ジャカルタ・グローブ 2015年11月27日
インドネシアの小規模金採掘者ら
水銀使用を止めるとの歴史的な約束


情報源:Jakarta Globe November 27, 2015
Indonesian Small-Scale Miners in 'Historic' Pledge to Halt Mercury Use
http://jakartaglobe.beritasatu.com/news/
indonesian-small-scale-miners-historic-pledge-halt-mercury-use/


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2015年12月4日
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【ジャカルタ】 インドネシアの規制されていない小規模金採掘者らを代表する団体が今後 3 年間で水銀の使用を廃止すると約束した。

 インドネシアの採掘会社は2013年以来、日本の熊本で93か国の政府が署名した水銀に関する水俣条約の下に、金採掘、化粧品、及び発電のような産業での重金属の使用を止めるよう求められていた。

 小規模金採掘は規制されていないが、政府は2014年に、他国に先駆けて、水銀の使用を2018年までに廃止する計画を発表した。

 今回、インドネシア人力採掘者協会(APRI)の採掘者ら自身が金曜日(11月27日)に、会員は2018年までに彼らの操業での水銀の使用を止めると述べて、廃止の実施を約束した。

 ”我々は、水銀が我々の環境や健康に、現在、そして将来、有害な影響をもたらす可能性を十分に認識している”と、インドネシア人力採掘者協会(APRI)の議長ガトット・スギハルトは金曜日にジャカルタでの集会で述べて、約束を発表した。

 水銀は、規制されている大規模金採掘ではもはや使用されていないが、既得権益地又は森林で一般的には非合法的に操業する小規模採掘者らは金を水銀と結合させた合金(アマルガム)を得るために、この金属を使用し続けている。彼らはこのアマルガムから水銀を除去するためにこのアマルガムを加熱して水銀を大気及び地中に放出し、地下水を汚染する。

 国連環境計画(UNEP)は、小規模金採掘を世界最大の単独の水銀発生汚染源であると特定した。インドネシアでは、この種の採掘による排出が全水銀排出の57.5%を占め、その量は年間195トンになる。

 金曜日の宣言は、環境森林省、保健省、エネルギー鉱物資源省、及び財務省からの役人列席の下に行われ、彼らは APRI の約束を称賛した。

 ”この宣言は、インドネシアの環境管理における取組にとって歴史的な重要性を持つことになるであろう”と、環境省の有害物質及び廃棄物管理担当長官ツチ・ハンドラワチ・ミンタルシンは述べた。

 水銀はインドネシアでは一般的に、照明産業及び医療機器での使用のために合法的な経路を通じて輸入されるが、非合法的な金取引のためにブラック・マーケットが蔓延っている。

 財務省の関税税務担当長官ヘル・パンブディは、今年だけで彼の事務所は主に不法な金採掘産業向けの推定478億ルピア(348万ドル)に相当する不法な水銀 14 コンテナーを差し押さえたと述べた。

 ”関税税務事務所は、水銀の不法な販売を監視するために上流の分野から下流の分野にいたるまで、誰とでも一緒に協力する準備ができている”と彼は述べた。

 小規模採掘者に水銀の使用を止めさせるために政府は、採掘権利地の明確な線引きのような規制的動機を約束しているとエネルギー省の鉱物石炭担当長官バンバン・ガトット・スリヨノは述べた。  ”中央政府は小規模採掘者のための金採掘場所を確立する支援を行うことができるが、我々はまた地域の当局が彼らに操業許可を与え、実行可能性調査を実施するよう促す”と彼は述べた。

 環境省のツチは、彼女の事務所が環境に適切で水銀に代わる有害性のない採掘者らが使用できる代替方法を見つけるための調査を引き受けるであろうと述べた。

 保健省の規制関連の上席顧問タリ・トリタラヤティは、シアン化物のような水銀の代替物質は同じように、あるいはそれ以上に大きな危険もたらすことがあることを警告した。

 ”我々は、最良の水銀代替物質を見つけるのに十分、注意する必要がある”と、彼女は述べた。



化学物質問題市民研究会
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