中国デイリー 2007年1月30日
電子電気廃廃棄物の厳しい現実
(概要の紹介)

情報源:China Daily- January 30, 2007
The grim reality of e-waste burden
By Wang Shanshan (China Daily)

http://www.chinadaily.com.cn/china/2007-01/30/content_795855.htm

概要紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年1月31日

 科学小説の定番では将来、地球の表面は最早自然が受け入れることができないほどの量の廃棄電気製品やその他のゴミによって覆われてしまうことになる。

 それは科学小説のことかもしれないが、そのようなゴミによって脅かされる脅威は十分にありえることである。中国はすでに、不適切な処理のために主要な汚染源となっている電子電気廃棄物(e-waste)の重みに耐えかねてうめき声を上げている。

 様々な種類の電子電気廃棄物(e-waste)の中で家電製品が最も緊急にリサイクリング制度の法的整備が求められていると専門家は述べている。家電製品は毎年発生する電子電気廃棄物の中で非常に大きな割合を占めていると彼は述べた。

 中国家電協会の統計によれば、毎年中国では約1億5,000万台のテレビ、洗濯機、冷蔵庫、空調機、及びコンピュータが廃棄され(訳注1)、これら以外に廃棄される量が不明なその他の家電製品がある。

 さらに、驚くべきことには先進諸国で廃棄される家電製品の80%がアジア向けに船積され、そのうち90%が中国向けであると科学技術省の公式新聞である北京を拠点とする”科学技術デイリー”の最近の報告書は述べている。

 それではこれら全ての電子電気廃棄物はどのように処理されているのか? リサイクルされるのはそのうちわずか10%であるとその報告書は述べている。

 残りは、約1000万人のむ登録回収業者が解体するための電子電気機器を求めて全国の家々を回っている、又はもっと大規模に大量に海外から廃棄物を購入している。

 様々な廃棄物の中で回収業者は何よりも電子電気機器を欲しがる。彼らは使用済みテレビを修理し田舎で売ることもあるし、またある場合には、電子部品から金や銅をと取り出す多くの零細な無登録の工場に売ることもある。

 これらの工場は酸に漬けて、あるいは燃やして電子電気廃棄物から貴金属を取り出している。これらの処理過程で、これらの工場のほとんどは田園地帯にあり、大量の有毒ガスを放出し、鉛や水銀などの有毒物質を含んだ廃水を湖、河川、そして農地に排出している。

 例えば、中国南部の広東省汕頭市(シャントウ)の西部にある電子廃棄物処理の中心地であるグイユ地域の地下水は非常に汚染されているので、飲料水は30キロ離れたところからトラックで運ばなくてはならないと、米シアトルを拠点とする非政府組織バーゼル・アクション・ネットワークの2001年報告書は述べている。

 近くで採取した沈殿物は、オランダのライン川の川底から採取した有害と考えられる廃棄物よりも212倍多くの鉛を含んでいたと同報告書は述べている。

 電子電気廃棄物産業は低コストという理由で最初にグイユ地域で発祥した。そこの工場で採用された原始的な技術は廃棄物から貴金属を抽出するための適切な方法よりもはるかに安かった。中国全土の回収業者はグイユの業者が提示する安い価格に太刀打ちできなかった。

 さらに、回収業者らは家電リサイクリングのための政府の援助金をほとんど、あるいは全く得ることができない。そのような処理のための政府援助を示す法律や規制も存在しない。発表された家電製品リサイクリングに関する政策は政府の補助金について何も述べていない。

 中国環境保護庁によって昨年8月に発表された政策は、家電製品の製造者はその製品の最終処理に責任があると明記している。

 電子電気廃棄物汚染を防ぐための鍵は製品組み立ての時点で有害な物質の使用をなくすことである。そのような企業の取組は政府の調達方針によって報われるであろうと同政策は述べている。

 しかし同政策は罰則より企業に自主性を重んじており、したがって電子電気廃棄物処理産業の増大を抑制する効果はほとんどない。同政策はまた、製造者がどのようにしてその製品に責任を持つのか又はそうしなかった時にどのような罰則があるのかについて何も述べていない。

 回収業者は使用済み家電リサイクリング規制の発表を待ち望んでいるが、そのドラフトは2004年9月に国家開発計画委員会によって発表されている。

 しかし、回収業者らが失望したことは、その規制は未だに公式に発表されていないことである。消息筋によれば、政府が回収業者に補助金を出すかどうかについて議論があったということである。


訳注1:参考(中国と日本の比較)
中国の人口:13億人
中国の4家電・パソコンの廃棄台数:1億5,000万台

日本の人口:1億人
日本の4家電廃棄台数 : 約2,100万台(中日新聞2006年12月14日)
日本のパソコン廃棄台数:約1,000万台(当研究会推定)

日本の4家電回収台数 : 約1,400万台(中日新聞2006年12月14日)
日本のパソコン回収台数:約 100万台(パソコン3Rセンター)

日本の4家電海外流出台数 : 約700万台(中日新聞2006年12月14日)
日本のパソコン海外流出台数:約900万台(当研究会推定)



化学物質問題市民研究会
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