C&EN ニュース2011年2月28日
EUと米の化学産業団体
フタル酸エステル DEHPの使用継続を要求


情報源:C&EN February 28, 2011
Pushing For A Phthalate
Cheryl Hogue
http://pubs.acs.org/cen/news/89/i09/8909notw6.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2011年3月8日


 化学物質製造者らは、欧州連合(EU)が禁止しようとしているプラスチック可塑剤、フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)の継続使用の承認をEUに求めるであろうと述べている。

 フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)はEUが初めてREACHプログラムの下で廃止しようとしている6種類の化合物のひとつである。他の5つの物質は、さらに2つのフタル酸エステル類、1つの難燃剤、1つの合成香料、1つのエポキシレジン及び接着剤の硬化剤である。これら6物質の販売又は使用は、産業側が認可を取得しない限り、3年から5年の間にできなくなると欧州委員会は2月17日に発表した。

 EUとアメリカの化学物質産業界は、ヨーロッパの名前を隠したある製造者に指導されたDEHPメーカー団体は、この化学物質を医療、自動車、その他の応用分野で継続して使用する許可を求めるであろうと述べている。この団体は、欧州化学物質産業協会のメンバーである欧州可塑剤中間体協議会、及びアメリカ化学協議会のフタル酸エステル類委員会である。

 REACHの下で禁止された化学物質の使用又は販売の認可を得るためには、産業側は、リスクを適切に管理するために安全措置がとられれること、又は、経済的及び社会的便益がこの化学物質を使用することのリスクより重いことを示さなくてはならない。特定された製品中のDEHPについて、産業団体は、人の健康及び環境へのリスクは管理することができると主張している。

 DEHPに加えて、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジブチル(DBP)も禁止された。これら3つのフタル酸エステル類は生殖毒性があるので禁止の標的となった。EUではすでにこれらの3つのフタル酸エステル類は子どものおもちゃでの使用が禁止されている。

 EUはまた、残留性・生物蓄積性・有毒性があるので難燃剤シクロドデカン(HBCDD)も廃止しようとしている。もう1つの禁止物質は香料のムスクキシレンであり、EUは非常に残留性があり非常に生物蓄積性があると特性化している。

 6番目の禁止化学物質は、エポキシレジン及び接着剤中で使用され、また他の製品の製造で中間体として使用される4,4-ジアミノジフェニルメタン(MDA)である。EUはこの物質をヒト発がん性物質とみなしている。

 欧州委員会の産業・企業総局副局長アントニオ・タジャニは、これらの化学物質の廃止は、”産業側が代替を開発し革新を培うことを促進するであろう”と述べている。


訳注:ECHA Authorisation List (2001年2月17日)
関連情報 ECHA Authorisation 関連資料 その他の情報
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    附属書XIVに認可対象物質が正式に掲載されると、認可が与えられない限り物質の上市と使用が禁止される日付(日没日:Sunset Dateという)が決定されます。当該物質の製造者または輸入者が、日没日以後もある用途についてその物質の使用または上市を継続することを希望する場合には、当該日没日の少なくとも18ヵ月前までに認可のための申請を行う必要があります。

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