米化学会 ES&T リサーチ ウオッチ 2008年2月13日
ビスフェノールAはボトル中の沸騰水により多く溶出する
新たな研究が、熱湯はポリカーボネート プラスチックからの溶出を増大することを示す

情報源:ES&T Research Watch, February 13, 2008
More BPA from boiling water in a bottle
New research shows that hot liquids increase leaching of bisphenol A from polycarbonate plastics.
http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2008/feb/policy/nl_plasticbottles.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2008年2月17日


 1月30日にToxicology Letters (2008, DOI: 10.1016/j.toxlet.2007.11.001)に発表された新たな研究によれば、ポリカーボネート製プラスチック容器中の熱湯は内分泌かく乱物質ビスフェノールA(BPA)の高濃度放出のきっかけとなることがあることを示した。

 シンシナチー大学のスコット・ベルチャーらは、頑丈なポリカーボネートボトルの新しいものと使用されたものについてビスフェノールAの移動を評価した。彼らは沸騰水は室温の水に比べてプラスチック容器から55倍のビスフェノールAを溶出することができると報告している。溶出は容器の使用年数に関係しなかった。

 研究者らは、発達中の脳神経の試験管実験で神経毒性を持つ(訳注1)、特別の内分泌かく乱性を確認した。

 以前の研究でポリカーボネート容器は、電子レンジや食器洗い機の中で加熱されるとビスフェノールAを溶出することを示していたが、この新たな研究は初めて実際の動きを模したものであるとミズーリ大学の内分泌かく乱物質専門家フレデリック・ボンサールは述べている。

 ”多くの人々はこれらの容器にコーヒーや熱湯を入れて飲んでいる”とボンサールは述べている。たとえ容器が加熱されなくても、熱湯を注ぎ、それを冷やしても、”ビスフェノールAへの相当な暴露があることをこの新たな研究は指摘している”と彼は付け加えた。これらは非常に控えめの見積もりであるが、ジュースのような酸性の液体中にはもっと多くのビスフェノールAが溶け出すとボンサールは指摘する。

 このような(ビスフェノールAとの)接触は、哺乳瓶や食品缶詰の内部ライニングのような他のポリカーボネート・プラスチックに起因するビスフェノールAへの人の合計暴露を増加させるものであると著者らは記述している。哺乳瓶は通常、加熱された、または温かい液体が注がれるので、幼児は大人に比べて非常に高い暴露を受けることになるとボンサールは述べている。

NAOMI LUBICK



訳注1ES&T 2006年6月7日ビスフェノールA ラットのメスの脳に影響(当研究会訳)



化学物質問題市民研究会
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