EHP プレスリリース 2006年3月1日
住居における水銀の脅威
EHP 報告書:家庭の古いガス圧力調整弁の交換で曝露


情報源:Environmental Health Perspectives, RELEASE, March 1, 2006
Study Identifies Potential Residential Mercury Threat
Report in EHP details exposure from replacement of older gas regulators in the home http://www.ehponline.org/press/022806.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年3月14日


 最近、EHPが発表用に受け付けた研究によれば、古いガス圧力調整弁の不注意な交換が家庭での水銀汚染をもたらすことがある。2000年にシカゴの住民らはガス会社がガス圧力調整弁とメーターを取り換えたときに水銀に曝露した。これらの人々のうちの一部は後の尿分析で体内に水銀が存在することが判明した。

 ガス圧力調整弁は、ガス本管から家庭のガス管へのガス圧力を下げるためのものである。新しいガス圧力調整弁は水銀を含んでいないが、1961年以前に製造されたものは、平均、ティースプーン2杯分の元素水銀を含み、しばしば地下室に設置されている。これらの古い装置が交換される場合には、水銀が床にこぼれ、居住者が水銀蒸気を吸入する可能性がある。古いガス圧力調節系を取り換えたシカゴの住宅361,000戸についての2001年の調査で、合計1,363戸の家庭が水銀で汚染されていた。
 今回の研究で、研究者らは、水銀検査を受けることを選択したシカゴの水銀汚染家庭の居住者625人の尿サンプルを調査した。居住者9人(1.4%)は、24時間尿中水銀濃度が10μg/L 又はそれ以上のレベルであった。水銀中毒の明白な症状を示した人はいなかったが、検査は水銀曝露の潜在的影響を検出するようには設計されていなかった。

 空気中の水銀濃度は、水銀漏洩が一般的に起きる地下室の中で著しく高かったが、居住者の尿中の水銀濃度は、検査の行われた1階の空気中水銀濃度と最も強く関連していた。著者らは、これは居住者は地下室で過ごす時間が一般的に少ないことが原因であると考えている。

 著者らは、ガス会社と施工業者、医師、公衆衛生環境当局、及び居住者の全ては、水銀含有のガス圧力調節弁が過去に交換された、あるいは現在も使用されている古い家屋、又はビルの汚染の可能性について知っている必要があると指摘した。彼らはまた、”シカゴ地域での対応のために開発された指針とプロトコールは、もっと大規模な住民水銀曝露に対する公衆の健康対応に将来、直面するかもしれない公衆健衛生当局にとって有用なツールになるかもしれない”−と書いている。

 この研究の主著者は五大湖子どもの環境健康センターのダニエル・ヒリホルチュク(Daniel Hryhorczuk)である。その他の著者はVictoria Persky, Julie Piorkowski, Jennifer Davis, C. Michael Moomey, Anne Krantz, Ken D. Runkle, Tiffanie Saxer, Thomas Baughman, and Ken McCann である。研究基金は、労働環境医療協会、有毒物質及び疾病登録機関、及びアメリカ環境保護庁から出た。この報告書は、http://www.ehponline.org/docs/2006/8401/abstract.html で読むことができる。



化学物質問題市民研究会
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