ES&T サイエンス ニュース 2007年8月15日
過フッ素化合物への暴露は
出生体重の低下をもたらすかもしれない


情報源:Science News - August 15, 2007
Exposure to perfluorinated chemicals may lower birth weight
http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2007/aug/science/rr_goldman.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年8月17日


 Environmental Health Perspectives 7月31日オンラインで発表された研究(DOI: 10.1289/ehp.10334)によれば、ジョーンズ・ホプキンズ大学の研究者らは、ヒトの幼児のパーフルオロオクタンスルフォン酸(PFOA)とパーフルオロオクタン酸(PFOA)への暴露で発達系への影響の可能性を初めて特定した。

 焦げ付き防止の調理なべや食品包装のコーティングの製造に用いられる PFOS や PFOA は、世界中の人々の血液中からすでに見いだされている。この点に関し、広範囲の暴露の毒性学的影響はラットやマウスの実験などから少しずつ得られており、PFOS や PFOA は出生時体重の低下や死亡率の増加を含む発達影響を示している。しかしこれらの研究で動物は、一般的にヒトに見られるよりも高いレベルで暴露させられていた。

 研究者らは、出生時に PFOS や PFOA のレベルが高かった幼児と、出生時体重が低いこと及び頭周が短いことについて、小さいが統計的に有意な関連があると報告している。彼らはまた、この化合物のレベルが高いことと、Ponderal Index((胎児の体重の指標))のスコアが低いこととの間に関連があることを見いだした。低出生体重は、成人してからの肥満、糖尿病、心臓血管疾患と関連があることを他の研究が示唆している。

 この研究は、ボルティモアで生まれた子どものへその緒から2004年と2005年に収集された300近くの血液サンプルに基づいている。同チームの以前の分析により、サンプルの100%からPFOAが、99%からPFOSが検出されている。(DOI: 10.1021/es0700911)

 コレストロールとトリグリセリドの減少は、動物とヒトの研究で観察された最も敏感な影響であるが、新たな研究で観察された出生時体重及び頭周の低下は、臍帯血中の脂質のレベルとは無関係である。

 ジョーンズ・ホプキンズ大学の研究は PFOS や PFOA のレベルと母親の教育レベルで測定した社会経済的地位との関連性は見いださなかった。しかし、最近の米疾病管理予防センターの研究(DOI: 10.1021/es062686m) は、そのような関連を見いだしている。

 著者らは、新たな研究結果は、この研究が他の調査集団で再現されるまでは慎重に扱われるよう示唆している。
REBECCA RENNER


訳注(関連資料)

Envuronmental Health News August 15, 2007 / Cord serum concentrations of perfluorooctane sulfonate (PFOS) and perfluorooctanoate (PFOA) in relation to weight and size at birth.



化学物質問題市民研究会
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