2014年11月7日 IPEN プレスリリース
アメリカと EU は水銀条約交渉会議で 汚染場所に関する進捗を遅らせている 情報源:IPEN Press Release, November 7, 2014 U.S. and EU stall progress on toxic sites at mercury treaty negotiations http://ipen.org/sites/default/files/documents/pdf %20IPEN%20INC6%20final%20press%20release_EN.pdf 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2014年11月12日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC6/IPEN/ 141107_IPEN_PR_U.S_EU_stall_progress_on_toxic_sites.html 【バンコク】 アメリカは、バンコクでの水銀条約交渉会議で水銀汚染場所に関する世界的行動をさらに遅らせるための圧力をかけている。水銀に関する水俣条約第6回交渉会合は、世界で最も不名誉な水銀汚染場所である日本の水俣に因んで命名された条約名に適うことができなかった。条約の目的は、水銀及び水銀化合物の人間の活動による排出と放出から人の健康と環境を保護することである。 条約の第12条は、締約国は、汚染された場所を特定し、評価し、優先順位を決定し、管理し、及び適当な場合には修復し、そして健康リスクを評価するための戦略の策定及び活動の実施において協力することが奨励される”と促している。 IPEN 水銀政策顧問 リー・ベルは次のように述べた。”アメリカと EU は、遠くない将来までの間、水銀汚染場所に関する世界的ガイダンスを開発するためのさらなる行動は起こさないと事実上主張したが、彼らへの異議はなかった。このことは、どのようにして有毒な水銀汚染場所を特定し、管理し、浄化すべきかについて署名国に助言できない状態をそのままにしている。産業汚染、劣悪な廃水処理、そして小規模金採掘からの汚染場所が激増しているので、この問題をいつまでも遅らせることは、世界中の多くの人々に大きな脅威をもたらすことになる。IPEN は、専門家グループが早急にガイダンスを開発するよう求めてきたが、条約署名国がこの重要な問題に対処するよう説得するために、さらにその努力を強めるであろう”。 水銀汚染場所は、水銀が世界中を移動することができ、その発生源から遠く離れたところにも堆積するので、世界的な問題である。これらの汚染場所では、水銀が土壌や水路に漏れ出し、大気浮遊の蒸気として水銀を放出する。海洋の水銀汚染は漁業資源を汚染し、魚を食べる人々の健康に直接的な影響を及ぼす。 小規模金採掘で使用される水銀は、環境を汚染し、発展途上国における数百万の採掘者と貧しい地域社会に対する重大な中毒の脅威である。金を抽出ために水銀を使用している採掘者の中に水俣病のような症状があることを示す証拠が増大している。水銀は人の神経系に壊滅的な損傷を引き起こし、その結果、認識思考、記憶、注意、言葉、運動、及び視覚的・空間的能力への影響をもたらす。 ”水銀は、採掘者に影響を及ぼし、彼らの環境を汚染する。それは食物連鎖を汚染し、彼らの家族や地域社会に有害な影響を与える。水銀はまた、池、川、そして水田を汚染するので、更なる長期的なダメージを防止するために、当局による介入が必要である”と、BaliFokus/IPEN の ASGM 主席担当であるユーユン・イスマワティは述べた。”報告書の様式や構成、そして財源などについての議論の方が優先され、この増大する健康危機に対する行動のための議論は中心から外された”。 ベル氏は、次のように付け加えた。”数少ない交渉の成果のひとつは、水銀の供給と貿易を調査することに注力するという決定であった。水銀貿易は追跡することが悪名高いほどに難しく、暗躍するブラック・マーケットと増大する犯罪組織との関連がある”。 IPENは、汚染のない未来のために働く、116か国700組織からなる国際NGOである。IPENは2013年10月に条約締結をもたらした水銀条約交渉プロセスに積極的に関与してきた。現在128か国が同条約に署名し、8か国が批准している。 |