究会
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