G8 マイアミ宣言以後5年間の各国の進捗情況
6. 環境タバコ煙 情報源:Five year review of progress since the G8 Declaration / April 2002, Canada 掲載日:2003年10月27日 (訳:安間 武 /化学物質問題市民研究会) 6. Environmental Tobacco Smoke 6. 環境タバコ煙
6.2 各国の実施状況 ■カナダ 2001年4月に発表された連邦政府タバコ抑制戦略では、今後5年間に約5億6千万ドル(約672億円)を投資して、タバコ抑制のために、保護、予防、禁煙、及び有害低減の活動を行うこととしている。 保護の内容は、非喫煙者、特に若者を環境タバコ煙(ETS)から守ることである。意図するところは、規範として非喫煙を支援する、社会的、物理的、そして法的環境を作り出すことにある。カナダの喫煙者の85%は19歳以前に喫煙を開始しているので、予防としては若者に焦点をあてる。禁煙に関しては禁煙支援プログラム、資源、及び禁煙情報を強化する。 この新たな戦略では、努力の半分、金額にして2億1千万ドル(約252億円)を若者や高いリスクのあるグループに照準を合わせたマスメディア・キャンペーンに費やし、他の諸計画を支援する。 カナダは、WHO が後援する ”タバコ規制に関する枠組み協定” に積極的に関与している。近年、カナダの多くの自治体では公共の場所や職場では禁煙とする条例を実施している。 ■欧州共同体(EC) 1997年以来、欧州共同体(EC)は、タバコの公共への影響を削減するために全域内でいくつかの計画を立ち上げた。新たな”タバコ広告指令”の提案が2001年5月に発表された。この新たな措置が、タバコ製品をテレビで広告すること、及び、タバコ会社がテレビ番組のスポンサーになることを禁止した1989年の”指令”を補完するものとして期待される。 欧州共同体(EC)は作業者を受動喫煙から守るための2つの指令を出している。第1の指令は、雇用者が休憩場所における作業者を受動喫煙から守ることを義務付けたものであり、第2の指令は、妊娠中の作業者、最近出産した作業者、あるいは授乳中の作業者の安全と健康を推進することを求めるものである。 欧州共同体(EC)は、”WHO のタバコ規制に関する枠組み協定” の交渉に参加している。
■フランス 喫煙に反対する国家計画は1999年5月に策定された。議会の派遣団はタバコ税制に関する報告書(Recours 報告書 1999年9月)を作成した。この報告書は、16歳以下の年少者へのタバコ販売禁止、タバコ価格の大幅値上げ、及び、ニコチン代替品を処方箋なしで薬局で販売すること−を勧告した。また ETS に関する提案がなされた(Dautzenberg 報告書 2000年5月) 1999年〜2001年の反タバコ・キャンペーンの枠組みで採用された主要な防止措置の一つは、医師に対し、禁煙の技術、代替品の処方、及び禁煙挑戦中の心理的支援についてトレーニングすることであった。2002年に新たな禁煙センターが病院内に設立され、公衆に対する禁煙キャンペーンを、特に女性や子どもをターゲットとして強化する。 ■ドイツ ETS から非喫煙者を守るための様々な規制はあるが、子どもや若者のための特別な規制はない。 ”若者の保護に関する法律” が現在、改正中であり、タバコを(特に自動販売機を通じて)16歳以下の子どもに販売することを禁じる厳しい規制が期待されている。 連邦政府は、10代の若者が喫煙を始めないようにするための公衆へのキャンペーンを支援している。 ■イタリア イタリアは、公衆の健康を守り、喫煙を低減し、ETS への曝露に起因する健康問題を防止するための国家健康計画(NHP)を導入した(1998年〜2000年)。 NHP の最も顕著なプログラムは、喫煙者に禁煙を説得すること、及び、公共の場所や職場での喫煙を禁じることである。 ■日本 厚生労働省は、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」 と称する10年計画を2000年5月に設定した。この計画にはタバコに関し、2010年までに達成されるべき4つの主要な目標がある。 ・タバコの健康に対する悪影響について公衆に知らせること ・若者の喫煙を防止すること ・非喫煙者を ETS の曝露から保護すること ・禁煙を支援すること 同省は、5月31日の世界禁煙デーから1週間を禁煙週間と指定し、各種の行事を実施している。2001年に同省は、世界禁煙デー記念シンポジウムを開催し、ETS に焦点をあてた。シンポジウムでは、タバコの健康に与える影響、禁煙を支援する措置、及び ETS からの、特に女性と子どもの保護に関する講演が行われた。 ■イギリス 1998年に設定されたタバコ規制戦略・政府提案 ”喫煙は人を殺す” は、喫煙と受動喫煙の危険性を強調し、禁煙を望む人々を支援し、社会の喫煙容認を減少させることを意図したものである。 ETS の影響についての小冊子は広く入手可能である。現在、喫煙者に焦点をあて、彼ら自身の健康のために禁煙するよう説得しているマスメディア・プログラムでは、喫煙者の習癖が周囲に影響を与えているという内容に幅を広げている。これに関しては、テレビで、親の喫煙が子どもの健康に与えるダメージに焦点をあてるアプローチを展開している。 1999年に医療産業界によって打ち上げられた ”公共の場所憲章” は政府によって支援されている。この憲章は、署名者が、パブ、バー、及びレストランの施設を喫煙しない客のために改善することを約束するものである。 多くの地方当局と健康促進機関がその地域における非喫煙施設に関する情報を提供している。 ■アメリカ アメリカは、新たな国の公衆に対するキャンペーンと資料提供を展開中である。それは、公衆、特にぜん息の子どもを持つ親を教育するものであり、ETS、オゾン、微粒子物質、及び、その他、ぜん息を引き起こす室内要因への子どもの曝露を削減し回避する方法についてのものである。 タバコ規制プログラムを通じての地域への資金援助及び、医師、医療相談所、市民団体の共同作業は、子どもの ETS 曝露を低減することを意図したものである。 EPA の室内環境部門のラドンの知識と環境タバコに関する調査によれば、7歳以下の子どもがいる家庭で、誰かが日常的に喫煙する人がいる家庭は、1994年には29%であったものが1999年には19%に減少している。 2001年秋、 EPA と WHO は、4カ国で子ども時代の ETS 曝露を低減するプログラムを確立するための予備的プロジェクトを開始した。この予備的プロジェクトには次の狙いがある。 ・子どもの ETS 低減のための戦略的計画を社会におけるマーケッティング技術を使用して開発すること ・この計画を実施するための社会的な容認と活動を生成すること 最初の2つのプログラムはラトビアとポーランドで開始され、政府、産業界、メディア、及び健康介護業界など様々な分野が参加している。
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