グリーンピース プレスリリース2014年1月14日
新たな研究が子どもの衣類に潜む
有毒怪物を見つける


情報源:Greenpeace Press Release, January 14, 2014
New study finds toxic monsters lurking in children's clothing
http://www.greenpeace.org/international/en/press/releases/
New-study-finds-toxic-monsters-lurking-in-childrens-clothing1/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2014年1月20日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/greenpeace/
140114_toxic_monsters_in_children's_clothing.html


 【北京 2014年1月14日】 本日、グリーンピース東アジアにより発表された新たな調査によれば、有害化学物質が、ディズニー、バーバリ、アディダスを含む大手ブランドにより製造された子ども用衣類と靴に見つかった[1]。

 テストは、”あなたのクローゼットに潜む怪物についての小さな物語”という報告書のために、アメリカンアパレル、GAP、プライマーク及びナイキを含むこの産業分野の12のブランドにより販売されている製品について実施された[2]。この調査は、環境中に放出された時にその影響に特に脆弱な集団である子ども[3]及び成人の衣類の有害化学物質レベルの間には、以前の調査[4]に比べてほとんど差がないことを示した。

 グリーンピース東アジアのデトックス(Detox)キャンペーン担当チーアンリは次のように述べた。
 ”これは、有害化学物質を含まない子どものための衣類を購入しようと探しているどこの親にとっても悪夢である。北京からベルリンにいたるまで我々の水路を汚染するこれら化学の’小さな怪物’は、高級デザインものからお買い得品までのあらゆる製品中に見出すことができる。現在、そして将来の世代のために、ブランドはこれらの怪物の使用をやめるべきである”。

 テストされたどのブランドにも有害化学物質を含む製品が見つかった。それらのうちアディダスの水着は、彼ら自身の制限物質リスト[6]で許容される以上に高いレベルのPFOA[5]を含んでおり、またプライマークの子ども用Tシャツの捺染生地は11%のフタル酸エステル類[7]を含んでいた。一方、ノニルフェノールエトキシレート(NPEs)[8] は、ディズニー、アメリカンアパレル及びバーバリーを含むブランドによる製品に高いレベルで全てのブランドから少なくとも一製品が検出された。環境中に放出されると、これらの化学物質の多くはヒトの生殖系、ホルモン系、又は免疫系に有害影響を及ぼすことがある。

 ”両親、ファッション愛好家、及び地域社会は、汚染ブランドに反対するとはっきり言うことにより、この有毒な悪夢を終わらせるのに役立つことができる。世界中の人々の力のおかげで、世界最大のブランドのあるものは既にデトックス(Detox)を受け入れており、それらの多くはすでにサプライチェーンの透明性と最悪の化学物質の排除の方向で取り組んでいる”と、アンリは述べた。

 中国は世界最大の布地製品製造国及び化学物質消費国であり、グリーンピースは中国政府に対して布地産業での有害化学物質の使用をやめるよう要求している。彼らがすぐに対処すべき化学物質のブラックリストを発表することで有害化学物質の廃止とサプライチェーンの透明性を促進し、産業活動の場を同じレベルにするために、産業側に化学物質情報を開示するよう求めることが重要である。

Contact:
Damin Tang
International Communications Officer, Greenpeace East Asia
Tel: +86-10-65546931-185
Mobile: +86-13911526274
Email: dtang@greenpeace.org
Greenpeace International Press Desk
+31 20 718 2470
pressdesk.int@greenpeace.org

このキャンペーンについて:
 グリーンピースのデトックス(Detox)キャンペーンは、主要衣料品ブランドに2020年までに全ての有害化学物質のゼロ排出を約束するよう求めるものである。18の主要な会社がすでに画期的な Detoxの約束をし、Valentino, Mango 及びZara のような多くの会社がサプライチェーンの透明性と有害化学物質の排除という彼らの目標に向けて著しい進捗を達成している。

備考:
写真を見るためにはここをクリック

原注:
[1] グリーンピース・インターナショナルにより実施され、グリーンピース東アジアにより発表された。

[2 ] A Little Story About the Monsters in Your Closet (あなたのクローゼットに潜む怪物についての小さな物語): 12の主要な衣料品ブランド(adidas, American Apparel, Burberry, C&A, Disney, GAP H&M, Li-Ning, Nike, Primark, Puma and Uniqlo)の子ども用品中の有害化学物質をテストした最新のデトックス報告書

[3] 体の大きさ、代謝、及び行動を含む多くの要素が、幼児、子ども、発達中の胎児をある化学物質に対してより脆弱にすることがある。25ページを参照のこと。

[4] グリーンピース・インターナショナルは、成人の衣料品中の有害化学物質の存在を調べた多くの報告書を発表した。ここをクリック。

[5] PFOA は遠隔地であっても環境中のいたるところで見いだされる過フッ素化合物(PFC)のひとつである。それは発達期及び成人期の両方で生殖系及び免疫系に有害影響を及ぼす。

[6] アディダス制限物質リスト:ここをクリック。

[7] フタル酸エステル類は、繊維製品産業でしばしば、例えば捺染のプラスチックの柔軟化などのために使用される化学物質のグループであり、 あるものは、特に哺乳類の発達おける生殖系に有害であることが知られている。

[8] ノニルフェノールエトキシレート(NPEs)は、環境中で分解して有害化学物質ノニルフェノール(NP)を形成する化学物質のグループであり、内分泌かく乱性、環境中に長い間留まる残留性、及びヒトや動物の組織中に蓄積する生物蓄積性を有する有害性が知られている。


報告書”あなたのクローゼットに潜む怪物についての小さな物語
抜粋:Key findings(主要な発見)の紹介
主要な発見
  • ノニルフェノールエトキシレート(NPEs)は、分析された82製品中の50製品に、 1 mg/kg (検出限界)から 17,000 mg/kgまでの範囲で検出された。これはテストされた全ての製品の61%である。全てのブランドですくなくとも一製品から NPEs が顕出された。製品中で NPEs のレベルが最も高かった(1,000 mg/kg 以上)のは、ディズニーとアメリカンアパレルであった。バーバリーも低くはなく、ある製品で 780 mg/kg のレベルのものがあった。

  • 製造12か国のうち10か国の製品が NPEs を含んでいた。

  • フタル酸エステル類は、35サンプルのうち33サンプルのプラスチゾル印刷(訳注1)で検出され、そのうち二つは他のテストされた製品に比べてはるかに高い濃度のフタル酸エステル類を含んでいた。ドイツで売られたプライマークのT-シャツは11%のフタル酸エステル類を含んでおり、アメリカで売られたアメリカンアパレルは0.6%のフタル酸エステル類を含んでいた。これら二つの製品に見出されたフタル酸エステル類のレベルは、玩具及び育児用品のあるものについてEUで販売されるこれらの製品の規制の下では許されないが、それらは衣料品には適用されない。

  • 有機スズ(訳注2)は、プラスチゾル印刷のあるテストされた21品目中3品目に見出され、テストされた履物5品目中3品目に見出された。有機スズ濃度が最も高かったのはピューマとアディダスの履物3品目中に見出され、ピューマのスポーツ・シューズが最も高かった。これらの全てについて、有機ジオクチルスズ(DOT)の濃度は、自主的エコラベルでありアディダスとピューマによって彼ら自身の制限物質リストの中でDOTのために設定されている Oeko-tex standard より高かった。

  • ひとつ又はそれ以上のPFC(過フッ素化合物)がテストされた15品目のそれぞれで検出された。

  • アディダスの3製品、ナイキの幼児用コート1製品、ユニクロのジャケット1製品のPFCsの濃度は比較的高かった(揮発性又はイオン成の両方)。

  • イオン性PFCの分析によりアディダスの靴1品目とバーバリーの水着にPFOSを見出した。

  • アディダスの水着1点のイオン性PFCのPFOA濃度は、2014年からノルウェーによって設定された1μg/m2という制限値よりはるかに高く、またアディダス自身によって定められた制限物質リストの値より高かった。

  • アンチモンが全ての36品目で検出され、そのすべてがポリエステルからなる布又はポリエステルと他の繊維との混紡であった。
訳注1:プラスチゾル
訳注2:有機スズ
ファクトシート(有機スズ化合物)/食品安全委員会


化学物質問題市民研究会
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