FoE オーストラリア 2011年7月20日
豪・医薬品管理局(TGA)の
ナノ表示への攻撃に関する背景情報


情報源:Friends of the Earth
Background information on TGA's(Therapeutic Goods Administration's) attack on nano-labelling
http://nano.foe.org.au/sites/default/files/Background%20information%20on%20TGA%20attack%20on%20nano%20labelling%20July%202011.pdf

掲載日:2011年8月8日
このページへのリンク
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/FoE_au/FoE_au_TGA's_attack_on_nano-labelling.html


■ナノテクノロジーは、オーストラリアの日焼け止めで(表示なしに)すでに使用されている

 ナノ粒子は、ナノテクノロジーの”第一世代”製品であり、その新たな特性のために使用されるナノスケールの粒子である。これらの新たな特性には、透明性や有毒性を増大させる 反応性の増大などが含まれる。酸化亜鉛や二酸化チタンのナノ粒子はすでにオーストラリアで販売されている数百の日焼け止めで使用されている(豪・医薬品管理局(TGA)の2006年の調べでは、オーストラリアで販売されている少なくとも350の日焼け止めがナノ粒子を含んでいる)。科学者らが、ナノ粒子の新たな特性と、より高い毒性がもたらす健康リスクの可能性について懸念を表明しているにかかわらず、豪・医薬品管理局(TGA)はナノ粒子を新たな化学物質として扱わず、日焼け止め製造者にナノ成分の新たな安全テストを実施することを求めていない。

■それどころか、オーストラリアの日焼け止め規制当局は安全テストと表示の要求を拒否し続けている

 今日まで、豪・医薬品管理局(TGA)は、がん協議会、化粧品産業団体、消費者団体、健康専門家、労働組合、その他の地域社会の人々の日焼け止めのナノ成分の義務的な表示の要求を拒否している。

■現在、豪・医薬品管理局(TGA)は、自主的に表示しようとする製造者を攻撃している

 豪・医薬品管理局(TGA)は、ナノを使用しない日焼け止めの製造者らが、彼等の日焼け止めは”ナノ不使用(not nano)”であると自主的に表示することを、止めるよう求めている。TGA 不服審査委員会(TGA CRP)は、日焼け止め製造者 Ganehill Pty Ltd(最近 Valiant Pharmaceuticals に買収された)の主要製品である Invisible Zinc の”ナノ不使用(not nano)”であるとした広告が消費者に恐怖と苦痛を植えつけると非難して、同社に対する訴えを支持した。Ganehill 社は、”消費者の信用を悪用する又は知識不足を利用する、又は恐怖や苦痛をもたらす可能性がある言葉を含む”広告を禁止する医薬品広告法(herapeutic Goods Advertising Code)4(2)(d) に「違反するとして訴えられた。TGA 不服審査委員会(TGA CRP)は、どのようなナノ安全性の懸念をも挙げることなく、Invisible Zincを”ナノ不使用(not nano)”と広告することによって、 Ganehill 社はこの法律に違反したと判断を下した。

■これは消費者の”知る権利”に対する危険な先例となる

 消費者は日焼け止めに使用されているナノ粒子の安全性について懸念しており、彼等が使用する日焼け止めがナノ成分を含んでいるかどうか知る権利を持っている。義務的な表示が求められていないので、ナノ日焼け止めの安全性について懸念する多くの消費者は、情報に基く選択を行なうために、”ナノ不使用(not nano)”と製造者により自主的に表示された日焼け止めに頼っている。

■健康専門家と皮膚学者は、皮膚が損傷している人、小さな子ども、毎日日焼け止めを塗っている人は特に曝露のリスクが大きいと警告している

 表示についての情報に基く選択の主張に加えて、皮膚学者や皮膚の専門家()が警告している薄い又は傷んだ皮膚を持つ人々、定期的に日焼け止めを使用している人々は有害なナノ曝露のリスクが最も高く、ナノを使用しない製品を選択することができることが必要である。

■次に何が起きるのか?
 Invisible Zinc は、消費者の懸念を理由に、TGA 不服審査委員会(TGA CRP)の判定に従わず、”ナノ不使用(not nano)”の表示を止めることを拒否した。豪・医薬品管理局(TGA)は、もし従わなければ起訴することができる法的に強制力のある命令にするかもしれない。もし、法的に強制力のある命令がなされれば、消費者がもっと多くの情報を望んだときに他の製造者が”ナノ不使用(not nano)”と表示することを思いととまらせることになる。

TGA 不服審査委員会(TGA CRP)の決定全文:
http://www.tgacrp.com.au/index.cfm?pageID=13&special=complaint_single&complaintID=1691

問題となった広告:
http://www.tgacrp.com.au/uploaded/complaints/2010-07-006%20Invisible%20Zinc.jpg

注: http://www.idlc.com.au/pdf/IDLC-Nanoparticles-and-Sunscreen.pdf



化学物質問題市民研究会
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