Journal Online, 2023年10月31日
BAN Toxics がジュネーブの水俣 COP-5に参加
水銀汚染を終わらせるための提案を提示


情報源:Journal Online, October 31, 2023
BAN Toxics joins Minamata COP-5 in Geneva, presents proposals to end Mercury Pollution
https://journal.com.ph/ban-toxics-joins-minamata-cop-5-
in-geneva-presents-proposals-to-end-mercury-pollution/


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2023年11月5日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/COP5/231031_
Jounal_Online_BAN_Toxics_joins_Minamata_COP-5_in_Geneva.html


 水銀に関する水俣条約の第5回締約国会議は、2023年10月30日から11月3日までスイスのジュネーブで開催される。COP-5は、水銀添加蛍光灯、歯科用アマルガム、化粧品を対象とする修正案が締約国間で交渉される予定であり、画期的な会議となる準備が整っている。

 2020年、フィリピンは水銀及び水銀化合物の人為的排出から人間の健康と環境を守ることを目的とした法的拘束力のある国際条約である水銀に関する水俣条約を批准した。 フィリピンの環境監視団体である BAN Toxics は、条約会議に積極的に参加し、人為的な水銀使用の削減と潜在的排除を主張してきた。

 ”アフリカ地域から修正提案があり、それらに強い関心がある BAN Toxicsにとって、COP-5 は非常に重要である”と同団体の政策開発及び研究ユニットのジャム・ロレンゾは次の様に述べている。

 ”同地域からのいくつかの提案は、全ての蛍光灯の段階的廃止、美白製品の 1 ppm 閾値の撤廃、そして歯科用アマルガムの 2030 年段階的廃止の義務化を通じて、水銀添加製品をさらに排除することを目的としている。

 ”フィリピンでは、関連政府機関によるさまざまな水銀政策や規制の展開を見てきた。 特に、歯科用アマルガムの使用は段階的に廃止され、医療施設では水銀体温計や血圧計の購入が減り、人力による小規模な金採掘(ASGM)では水銀の使用が減少する兆しが見られる。 アフリカ地域の提案に対する支持は、条約の規定を強化する上で重要となるにちがいない”。

 国際的な連合体であるゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループ(ZMWG)のメンバーとして、BAN Toxics は、現在進行中の COP-5 における”水銀添加”化粧品の完全禁止を求める同グループの提案を強く支持し、とりわけ、有害な水銀を使用した美白製品(skin-lightening products/SLP)の販売、マーケティング、広告及び 展示の削減を支持する。

 ”現在の条約の規定にもかかわらず、水銀 SLP はフィリピン及び世界中で販売され続けている。 この国では、違法な水銀 SLP が広く入手可能であるため、より白い肌を好む植民地時代の美容基準の影響を受けている女性や少女に重大な健康上のリスクをもたらしており、この提案の関連性を誇張しすぎることはない”。

 携帯端末を使用した同グル−プの市場監視と検査では、禁止された SLP が人気の電子商取引サイトやさまざまな実店舗で増え続けており、水銀含有量は 10,000 ppm から 81,600 ppm の範囲で、非常に高い。

 ZMWG はこれまで、多くの国で水銀 SLPの製造・販売を防止する効果的な管理が欠如しており、オンラインプラットフォームがこれらの製品の違法販売を防止する責任を回避していることを強調してきた。

 ”我々の現在の主な課題は、規制を施行し、関連業界や部門内で法令遵守を確保することにある。 歯科用アマルガムの段階的廃止政策とは異なり、フィリピンは現在も SLP の 1 ppm 制限に執着している。 我々は、政府によるこれらの製品の監視と規制を容易にするために、1 ppm 制限を設けずにこれらの製品を全面的に禁止することを求める”。

 化粧品、歯科用アマルガム、電球などの危険な水銀添加製品を避けることが我々の優先事項である。 BAN Toxics は加盟国に対し、水銀のないより安全な未来に向けて決定するよう求めている”とBAN Toxics は付け加えた。

 水銀は、人間の健康と環境に悪影響を与えるため、世界保健機関によって重大な懸念のある化学物質トップ 10 の ひとつとみなされている。

参考文献: Fifth meeting of the Conference of the Parties to the Minamata Convention on Mercury (COP-5), Geneva, Switzerland, 30 Oct 2023 - 03 Nov 2023

BAN Toxics は、女性、子どもたち、その他の社会的に疎外されている人々に特に焦点を当て、化学物質と廃棄物の分野における環境正義、健康、持続可能な開発の推進に取り組む環境団体である。



化学物質問題市民研究会
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