カナダ保健省 2009年6月
コンパクト蛍光ランプの安全性

情報源:Health Canada, June 2009
The Safety of Compact Fluorescent Lamps
http://www.hc-sc.gc.ca/hl-vs/iyh-vsv/prod/cfl-afc-eng.php

訳:安間 武/化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2010年3月28日
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論点
 カナダでは、従来の白熱電球からコンパクト蛍光ランプ(CFL)のような、もっとエネルギー効率の良い製品への取り替えがますます進んでいる。そのエネルギー効率は促進されているが、CFLの使用について健康への懸念も提起されている。


背景
 カナダ連邦政府及びいくつかの州政府は、今後数年で従来の白熱電球の販売を禁止する(違法とする)法案を通過させた。その目的は、消費者にCFLを含むもっとエネルギー効率の良い製品を買わせるためである。

 蛍光灯は長年使用されており、CFLは従来の管型蛍光灯の最新版である。CFLは、標準の電球ソケットに差し込める。古いタイプの蛍光灯と同様に、それらは光を発するのに異なる方法を使用しており、それがエネルギー効率を高めている。それらは不可視の紫外線(UV)を発する低圧の水銀蒸気ランプである。ランプに電源が投入されると水銀が蒸発し、高圧電気により、”励起”状態になる。そして紫外線がランプの内面に塗られ蛍光体を”励起”し、それが目に見える光を発する。

 カナダでCFL使用が増加するにつれ、メディアやその他が、紫外線放出のレベル、生成される電磁界(EMFs)、及びランプ内の水銀を含んで、その安全性について問い始めた。


CFLの健康リスク
紫外線放射
 カナダ人は、太陽、溶接機、レーザー、日焼け機器、そして蛍光灯などを含んで、天然及び人工の発生源からの紫外線放射に暴露している。紫外線は有益である。それは菌を殺し、様々な皮膚症状を治療し、私達の体内でビタミンDを生成する。同時に、それらは、あらゆる形の放射にともなうリスクがあり、紫外線への過度の暴露は、日焼け、皮膚の老化、皮膚がん、目の障害、そして免疫系の低下などに関連する。

 上述のように蛍光灯は、水銀蒸気が電流によって”励起されると”紫外線を発する。しかし、生成される紫外線の量は非常に少ないので人の健康に危険であるとはみなされていない。多くの国際的な科学的研究は一般的集団においては蛍光灯の使用に関連する健康問題を見出していない。

 CFLによって発せられる紫外線の量は平均的な人々には問題がないが、ある人々は紫外線に極めて敏感であり、CFLによって生成される紫外線の量で影響を受けるかもしれない。皮膚結核(Lupus)又は自己免疫疾患及びある種の皮膚状態はCFLからの紫外線に敏感であり得る。もし、あなたがCFL 又は蛍光灯に関連する症状で害を被っていると思うなら、かかりつけの医師に相談すべきである。

 CFL は、蛍光灯の新しいタイプなので、またその使用が増えているので、カナダ保健省は暴露レベルを測定するためにこれらのランプからの紫外線放射に関するテストを実施中である。

電磁界
 電磁界(EMFs)は、電気製品から屋外の電力ラインの電線まで、全ての電気機器の周囲に存在する。それらは見たり感じたりすることは出来ない。電圧が高ければ高いほど、電界は強くなる。

 磁界は電流が電線又は電気製品を通じて流れるときに生じる。電流が高ければ高いほど、磁界は強くなる。電磁界は個別に、又は同時に生成することが出来る。例えばランプを差し込めば電界を生じるし、スイッチを入れれば、電界に加えて、電流が磁界を生成する。

 家庭にある他の電気機器のように、CFLは電磁界を作り出す。カナダ保健省はランプから30センチメートル離れた場所で電磁界の暫定的測定を実施したが、カナダ保健省のガイドラインによれば、そのレベルは暴露限界よりも十分に低かった。カナダ保健省はCFLからの電磁界が健康リスクであるとはみなしていない。この結論は現在の国際的な科学的見解と一致するものである。

一般的疾病
 過去に、ある人々は蛍光灯を使用して頭痛や目の痛みを訴えた。ある人々は、低周波及び磁気安定器によて引き起こされる光のチラツキが見える。新しいCFLはより高い周波数と磁気安定器を使用しており、このことは、人の目はこの光の強度の変化を検知できないことを意味する。また新しい蛍光灯は耳障りな”雑音”が小さくなっている。古いタイプでは、この”雑音”が頭痛を引き起こしていたかもしれない。
 頭痛やうつのようなCFLからの健康影響の個別の報告がある。少数の人々は上述のようにCFLに対して過敏かもしれないが、大部分の人々はそうではないと言える。カナダ保健省は科学的証拠が入手可能となったらそれらをレビューし、潜在的なリスクが見つかれば措置をとるであろう。

水銀
 水銀は、CFLを機能させるのに必要な紫外線波長を生成する唯一の既存の元素である。水銀は非常に毒性が高いが、CFL中では、ボールペンの先端ほどの非常に少量だけが使用されている。この量は、ランプが壊れたときでも健康へのリスクはない。たとえCFLが壊れても、その取り扱いを間違わず、不注意な保管をしなければ、健康へのリスクは非常に低い。壊れたCFLを片付けることは誰にも容易なことである。カナダ保健省は取り片付けの手順を開発したが、それらは以下に述べられている。


リスクを最小にする
 CFLは使用しても安全であるとみなされているが、あなたと家族をさらに守るためにとるべきいくつかのステップがある。

  • CFLを取り付けたり、外すときには常に注意深く取り扱う。

  • あなたの地域でCFLがリサイクルされるのかどうか、あなたの自治体に問い合わせる。それらをリサイクルするということは、それらが含む少量の水銀は環境中に出ることはないことを意味する。
  • もしあなたの皮膚が紫外線に過敏なら、又は紫外線への過敏をもたらす皮膚結核またはその他の自己免疫疾患を持つなら、次のステップを取ることが出来る。
    • 低紫外線(ow UV)と表示されたCFLを買う。
    • ガラスカバーが既に付いているCFLを買う。これは紫外線放射をさらに遮るのに役立つ。
    • 紫外線フィルターとして機能するよう、ガラス、プラスチック、又は布を照明器具に使用する。
    • CFLとの距離を増やす。これにより紫外線暴露のレベルを低くする。
  • もしCFLを壊したら、片付けのために以下の指示に従う。
    • 部屋を離れる
      • 部屋から人とペットを出し、片づけ処理が済むまで部屋に入れない。
      • 壊れたガラスを踏まないようにする。
    • 換気
      • 片づけをする前に窓やドアを外に開いて、少なくとも15分間、部屋を換気する。これにより片付けを開始する前に水銀レベルは低減する。
    • 硬くてカーペットを敷いた表面の片付け指示
      • 掃除機を使うと、水銀蒸気とホコリをあたりに広げ、また掃除機を汚染するかもしれないので、最初の破片を片付ける時には掃除機を使わない。
      • 水銀への直接的な接触を避け、手を怪我しないようにするために、使い捨て手袋があればそれを着用する。
      • 壊れた破片を、硬い二枚の紙かボール紙ですくい取るか又は掃く。ほうきは使わない。
      • 残った細かいガラスや粉を取り除くために、ダクトテープやマスキングテープのような粘着テープを使用する。
      • ぬれた紙タオル、布、又は濡れた捨て雑巾で全ての残留物を取り去る。
      • 壊れたガラス破片と片付けに使用した物は、水銀蒸気の放出を最小にするために、密封出来るふた付きのガラス容器に入れる。
    • 最初の片付け後に取るべきステップ
      • もし敷物を取り除けるなら、外に出し、なるべく長い間、振って風に当てる。
      • 片付け後、敷き直したじゅうたんに初めて掃除機をかけるときには、ドアを閉めて可能な限りその部屋を締め切り、その部屋の窓とドアを外に向けて開けて部屋を換気する。掃除機での掃除がすんだら、掃除機の袋を取り出し、掃除機をぬれた紙タオル、布、又は捨て雑巾で拭き、その後、掃除機の袋や使用した紙タオルなどを密閉プラスチッック袋に入れて外に出す。床移動型 (キャニスター型) 掃除機の場合には、上述のようにキャニスターをぬれた紙タオル、布、又は捨て雑巾で拭く。掃除がすんだら再度、換気を15分間行う。

    • 廃棄
      • 直ぐに廃棄物を建物の外の子ども達が近づけない場所にだす。
      • 出来るだけ早く家庭用有害廃棄物集積場に出す。地方、州、地域の当局に家庭用有害廃棄物のリサイクル及び集積場又は収集のための要求事項を確かめる。
      • 家庭用ごみ箱に捨てない。
      • さらなる情報はカナダ保健省に問い合わせる。
    • 手を洗う
        廃棄物の保管と処理がすんだら手を洗う。
    • 追加情報
      • CFLの取り付け/取り外しには、不必要な力が加わりガラスを壊すことがないよう、ランプの根元だけを扱う。
      • CFLを取り替えるときには、床に布などを置いてランプが落下しても壊れる可能性を最小にし、又は落下して壊れても片付けが容易になるようにする。
      • 蛍光ランプは購入したときの包装容器など、破損を防ぐ容器に入れて保管する。
      • ランプが壊れやすいような場所でのCFLの使用は避けることを検討する。

カナダ政府の役割
 既に述べたとおり、カナダ保健省は現在、CFLからの紫外線放射と電磁界放射レベルの調査を実施している。2009年後半の調査完了後に、カナダ保健省は、放射線発生機器法(Radiation Emitting Devices Act)に基づき、必要なら製造者及び流通業者と共に修正措置を取るであろう。

 カナダ保健省は、安全コード6としてよく知られているガイドライン文書を開発したが、それは無線周波数電磁界への安全なヒト暴露の限界を示すものである。この文書で示される暴露限界は、公開されている科学的研究に関し、現在実施中のレビューに基づいている。これらの研究からのデータを使用して、カナダ保健省は有害健康影響の閾値より50倍低い一般的公衆暴露限界を設定している。


更なる情報が必要なら
更なる情報にについては下記に連絡いただきたい。
 Health Canada's Consumer and Clinical Radiation Protection Bureau(カナダj保健省の消費者医療放射線防護局)。
また、下記の It's Your Health Articles(あなたの健康記事)をご覧ください。
更なるCFL規制に関する情報:
Natural Resources Canada and Environment Canada (EC). EC also has more on disposal of CFL.

Also, see the Electrical Safety Authority's notice on end-of-life failure of CFL (PDF Version - 301 K)

 健康と安全問題に関する更なる追加記事については It's Your Health ウェブサイトをご覧ください。

Original: June 2009

訳注:
蛍光灯 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

訳注:世界保健機関(WHO)のウェブサイト上のファクト・シート


化学物質問題市民研究会
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