CBC News 2017年6月27日
オンタリオ州政府は、
グラッシー・ナロウズとヴァバシムーンの近辺の
水銀を浄化するために8,500万USドル(100億円弱)を出す

ケリー・クロウ (CBC News)

情報源:CBC News, Jun 27, 2017
Ontario announces $85M to clean up mercury near Grassy Narrows, Wabaseemoong First Nations
New funding will go to First Nations-led plan for full remediation of English-Wabigoon River
By Jody Porter, CBC News
http://www.cbc.ca/news/canada/thunder-bay/ontario-mercury-cleanup-1.41806310

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2017年7月5日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/news/170627_CBC_
Ontario_announces_$85M_to_clean_up_mercury_near_Grassy_Narrows.html


 オンタリオ州は、同州北西部のグラッシー・ナロウズとヴァバシムーンのファースト・ネーションズ(訳注1)の人々に害毒を及ぼしている産業水銀汚染を浄化するために 8,500万ドル(約96億円)を出費するであろうと、環境大臣グレン・マリーは6月27日(火曜日)に発表した。

 水銀は製紙会社であるリード社により、オンタリオ州ドライデンにあるファースト・ネーションを流れる川の上流に、1960年代及び1970年代の初めに投棄された。その川は今までに浄化されたことはなかった。

 2016年9月に、数十年間、現地の人々の健康を研究してきた日本人の専門家らにより発表された研究によれば、同地域の人口の90%以上が水銀中毒の兆候を示していた。

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 ”今日はオンタリオ州にとって歴史的な日である”と、マリー環境大臣はインタビューで CBC News に語った。”資金はもそこにある。今すぐ使う準備ができている”。

環境修復は来年始まる

 川の浄化のための準備作業は今年の夏に完了し、修復は2018年の初めに開始する予定であると、マリーは述べた。

 同州によれば、すでに着手されている作業を加速するために、追加の 270万 USドル(約3億円)が予算化されている。

 メリーは、この発表はグラッシー・ナロウズとヴァバシムーンの代表者との二か月にわたる集中作業の後に発表されたと述べた。

 ”この川は、我々の命の川である”と、グラッシー・ナロウズの代表、サイモン・フォビスターは火曜日(6月27日)の夕方、声明の中で述べた。”あまりにも長い間、我々はこの防止できたはずの悲劇に苦しめられてきた。これは、我々の仲間にとって希望の新たな時代の始まりであり、ついに正義が貫かれるのかもしれない”。

言語道断な歴史的悲劇

 ”我々は、人々が夏休みでいなくなる前に、内閣に、そして財務委員会に、この件を大急ぎで持ち込んだ”と、メリーは火曜日の驚きの発表のタイミングについて述べた。”これは今現実となり、金を出費することができる”。

 長年、グラッシー・ナロウズとヴァバシムーンの人々は、汚染を浄化し、水銀による健康被害者のためのより良い医療・介護を要求してきた。

 オンタリオ州首相キャサリーン・ワインはこの”言語道断な歴史的悲劇”を認めたと、メリーは述べた。

 ”これは転換点である”と彼は述べた。”これは、我々がファースト・ネーションを敬意をもって処遇できることを示す前兆である。もし我々がこれを修復できれば、おそらく我々は将来、もっと多くの正義と和解をもたらすことができるであろう”。

 フォビスターは、この約束を喜んでいるが、しかし、そのような長い戦いの間に、政権交代により、資金供給が干上がるかもしれないという懸念がまだあると述べた。

 ”この約束が政権が代わっても実行されることを確実にするために、我々は今、この資金を信託する必要がある”と彼は述べた。


訳注1:ファースト・ネーション
訳注:カナダ・ファースト・ネーション水銀汚染関連情報


化学物質問題市民研究会
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