中国環境NGOs プレスリリース 2012年8月22日
中国の環境団体、ドイツ銀行グループの
焼却炉プロジェクトへの投資に懸念を表明

pdf版

情報源:Press Release from Environmental NGOs in China, August 22, 2012
Environmental groups express concern
over German banking group's investment in incineration project
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/China/
Chinese_NGOs_Open_Letter_to_the_KfW_Banking_Group+Press_Release.pdf


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年8月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/China/
120822_NGOs_in_China_express_concern_over_KfW's_investment_in_incineration.html


プレスリリース
中国の環境団体、ドイツ銀行グループの焼却炉プロジェクトへの投資に懸念を表明:

 中国の18の環境NGOsは、北京ナンゴン自治体固体廃棄物焼却プロジェクトに関して、ドイツ復興金融公庫(KfW)に公開状を送付した。

【北京 2012年8月22日】 本日、Friends of Nature, Nature University, Yunnan Green Watershed, Eco-Canton, and Greenovation:Hub を含む18の環境団体は、ドイツ復興金融公庫(KfW)の本部及び北京事務所に、同公庫の北京ナンゴン自治体固体廃棄物焼却プロジェクトへの投資についての懸念を表明するために、2012年8月8日付けで公開状を送付した。

 環境団体はこの公開書状を公式に送付するまえに、北京の KfW 代表とナンゴン焼却炉プロジェクトについて討議するための会合を要求していたが、その機会は与えられなかった。

 環境団体は、北京一般自治体工学設計研究所(Beijing General Municipal Engineering Design & Research Institute )のウェブサイトが、中国とドイツ政府は、中国ドイツ資金協力の枠組みの下に資金協力プロジェクトとして北京ナンゴン自治体固体廃棄物焼却をを含めることを2010年5月に明らかにした後に、行動を起こすことを決めた。2006年の実行可能性調査報告書によれば、このプロジェクトに割り当てられる合計投資額は775,530,000 人民元 (約 99,000,000 ユーロ)である。55,000,000ユーロは中国ドイツ資金協力基金から出資され、KfW により執行される。

 ”グリーン投資”に取り組むNGOである雲南グリーン分水嶺(Yunnan Green Watershed)の広報官 Yu Xiaogang は、”開発途上国の持続可能性について政治的責任があり、赤道原則(Equator Principles)(訳注:赤道原則とは?)を採択しているドイツの政策銀行として KfW は、意思決定のための重要な基礎として、彼等のプロジェクトが地域の環境と社会に及ぼす影響とリスクを考慮すべきである。また、中国で銀行業務を展開する組織として、 KfW が関連する中国政策と法律を敬うことが重要である。中国の環境保護当局と中国銀行業務規制委員会は、一連のグリーン投資政策と指令を発表している。これらの指令は、銀行はプロジェクトの建設、製造、及び運転中に顧客とその他の主要な利害関係者に対する可能性ある社会的及び環境的リスクと危険に注意を払うよう求めている”と述べた。

 公開状の中で環境団体は、中国における廃棄物焼却が、基準を満たすことができないようなダイオキシンや重金属の排出、滲出液の不適切な処分、及び焼却灰の違法な投棄など著しい二次汚染を発生させていることを描き出している。

 ドイツと同等の数量を持つ中国の全自治体廃棄物焼却炉からの年間排出量は 50g 毒性量(TEQ)であるが、ドイツでは 0.5g TEQ以内である。珠江デルタ地域(訳注)では、焼却は重金属である水銀の最大排出のひとつであることが科学者らによって証明されている。その年間排出量は、人間活動による全水銀排出の21%を占め、石炭燃焼からの排出28%に匹敵する。

 書状は、中国の廃棄物成分と関連技術は別として、廃棄物焼却が中国で馴染まない主な理由は、政府の廃棄物管理、社会の監視、及び情報の透明性のひどい欠如に帰することを述べている。”ほとんどの廃棄物焼却炉プロジェクトは現在、地域の市民による監視を受けているこのときに、 KfW はどのようにしてこのプロジェクトが、焼却炉会社が中国で直面してきたその他の問題を克服することができるのか? さらに、私はドイツには同様なプロジェクトへの公衆の参加のための成熟したメカニズムがあるはずであると信じる。KfW はなぜそれを中国に導入しないのか?”と、国際自然保護連合(IUCN)の専門家であり、自然の友(Friends of Nature)の運営委員の Li Bo は疑問を提起した。

 このプロジェクトはナンゴンで実施されるが、そこには現在ナンゴン堆肥製造プラントがあり、同プラントの操業状態は環境団体の監視を受けている。この施設もまたドイツ政府により支援された5つの公衆衛生施設のひとつであり、1990年代に北京に建設された。

 環境大学(Nature University)の Chen Liwen は、”堆肥プラントは、低効率で運転されているが、それは同プラントに持ち込まれる廃棄物は集積ステーションで機械と労働者により分離されているが、それでもまだ大量のプラスチック袋、プラスチックと金属の容器、使い捨ての箸、その他の廃棄物が混ざっている”と指摘する。さらに彼女は、”堆肥施設では禁止されている電池、医療廃棄物、その他の有毒廃棄物が堆肥の中に見出される。堆肥プラントの近くに住む人々もまた、悪臭公害に不満を持っているが、私は近くに焼却炉建設の計画があることはほとんど知らなかった。公衆衛生局、地方政府、このプロジェクトへの投資者は地域住民と協議をしなかった”と述べた。

 Li Bo は上記の現象に関して次のようにコメントしている。”もし KfW とその他の関連機関が必要なフォローと継続する監視をしようとしないなら、同じような問題がナンゴン焼却炉施設で繰り返されないよう保証するのは非常に難しい。また、私が知る限り、ドイツは温室効果ガスの排出削減、気候変動の緩和、ヨーロッパにおける資源保護に関して世界の先進国であり、焼却や埋め立てよりも廃棄物発生防止、リサイクル、及び再使用を推進している。したがって、 KfW は、末端処理技術(end-of-pipe technology)への資金供与ではなくて、ドイツの完全な経験と環境政策を中国に導入する方がよい”。

 ”この書簡は2週間前に送付されたが、残念ながら我々はまだどのような回答も受け取っていない”と、自然大学(Nature University)の Mao Daは述べている。”我々はナンゴン焼却炉プラントへの投資と建設をいかに改善するかに関して提案してきたが、KfW との対話ができることを希望する。我々は、このような対話は、中国市民の利益だけでなく、 KfW 及びその他のドイツの機関の評判を改善するであろうと信じる”。

Contact persons:
CHEN Liwen (School of Waste, Nature University, Mobile: +86-15210347427, E-mail: liwenchen9230@gmail)
MAO Da (School of Waste, Nature University, Mobile: +86-15210033727, E-mail: elephantmao@gmail.com)


公開書状そのものの日本語訳は省略。以下の文書の後半に示されています(英語)。
An Open Letter to the German KfW Banking Group on Beijing Nangong Municipal SolidWaste Incinerator Project


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る