ZMWG 2010年11月30日
金属水銀からなる廃棄物及び水銀を含む又は水銀で汚染された廃棄物の
環境的に適切な管理のためのバーゼル技術指針第6次ドラフト
カバー・ノード


情報源:Zero Mercury Working Group, 30 Novemver 2010
Cover note
Comments on the 6th Draft of the Basel Technical Guidelines
for the Environmentally Sound Management of Waste
Consisting of Elemental Mercury and Waste Containing or
Contaminated with Mercury
http://www.zeromercury.org/UNEP_developments/
101130_ZMWG%20Comments.6th%20Draft.BaselTG.v1.pdf


Detailed comments
http://www.zeromercury.org/UNEP_developments/
101130_ZMWG%20detailed%20comments_TG%20on%20Hg%20Waste%20-%206th%20Draft.pdf


UNEP文書:
Technical Guidelines for the Environmentally Sound Management of Waste consisting of Elemental Mercury and Wastes Containing or Contaminated with Mercury - 6th Draft
http://www.basel.int/techmatters/mercury/guidelines/Oct2010v2.doc

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
Translated by Takeshi Yasuma (Citizens Against Chemicals Pollution (CACP))
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2010年11月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/zmwg/zmwg_101130_comments_Basel_TG.html


はじめに

 ゼロマーキュリー・ワーキング・グループ(ZMWG)は、金属水銀からなる廃棄物、及び水銀を含む又は水銀で汚染された廃棄物の環境的に適切な管理のためのバーゼル技術指針の第6次ドラフト(ドラフト・バーゼルTG)の作成者の努力を認め、バーゼル条約事務局のこの作業に対し感謝する。

 ドラフト・バーゼルTGは第6次までに多くのコメントを受け、変更がなされてきた。しかしZMWGは、ドラフト・バーゼルTGはまだ多くの作業が進行中であると考えている。これはこの文書の作成者がその仕事に怠慢であると言っているのではなく、この観察は水銀の問題を取り巻く外部要素次第であるということである。

 現在進められている水銀に関する法的拘束力のある条約の開発のための政府間交渉委員会(INC)会合は、ドラフト・バーゼルTGに含まれる技術やプロセスのあるものの妥当と適切性についての不確実性を取り除く努力を続けている。管理理事会決議(GC Decision) 25/5の下に設立されたINCは、包括的で適切な水銀へのアプローチを開発することを付託されており、交渉会合は下記を含む様々な主要な課題をカバーする。
  • 水銀の供給を削減し、その環境的に適切な保管のための能力を強化すること。
  • 水銀の国際的な貿易を削減すること。
  • 水銀を含む廃棄物と汚染サイトの修復に目を向けること。
 INCが指揮している作業に規範的な特性があるなら、ドラフト・バーゼルTGを作成し完成させるどのような取組も、INCプロセスの結果としての決定は最終的にはドラフト・バーゼルTGを変更する又は影響を与えるであろうということを知っていなくてはならない。

 我々は、第5次ドラフト・バーゼルTGの中での我々のコメントで、その文書は、なかんずく金属水銀の貿易と保管に関連する議論を少なくとも暫定的にINCの議論の結論が出るまで延期するよう提案した。

 我々は、現在まだ交渉中であるこの主題に言及する文書を開発するために不必要な取組を反復し拡大しないようにするために、議論を延期することは賢明なアプローチであると現在も感じている。しかし、我々はバーゼル加盟国のために水銀廃棄物の問題に目を向ける必要性を認める。これに関して我々は、ドラフト・バーゼルTGに関する継続する作業は、利用者にドラフト・バーゼルTGの限界を知らせるために、この文書の弱々しい又ははかない特性を認め、それを明確に示さなくてはならないと考えている。

 これらのドラフト・バーゼルTGであっても、今度のINCでの議論が水銀製品とプロセスの廃止の程度とタイミングに本質的な影響を及ぼすことを合理的に期待することができるという第5次ドラフト・バーゼルTGへのコメントの中で我々が述べた見解を同様に繰り返す。したがって、その文書はこの状況を明確に認めなくてはならない。

一般的コメント

1. 導入部に”限界”と題する新たなセクションを設けること

 我々が開口一番で述べたように、ドラフト・バーゼルTG内に含まれる情報の妥当性と適切性は、水銀に関するINCの結果である決定によって影響を受けるであろう。これに関して、我々はこの文書の利用者はこの事実を知らされなくてはならず、ドラフト・バーゼルTGの限界に関する新たなセクション2は、範囲に関するセクションの後に含まれることを提案する。

 我々は下記の新たなセクションを提案する。

2. 限界

 現在の指針は、国連環境計画管理理事会がその決議25/5 の中で、水銀に関する法的に拘束力のある文書を作成し、2010年6月に作業を開始し、2013年までに完成させる義務を持つ政府間交渉委員会(INC)を設立したということを認める。
 INCは水銀に対する包括的で適切なアプローチを開発し、交渉は次のような様々な重要な問題をカバーするであろう。
  • 水銀の供給を削減し、その環境的に適切な保管能力を強化すること。
  • 製品中とプロセスにおける水銀の需要を削減すること。
  • 水銀の国際的な貿易を削減すること。
  • 水銀含有廃棄物と汚染サイトの修復に目を向けること。
  • 能力構築と技術支援のための計画を特定すること。
 加盟国の即時の必要性に対応するために、これらの指針はINCが完了する前に準備される。これらの指針に含まれる情報は、INCが採択するかもしれないどのような決定の結果をも待たずに決めることはしない。したがって指針は、これらの指針に含まれる情報の妥当性と適切性に影響を与えることができる決定に到達するかもしれないことを認める。そのような場合には、これらの指針に含まれる情報を修正し又は補足するために、バーゼル条約事務局によって適切な措置が取られなくてはならない。

 これらの指針は、バーゼル条約の下に定義されているように水銀廃棄物の問題に関する情報を提供するだけである。これらの指針はさらに、商品としての金属水銀の問題及び商品としてのこれらの物質の保管に関する他の法律や条約の権限を認める。これに関して、指針は金属水銀の分野及びその結果として商品としての保管をカバーしていない。

2. 廃棄物からの水銀放出管理のためのグッド・プラクティス(プラクティス・ドキュメント)との関係

 水銀を管理する二つの文書の必要性とドラフト・バーゼルTGとプラクティス・ドキュメントとの関係が我々には不明確である。プラクティス・ドキュメントは、ドラフト・バーゼルTGそのものに織り込むことができる水銀廃棄物管理の詳細を提供する。我々は、プラクティス・ドキュメントを使用する前に、ドラフト・バーゼルTGとの関係が明確にされ、加盟国がその文書について明確になるようにすることを提案する。

3. 水銀廃棄物のESMに関する指針

 現在書かれているセクション3は、単なる出典目録とそれぞれの説明に過ぎない。バーゼル条約に詳しくない、又は初めてかもしれないこ文書の利用者は、なぜひとつの特定サブセクションが含まれておりそれが他とどのように関連するのかについて不思議に思うであろう。例えば、ESMとBAT/BEPとの関係、特にESMの実施又はその達成支援の一部としての記述及び新たなる詳細が必要である。



化学物質問題市民研究会
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