グリーンピース 2006年4月18日
チェルノブイリの死者数、全くの過少評価
グリーンピースの新たな報告書:がん発症は約27万人、不治のがんが9万人以上

情報源:Greenpeace International, April 18, 2006
Chernobyl death toll grossly underestimated
http://www.greenpeace.org/international/news/chernobyl-deaths-180406

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2006年4月19日

【チェルノブイリ−ウクライナ】 新たなグルーンピースの報告書は、チェルノブイリ災害の被災者はがん発症が約27万人、不治のがんが9万人以上に及ぶことを明らかにした。

ウクライナのキエフ病院のがん病棟で19歳のエレーナはわずか3年の間に甲状腺がんで2回目の治療を受けている。(拡大)
 ウクライナ及びその他の国々の科学者52人が参加して作成されたグリーンピースの新たな報告書『チェルノブイリ災害の人の健康への影響 Chernobyl Catastrophe Consequence on Human Health』はかつて英語では発表されたことのない新しい情報を含んでいる。それは、人類の被害の真実の大きさをたはなはだしく過小評価して事故に起因する追加の死者を4,000人と推定した国際原子力機関(IAEA)チェルノブイリ・フォーラムの報告書に挑戦するものである。

 ベラルーシ国家がん統計に基づいたこの新たなデータは、チェルノブイリによって引き起こされたがんは約270,000症例、そのうち不治のがんは93,000症例であると推定している。この報告書はまた、人口統計に基づき、過去15年の間にロシアでチェルノブイリが原因で新たに60,000人の人々が死亡し、ウクライナとベラルーシの合計死者の推定はさらに140,000人に達する。

 同レポートはまたチェルノブイリの現状の健康影響にも目を配っており、災害での放射能は生き残った人々に壊滅的な影響を与え、免疫系と内分泌系に損傷を与え、老化を早める結果となり、心臓と血管系の疾病、心理的な病、染色体異常、及び胎児の奇形の増加を招いている。

原子力産業の真の顔

 これらの統計のそれぞれはひとつの顔を持っている。多くの人々が汚く危険な原子力産業の怠慢による代償を支払っている。

 これら写真は世界の30都市で開催される新たな写真展からのコレクションである(訳注:日本での開催はない)。この展示は胸を刺すような個人と家族の写真であり、チェルノブイリやその他の原子力災害の犠牲者の物語である。

 これらの力強い画像は人の命は数字以上のものであるということを思い起こさせてくれる。それぞれの統計数値のために犠牲者は莫大な代償を支払っている。原子力の危険を疑う人は誰でもこの展示会を訪れ、我々がなぜ原子力に反対するのかの理由のひとつを自分の目で確かめてほしい。20年が経過して、どの原子力発電所も原子力産業犠牲者の遺産を持っており、どの原子力発電所も次のチェルノブイリになる恐れを持っている。

行動を起こせ
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化学物質問題市民研究会
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